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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#VCMI

クレジット化、必要ですか?

「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

Scope 3 Flexibility Claim(ベータ版)

23年6月に、クレジットを使う側のルールである、Claim Code of Practice(CoP)のVer.1がVCMIからリリースされたことは、既にご案内済みでした。 これは暫定版という扱いで、11月に予定されている最終版が待たれていたところ、11月28日、COP28開幕前に滑り込みセーフ、リリースされました。 公開されたフレームワークを用いて、企業は、「Silver」「Gold」「Platinum」のクレームバッジを表示できることになります。 今回の目玉は、Co

CoPリリースされました

こちらのnoteで、何度もご紹介してきた、CoP(Code of Practice)。 ボランタリークレジットの品質、創り方については、ICVCMによる「Core Carbon Principles:CCP」が4月に公開され、使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」が共通ルールになるべく、鋭意開発中でした。 5月には、タイムラインが公表されており「6月」となっていたので、7月を目前にして、今か今かと待ち構えていま

23年6月 待望のCoP公開へ

「高品質なクレジット」とは何ぞや? ボランタリーかコンプライアンスに関わらず、カーボン・クレジット周りでは、その存続に関わる重大なイシューとして議論されているところ。 その品質、創り方については、ICVCMによる「Core Carbon Principles:CCP」、使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」が共通ルールになるべく、鋭意開発中でした。 そして、ICVCMは昨年「Core Carbon Princ

CCPがリリースされました(3)

「高品質なクレジット」の要件を定めたCCP(Core Carbon Principles)を2回にわたってご案内してきました。 3回目は、フレームワークについて考えます。 ICVCMは下記2種類のレベルを設定していることをご案内しました。 筆者なりに、章立てを下記のように整理してみました。 「Program-level」は、プログラムオーナー、運営主体が受ける認証であるところ、「Category-level」は方法論(およびその方法論において認証されたクレジット)につい

CCPがリリースされました(2)

待ちに待っていた、「高品質なクレジット」の統一ルール。 前回は、ドラフトとの相違などについてご案内しました。 今回は、政策決定者向けの内容について。 踏み込んでの説明はとてもできませんので、章立てを著者なりに整理して、概略をご案内していこうと思います。 CCPは、1回目でもご案内したように、10の原理からなります。 政策決定者向けの章では、もちろん、それぞれについて簡単に説明されていますが、「CCP Attributes」とCCPs及びフレームワークの継続的な改訂につ

CCPがリリースされました(1)

どのような要件を備えていれば「高品質なクレジット」なのか。 グリーンウォッシュが問題となる中、昨年、ICVCMが統一ルールである「Core Carbon Principles:CCP」を策定、パブコメを実施していました。 高品質なクレジットを適切に活用することにより、地球全体の温暖化対策につながると言う立場で応援しており、こちらのnoteでも繰り返し、ご案内してきました。 また、国連が旗振り役となっている、「Race to Zero Campaign」でも、クレジットの

Energy Transition Accelerator (ETA)

ケリー米国気候問題担当大統領特使、ロックフェラー財団及びベゾス・アース・ファンドが11/9、Energy Transition Accelerator (ETA)という仕組みを発表しました。話題になっているようで、プレスリリースを確認してみました。 1.5℃目標を達成し、世界中で発生している気候変動による極端現象を回避するためには、再生可能エネルギーに対する前例の無い規模の投資が必要であるとの認識の下、特に途上国におけるエネルギー転換を加速させるための民間投資を促進させるこ

高品質なクレジットを目指して(3)

VCMI(Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative:自主的炭素市場十全性イニシアチブ)が、カーボン・クレジットの使用に際し、その透明性と信頼性を確保するための指針「The Claims Code of Practice (CoP)」の案が発表され、現在パブコメが終了し、内容を精査していると思われます。 このCoPについて、前回から紹介しています。 その「CoP」は4つのステップからなっておりまして、1と2は紹介済。 1.

高品質なクレジットを目指して(2)

「安かろう悪かろう」ではありませんが、ボランタリーなカーボン・クレジットについて、ネガティブな意見や懸念する声があるのも現実。残念ながら、実体の無いクレジット、ウォッシュと捉えられても仕方の無いクレジットもあるようです。 しかしながら、質の高いクレジットであれば、企業はクレジットの購入を通じて、自社のバリューチェーン内だけでなく、バリューチェーン外での排出削減に貢献できます。これは、まさしく、SBTiがNet-Zero Standardで求めている、「BVCM:Beyond