ウォッシュを許さない文化を創ろう
今年2月6日、VerraがCDMの方法論「AMS-III.AU(稲作における水管理方法の調整によるメタンガス排出量の削減)」に基づくVCSを停止していると、CARBONCREDIT.COMが報道しており、どうなるだろうと思っていました。
この方法論は、稲作における有機物の嫌気性分解を低減することによる、GHG排出回避です。
これには、以下のようなプロジェクトや活動が含まれます。
・中干しの実施もしくは中干し期間の延長
・間断灌水もしくは好気性稲作
・移植栽培から直播栽培への変更
なお、プロジェクト地域の稲作が、成長期の長期間、灌漑、湛水された水田であることを要件としています。
ベースラインとプロジェクトのシナリオはこのようなイメージです。
で、注目の結果は ?
レビューの結果、「恒久的に停止」することになったようです。
3月20日に公式なリリースがされました。
本手法の恒久的な停止の理由は以下の3つ。
レビューにおいて、品質に問題のある検証を実施したと認められた検証機関もオープンにされています。以下の4つの検証機関のうち、3つは中国の機関です。まぁ、中国南部での広大な稲作地帯で、過剰なクレジットが創生されていたということでしょう。
ちなみに、停止は2023年2月3日からですので、それ以前にAMS-III.AUに基づいた申請がなされている場合、登録は進めることができるものの、以下のことを行う必要があるそうです。
Verraは、代替となる規格として「VM0042 Methodology for Improved Land Management」に基づく規格を策定することも発表していますので、新たに申請しようとする場合は、こちらを待ってからが良いでしょうね。
さて、私がこのニュースを気にしていたのも、ボランタリークレジットの活用が進む中、実際の排出量削減につながっていない、ウォッシュではないか、という懸念が問題視されるようになってきているからです。
例えば、23年1月18日のガーディアンの記事に対して、Verraが反論するという一幕もありました。
まぁ、出る杭は打たれる、ではありませんが、認知が進むに当たって、このような事が起こることは想定内ではあります。だからこそ、「高品質なクレジット」要請が高まり、だからこそ、ISOやICVCMやVCMIなどの国際イニシアチブが、統一ルールを策定するムーブメントが起きている訳です。
個人的には、非常に良い流れだと思い、作る側からしても準拠するルールが明確される訳で、ウェルカムです。
これまで何度となくお伝えしてきたところですが、これからも、「安心して」ボランタリークレジットを活用することで、BVCM(Beyond Value Chain Mitigtion バリュチェーンを超えた排出削減)に貢献してもらえるよう、定期的に発信していきます。
信頼できる情報源として、ご利用頂けるよう頑張ります。
よろしくお願いします。