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CCPがリリースされました(3)

「高品質なクレジット」の要件を定めたCCP(Core Carbon Principles)を2回にわたってご案内してきました。

3回目は、フレームワークについて考えます。
ICVCMは下記2種類のレベルを設定していることをご案内しました。

1.プログラムレベル(Program):CCP-Eligible
2.カテゴリーレベル(Categories of carbon credits):CCP-Approved

筆者なりに、章立てを下記のように整理してみました。

Core Carbon Principles, Assessment Framework and Assessment Procedureより著者翻案

「Program-level」は、プログラムオーナー、運営主体が受ける認証であるところ、「Category-level」は方法論(およびその方法論において認証されたクレジット)についての認証ですから、「Category-level」にGOVERNANCEの章が無いのは当然ですね。

登録申請されたプロジェクトについて、1〜4の要求を満たしていることを担保するシステムが構築され、運用されているかが審査されます。

他方、AdditionalityPermanenceといった、EMISSION IMPACT:効果、インパクトについては、方法論で明確化されていなければなりません。申請するプロジェクトは、それを担保するエビデンスを示す必要があります。

ゼロカーボンを達成するためには、どうしても削減できない削減量、残余排出量が10%程度想定され、「中和」することが求められますが、その「中和」に使用できる「吸収量」「除去量」においては、Permanence、永続性が重要です。

個人的には、「高品質なクレジット」か否かを決めるのは、この点だと認識しています。クレジットを創生する側、購入する側が不幸にならないためにも、特にこの2つの要件については厳密に規格に落とし込み、保守的に計画を立てることが肝要だと考えます。


Robust quantificationは、両カテゴリーに求められていますが、特にGOVERNANCEにからんで、「Program-level」に高い要求をしています。

つまり、エビデンスに瑕疵があった場合や申請書に誤りがあった場合、計算ミスがあった場合の手順を確立しておくべし、ということ。

レビューやクレジット発行の停止/取り下げなどの処置が、どのような場合になされるのかというルールを予め明示しておく必要があります。

そして、「Robust」を最もよく表しているのが、「クレジットの前借りはできませんよ」という点。事前発行は「not CCP-eligible」となる訳です。

この場合、クレジットが事前発行か事後発行なのかが仕組み上特定できるようになっていれば、プログラムとして、事前(ex-ante)または事後(ex-post)のクレジット発行を規定していたとしても、そのプログラムは「CCP-Eligible」とされます。

ATTRIBUTEについては、1回目で説明しました。
PROCEDUREは、クレジットのシステムオーナーが参照するものですから、作る側/使う側としては関係ないので、割愛します。


ここまで説明しておきながら、なんですが、実は、GOVERNANCEとEMISSIONS IMPACTについては、そもそも、CORSIA適格プログラムと同等の要件を有していることが前提となっています。

つまり、フレームワークはCORSIAベースであり、それに要件を追加する形となっているのです。(いわゆる上乗せ規制条例ですね)

なので、non CORSIA-Eligibleは、アセスメント手順に沿って申請することになる一方、CORSIA-Eligible なプログラムは、上乗せ分だけ申請時に提供すればOKということになります。

申請したいプログラムのシステムオーナーは、まずは、CORSIA適格クレジットの要件を参照し、準拠させることが第一ステップということです。

確かに、CORSIAはITMOsで、NDCにも使用できるスキームなので、「高品質なクレジット」の代表とも言える存在。さらに、それに要件が上乗せされているので、品質については間違いが無いでしょうね。


今後のスケジュールですが、今回公表されたのは「the Program-level criteria」と「the Assessment Procedure」のみで「the Category-level criteria and requirements」は2023年第2四半期にリリースされるとのこと。

ですので、CCP-Eligible program 及び CCP-Approved categoryが誕生するのは早くて第3四半期、CCPラベル付クレジットが発行されるのはその後ということになりますね。

また、ICVCMはCCPを継続的にブラッシュアップする予定で、最初の改訂版は2025年、適用開始は2026年としています。

ステークホルダーからのフィードバックを受けながら、VCMIとも協調して改善を続けるようなので、期待できそう。

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