クレジット化、必要ですか?
「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。
noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。
しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。
それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。
noteでは、ブルーカーボンを推していることもあり、また、グリーンよりも新しい概念であることも寄与し、特に多くなっています。
そんなとき、最初にお伺いすることがあります。
「その目的は何ですか?」
クレジット化するのは、非常に難しいんです。
方法論を選択し、PDDを作成、第三者検証を受けた後登録申請。
登録後、一定期間のプロジェクト実施期間を経た後実績確認。
再度検証を受けて、認証申請。
一連の作業はこんな感じですが、一つ一つについて、ヒト・モノ・カネ・情報がかかります。方法論が無ければ、作成しなければなりません。海外のボラクレを目指すのであれば、数千万単位の費用がかかります。創ったからといって、無条件に売れるというものでもありません。
さらに、「ウォッシュ」という問題があります。
残念ながら、環境に資する取組どころか、環境破壊を引き起こしているプロジェクトも存在します。
ウォッシュの誹りを受けないようにするため、世界のクレジットスキームオーナー(VerraやGS、ACR、ARTなど)は、既存プロジェクトの再調査と方法論の改訂に奔走しています。
改訂については、基本的に、ICVCMが昨年リリースした「Core Carbon Principles」に準拠することを求める方向です。
また、使用するに当たっては、VCMIの「Claims Code of Practice」がデフォルトになると考えます。「どのように主張すれば良いか」というガイドラインとなっています。
これを踏まえた上で、「それでもやりたいですか?」と問い直します。
いかがでしょうか?
クレジットの収益が目的でなく、自社の環境配慮姿勢を訴求したい。
つまり、環境ブランディングや、格付会社・インデックス対応が目的であれば、クレジット化は不要です。削減量や吸収量を「認証」してもらうという方法もあるのです。
もちろん、対外的に訴求するためには、しかるべき機関による認証である必要があり、何を持って「信頼」されるのかは、明確なルールはありません。
現在、サスティナビリティ情報の検証についてルール作りが進行していますが、これに則った検証ができる機関が、候補になるかと思います。
あるいは、現在、ボランタリーながら、グリーンやブルーの認証を行っている、団体・NGO・イニシアチブなども、選択肢になるでしょう。
また、コストはかかりますが、EPDのような環境ラベルの取得という手段もあります。
いずれにせよ、着手する前に問いかけてください。
「何のためにクレジット化を目指すのだろうか」と。
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