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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#ICVCM

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

クレジット化、必要ですか?

「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

クレジットの十全性とは?

打合せの中で不意に受けた質問に、一瞬戸惑い、我に返りました。 「易しい言葉で」「誰にでも分かるように」と言いながら、結局、受け手に頼り切った説明を行っていたなと。 ですので、ざっくりで恐縮ですが、説明をしておきたいと思います。 まずは、ITMOs(Internationally Transferred Mitigation Outcomes)から。 そもそも、これ自体が「クレジット」ではなく、「クレジットの総称」です。 例えば、次のようなクレジットが含まれます。 IT

GSがCCP(プログラムレベル)評価を申請

こちらのnoteで、しつこいくらいにお届けしている「高品質なクレジット」 その共通ルールとなるべく、ICVCMが「Core Carbon Principles:CCPs」の第一弾を3月に公開、第二弾を7月に公開して「完全体」になった旨も、いち早くお届けしました。 CCP認証は次の2種類の認証がありますが、ICVCMが行う認証は「1.プログラムレベル」のみです。 「プログラム」とは、例えば、Verraの「VCS」やゴールドスタンダードの「GS」などの「カーボン・クレジット

CCP完全版リリース

グリーンウォッシュが問題となる中、高品質なクレジットが備えておくべき要件として、ICVCMが2023年3月に公表した「Core Carbon Principles:CCPs」 こちらでも、3回シリーズで、いち早くご案内しました。 しかしながら、この時発表されたのは、「the Program-level criteria」と「the Assessment Procedure」のみでした。 ですので、3月公表分には「要求事項(requirements)」が含まれていなかった

23年6月 待望のCoP公開へ

「高品質なクレジット」とは何ぞや? ボランタリーかコンプライアンスに関わらず、カーボン・クレジット周りでは、その存続に関わる重大なイシューとして議論されているところ。 その品質、創り方については、ICVCMによる「Core Carbon Principles:CCP」、使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」が共通ルールになるべく、鋭意開発中でした。 そして、ICVCMは昨年「Core Carbon Princ

CCPがリリースされました(3)

「高品質なクレジット」の要件を定めたCCP(Core Carbon Principles)を2回にわたってご案内してきました。 3回目は、フレームワークについて考えます。 ICVCMは下記2種類のレベルを設定していることをご案内しました。 筆者なりに、章立てを下記のように整理してみました。 「Program-level」は、プログラムオーナー、運営主体が受ける認証であるところ、「Category-level」は方法論(およびその方法論において認証されたクレジット)につい

CCPがリリースされました(2)

待ちに待っていた、「高品質なクレジット」の統一ルール。 前回は、ドラフトとの相違などについてご案内しました。 今回は、政策決定者向けの内容について。 踏み込んでの説明はとてもできませんので、章立てを著者なりに整理して、概略をご案内していこうと思います。 CCPは、1回目でもご案内したように、10の原理からなります。 政策決定者向けの章では、もちろん、それぞれについて簡単に説明されていますが、「CCP Attributes」とCCPs及びフレームワークの継続的な改訂につ

CCPがリリースされました(1)

どのような要件を備えていれば「高品質なクレジット」なのか。 グリーンウォッシュが問題となる中、昨年、ICVCMが統一ルールである「Core Carbon Principles:CCP」を策定、パブコメを実施していました。 高品質なクレジットを適切に活用することにより、地球全体の温暖化対策につながると言う立場で応援しており、こちらのnoteでも繰り返し、ご案内してきました。 また、国連が旗振り役となっている、「Race to Zero Campaign」でも、クレジットの

Energy Transition Accelerator (ETA)

ケリー米国気候問題担当大統領特使、ロックフェラー財団及びベゾス・アース・ファンドが11/9、Energy Transition Accelerator (ETA)という仕組みを発表しました。話題になっているようで、プレスリリースを確認してみました。 1.5℃目標を達成し、世界中で発生している気候変動による極端現象を回避するためには、再生可能エネルギーに対する前例の無い規模の投資が必要であるとの認識の下、特に途上国におけるエネルギー転換を加速させるための民間投資を促進させるこ