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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで…
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エネルギーのフェイズシフトに備えよう(2)

先日開催された第65回基本政策分科会で、IEAのラウラ・コッツィ持続可能・技術・展望局長が、世界エネルギー見通しについて説明を行いました。 その紹介noteの第2回目です。 第1回目はこちら。 アーカイブもありますので、お時間のある方はどうぞ。 局長の説明、後半は、脱炭素電源の話に移っていきます。 左側のグラフは、2010年から2035年までの世界の電力供給における主な電源の推移。太陽光及び風力は大幅に成長し、主要な電源として台頭。石炭火力とキレイにクロスフェードし

パリ協定6条の現在地(2)

毎年恒例の、IGESのCOP29直前ウェビナーシリーズ。 第2回目では、小圷 パリ協定6条実施パートナーシップ センター長による「パリ協定6条」についての解説でした。 カーボン・クレジットの将来を左右する重要なテーマであり、クレジットに携わる人間にとっては、外すことができません。ということで、前回から、できるだけ分かりやすく紹介しております。 今回は、COP29で議論される論点について、ご案内していこうと思います。 主なものは、次の2つ。 6条で欠かせない要素が「Aut

エネルギーのフェイズシフトに備えよう(1)

政府は、現在、第7次エネルギー基本計画の策定に着手していますが、先日の第65回基本政策分科会にIEAのラウラ・コッツィ持続可能・技術・展望局長を招き、世界エネルギー見通しについて説明を受けています。 アーカイブもありますので、お時間のある方はどうぞ。 その説明が、スライド1枚に1フレーズと非常に簡潔で、参考になりました。なので、レジュメを拝借しながら、内容をご紹介したいと思います。 まずは、エネルギー安全保障について。 例えば、一番左のグラフはOPEC+(石油輸出国機

パリ協定6条の現在地(1)

アゼルバイジャンの首都、バクーで開催されるCOP29まであと2週間。 この時期になると必ず開催される、IGESの直前ウェビナーシリーズ。 今年も、10月から直前まで、5回にわたって開催されます。 その中でも、一番頼りにしているのが、小圷 パリ協定6条実施パートナーシップ センター長の、パリ協定6条に基づくクレジットの解説です。 「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」とは、パリ協定6条に関する能力構築を支援するため、環境省が、昨年のCOP27において立ち上げた「パリ協

クレジットのおさらいをしておこう(3)

政府が、22年6月にリリースした「カーボン・クレジット・レポート」を利用して、クレジットのおさらいをしています。 サステナ関係は目まぐるしいスピードで変化するため、参照する情報には気を遣いますが、クレジットに関しては国内では右に出る者はいないという方々を委員に迎えた検討会を実施、その成果物として大本営がまとめたものですので、このレポートに基づいて理解しておけば間違い無いでしょう 1回目は、コンプライアンス・クレジットとボランタリー・クレジットの区別、及びボラクレのプログラ

クレジットのおさらいをしておこう(2)

政府が21年の年末から22年6月にかけて「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」を6回開催。その成果物としてまとめた「カーボン・クレジット・レポート」を利用して、クレジットのおさらいをしています。 前回は、コンプライアンス・クレジットとボランタリー・クレジットの区別、及びボラクレのプログラム(スキーム)についてご案内しました。 今回は、プロジェクト(方法論)の種類についてご案内していきます。 上図のように、大き

海洋ごみの罪罪

西表島に漂着する海洋ごみについて、先般ご案内しました。 その量のインパクトたるや、想像を絶するものでした。 海洋ごみの回収に当たっては、全国各地で非定時では実施されていると認識しており、もちろん、西表においても、ボランタリーベースの回収はなされています。 バナナハウスの森本さんが、ブログにアップされていますので、是非ご覧下さい。 とはいえ、本来はボランティに頼らずに、「国や自治体が予算化し、事業として実施すべきだ」などと、素人の勝手判断をしていました。端的に言うと、「お

クレジットのおさらいをしておこう(1)

カーボン・クレジット・エバンジェリストとして(?!)、何度となくご案内してきましたが、話題になればなるほど、「最近知りました」という方が次々と現れ、同じ説明を繰り返すことも多くなってきました、 なので、ここでもう一度、簡単におさらいをしておこうと思います。 と言っても、一から説明するのも難しいし、さりとて、適切な参考資料もあまり見当たらない。そんな時に頼りになるのが、大本営がまとめた「カーボン・クレジット・レポート」 既に古くなった情報もありますが、クレジットの本質的な

LCA実践塾西表島合宿(5)〜西表島の将来を憂う

LCA実践塾」の西表島合宿レポート、5回目。 合宿のテーマは「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」 4回目までで、両テーマについてはご案内しました。 「海洋ごみ」については、島随一のネイチャーガイド、バナナハウスの森本さんに現場を案内頂き、その影響の大きさに驚きました。 「オーバーツーリズム」については、自然環境の保全と持続可能な観光を実現するために、町と住民が連携している現状を、西表財団で伺いました。 1回目から4回目は、こちらからどうぞ。 今回は、前回の最後にご紹介

LCA実践塾西表島合宿(4)〜西表島を守りたい

「LCA実践塾」の西表島合宿レポート、4回目。 合宿のテーマは「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」 2回目は「海洋ごみ」の現場を視察したので、その報告をしました。 3回目では「オーバーツーリズム」についての考察を、一般財団法人 西表財団の徳岡事務局長に説明頂きました。 西表財団は、西表島がユネスコの世界自然遺産に登録されたことを受けて、2021年11月設立されました。 今回は、その続きとして、「オーバーツーリズム」及びそれがもたらす環境劣化を防ぐ施策について、ご案内して

LCA実践塾西表島合宿(3)〜オーバーツーリズムは本当か

「LCA実践塾」の西表島合宿レポート、3回目。 合宿のテーマは「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」 2回目は、「海洋ごみ」についてご案内しました。 ですので、今回は「オーバーツーリズム」です。 話を伺ったのは、一般財団法人 西表財団の徳岡事務局長。 西表財団は、西表島が2021年7月「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として、ユネスコの世界自然遺産に登録されたことを受けて、2021年11月設立されました。 西表島の豊かな自然と島の伝統的文化や営みを守り、地域の持

LCA実践塾西表島合宿(2)〜海洋ごみのインパクト

前回から、「LCA実践塾」の西表島合宿レポートをお届けしております。 テーマは「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」 前回は、舞台となる「マングローブ」のしたたかな「適応戦略」の紹介をしたところで終わってしまっていました。 2回目は、「海洋ごみ」がもたらす「インパクト」をお届けします。 案内頂いていたのは、西表でガイドと言えばこの人の右に出る人はいない、西表島バナナハウス主宰ガイドの森本さん。 7月に刊行された学研の人気シリーズ「海のひみつ」のコラム「海の環境問題って?」

LCA実践塾西表島合宿(1)〜マングローブの適応能力

早稲田大学の伊坪先生が主宰されている「LCA実践塾」のメンバーで、西表島合宿をしてきました。いつもは、神田や高田馬場での勉強会ですが、「実践」塾であればフィールドワークが重要でしょ、ということで、数年ぶり(?!)に会議室を飛び出しました(^^ゞ 視察のテーマは、「海洋ごみ」と「オーバーツーリズム」 とはいえ、私以外は初めてとなる西表。かく言う私も、仕事で何度か来たことがあるものの、全くの不案内。そんな私たちの強い味方、西表のガイドといえばこの人、バナナハウスの森本さんに案

Airport Carbon Accreditation(2)

前回から、Airport Council International(ACI)が実施している「Airport Carbon Accreditation(ACA)」について、ご紹介しています。 ACIは、1991年設立の、世界の約2000空港が加盟している業界団体。空港の業績評価やサービス向上のためのプログラムを提供するなど、空港業界全体の発展に寄与することを目的にしています。 そのACIが、空港のGHG排出削減推進のために実施している国際的な認証プログラムがACAです。