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スナックのママを退職しました。日本橋CONNECTでの1年をふりかえる


2019年5月に Fireplace にジョインし、立ち上げからお世話になった日本橋CONNECTを2020年5月末をもって退職しました。たった一年ですが、未熟ながらいろいろと学んだことや、次のステップに向けての忘備録としてここに記しておこうと思います。長くなったらすみません。

厳密には現在営業自粛中ですが、来週から営業を再開し、6月8日(月) 20時〜と9日(火) 19時半〜の2日間ほどお店に立ちます。衛生管理もきちんと行った上でお出迎えしますので、よかったらぜひ遊びにいらしてください!


01_ジョインしたきっかけ

新卒で「スナックのママ」という肩書を手に入れたのは、私だけなんじゃないかと思うくらい、自分でも不思議なめぐりあいの一年でした。

就職活動を辞め、生計を立てられるほどの売上がないまま大学を卒業した私は、友人の紹介により夏にオープンするお店のママリーダーを務めることになっていました。

紹介のきっかけは、学生時代から私が「スナックのママ」だったから。大学時代のほとんどを飲み屋のアルバイトに捧げた私は、夜の世界の酸いも甘い(笑)も学びながらも、接客・接待をする場や、お酒を酌み交わす場が好きでした。

その経験もあり、いつしかスナックのような場を開きたいという気持ちからスナックの自主イベントを運営していたことがご縁につながり、日本橋CONNECTの仲間に入ることに。
小さいながらも、やりたいことを行動に移していてよかったと思う瞬間でした。

当初は、「多めにシフトに入るメインスタッフ」くらいふわふわの頭でいたんですが、蓋を開くとなんにも決まってないことを知ります。スタートアップ最高。。
どっちみち0→1は好きな方なので自分の意見を反映できるのは楽しく、こうやって機会をいただけたのは本当にありがたいことでした。

CONNECTのコアメンバーに入る一方で、副業で働く他のママはみんな色んな意味で大先輩。年齢はバラバラだけど当然私は最年少。みなさんを前に「リーダーです」と紹介されてから、2ヶ月くらいカオスしか感じませんでした。よくリーダーやったな…

やるっきゃないぞ〜と奮い立たせながらも、みんな優しいしなにより頼もしい方ばかりなので不安はありませんでした。むしろ自分の年齢でキャリアの大先輩たちと関われることなんてないと思い、こういう繋がりのほうがいいなと楽しんで働くことができました!


02_バタバタのオープン準備

5月にジョインした私は、立ち上げメンバーの中で終わりに入った方でした。当初のオープン予定は7月。結局工事が長引き8月下旬部プレオープン予定になりましたが、それでもギリギリでした。

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完成前工事中のBAR

オープン前に行ったこととしては、コンセプトのすり合わせ、システム設計、、ターゲット設定、メニュー設定、備品買い出し、酒類発注、オペレーション準備、設計相談など、お店をお店にするための諸々を行いました(もっとやるべきことあるけど)。が、もちろん店舗立ち上げの経験はゼロ。接客経験を振り絞りながらも、知識がないままオープンに追われ目の前のことを進めていた気がします。

オープンはBARのとなりの食堂エリアメンバーと一緒に奔走しました。ほとんど全員同世代で初期メンバーは平均22歳くらいだったんじゃないだろうか。。

Fireplaceにアツいメンバーがたくさん集まるのは、オーナー知さんがビジョンを掲げ若者に機会を与えようとしてくれること、個人を尊重してくれることが大きいなあと改めて実感しました。

現場経験はあったものの、人形町という立地や日本橋CONNECTの作りたい世界観とすり合わせると、自分の経験はいったん横に置いておいて、今ここで必要なことを一つずつ進めていかなければいけません。

しかし、コアメンバーはいれど主要エリアのバー担当は私一人。一人で考えるのは好きだけど、一人でガンガン進めていけない。私の悪い癖を痛いくらい感じました。
なので当初からBARをつくりたいと出資していた共同オーナーが、コンセプト設定から買い出しまで(!)親身になってサポートしてくれたおかげで、個人的にはかなり心強かったです。


03_8月プレオープンとお店のめざす場所

あっという間にお盆が明けプレオープンを迎えます。シュミレーションもままならないまま当日を迎えましたが、なんとか終えることができました。
オーナーの広いつながりでたくさんの方に来店していただき、その際にお店への思いを語らせていただきました。

私の目指すスナックは、「人の弱さを受け入れられる場」にすること。

人と人がつながることをビジョンに掲げる日本橋CONNECTですが、中でもBARは「偶然の積み重ね」「受け入れあい」を大切にしています。

些細なことをきっかけに、名前も知らない人同士が偶然このお店を介して知りあえること。ママやその時のお客さんを通して、人と人がつながること。

もともとCONNECTでは、人材紹介やビジョンマッチができる仕組みづくり目指していたので、名刺交換やビジネスの話も盛んな場所です。ですが、相手の肩書きを知らなくても楽しめるのが飲み屋の魅力だと思っているので、BARでは食堂とはまたちがった形でゆるっとしたつながりを育みたいという思いでやってきました。

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プレオープン1日目。メンバーバラバラだけど当初のコアメン&お手伝いママ。


04_オープン時期〜日替わりママのニーズ

オープン直後はメニューも接客も不完全なところがありながらも、本業や家庭が忙しいなか協力してくれたママたちとお店づくりに励みました。
主な私の業務は、ママとしてのオペレーション業務、他ママのマネジメント、集客・SNS運用、イベント企画、BARエリアの管理諸々を行っていました。

当初からあった課題としては、BAR独自のコンセプト設定とママのアクション。人形町というディープで落ち着いた下町に、ビジョナリーなお店を構えるとなると、ターゲットと世界観のズレに苦戦します。

BARといえどほとんどスナック。カジュアルすぎず落ち着きを保てる場所にしたかったので、ある程度の接客技術やおもてなしを提供できるスタッフ教育が必要だと考えていました。


私は接客において、プライドやこだわりを持っていました。業態は上から下まで経験しながらも、基本は「見て」「盗んで」覚える業界。
マニュアルなんてないしぼーっとしてたらおいていかれるため、独自のやり方を見出していくしかない。その中で生き残るぞという気持ちから、知らぬ間にこだわりができていたんだなあと感じます。

しかし、CONNECTにおいてはそういうプライドやこだわりを捨てようと決めました。飲み屋とはいえ、お酒やママはあくまでも手段。属人的になりすぎないように、「ママとして働くことのハードルを下げること」「飲み慣れていない人も楽しめる場所」を目指しました。

ハードルを下げたいと思った理由はもう一つあります。日替わりママをやりたいという人がなぜこんなにいるんだろう?と不思議に思っていたのですが、みなさんを見ていると考えが変わりました。
本業だけでも経済的余裕がある方、家庭をもっている方もいるけど、みんな自分のやりたい趣味としてお店に立ちたいと思っているんです。

仕事や子育ても忙しいけど、自分のやりたいことをあきらめないで生きている年上の女性たちがいること。お店に立つことで"非日常"を味わいたい人びとがそこにいること。
そして、CONNECTはその人たちの「やりたい」を叶えられる場なんだと実感し、お客さまだけでなく、ママたちにも寄り添えるような場をつくりたいと思うようになりました。

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ママたちからのメッセージ。一緒にお店に立ったママ同士が楽しかったと言ってて泣いた。


05_オープン後〜閑散期

じっさい、オープン後のお店の状況は最悪だったと思います。在庫管理はバラバラで、知らぬ間に同じ備品が届いてたり、BARと食堂の物が入れ替わってたり、開店前の清掃が行き届いてなかったり、予約を履き違えていたり…(今思うとほんとうにヤバい)。
ここで挙げるとキリがないですが、複合型の店舗で複数の商売にも関わらずチームワークとその管理がなってなかったことがミスの連続につながっていました。

その上オープンして2ヶ月目に入ると客足が落ち、集客に必死の状態となります。原因としては、友人知人に集客が集中しており近所の繋がりがうすかったことや、デザインがわかりづらいなど十分な準備が行き届かなかった結果でした。

その中でのBARの目標は、まずママたちがお店を回せるようにすること。当初はフォローが行き届かず不安を与えてしまった方もいましたが、それでもなんとか場数でのりこえ、しだいに個人の集客も増えるようになってきました。


06_BARでやったイベント

CONNECTを知ってもらうための企画、そして私たちが着物を着たいがために行われたイベントも行いました。

年末にはオトナだけじゃないぞ!と、ファミリー向けのクリスマスパーティーをしたり

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日中営業している、お茶屋さんのハトハさんとコラボしたり(日本酒で抽出する玉露がウケた)

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昭和歌謡曲を流しまくり、あえて「スナックっぽさ」を演じにいく会をしたり、

いつもお世話になってる喜屋武さんのソーシャルバーPORTOにて出張スナックをしたり、

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イベントをきっかけにCONNECTを知ってくれた方もたくさんいて、(PORTOの回で仲良くなったメンバーが後日CONNECTに集まってくれた!)一見さんでも来れるきっかけがつくれたりと、こういうハードルの低さが自分も好きだなあと実感したイベントでした。


07_年明け〜ママ再募集

忘年会シーズンはいろんな意味で記憶がない。笑
あっという間に年が明け、BARでは人手不足が続いたのとチームの強化のため、ママを再募集することにしました。

今まではオーナーの繋がりで集めていたのですが、人の属性の幅を広げるために初めて募集サービスbosyuを利用することにしました。知さんやCONNECTをまったく知らない人をいれることにより、ママやお客さまの多様性を広げたり、私たちについて知ってもらうことが増えました。

募集後、手を上げてくれた人はなんと40名ほど…!
ありがたいことに2月〜3月はひたすら面談&体験期間でした。ここで改めてCONNECTの思想やお店について人に伝える機会が増え、個人的にも「CONNECTの価値はなにか」「ママのやりたいを叶えるにはどうすればいいか」「コンセプトを体現するには」などを見つめ直す機会になりました。

そうやって見えてきたのは、日本橋CONNECTのお客さんは多様性を受け入れてくれるやさしい人たちだということ。

職業も生き方も個性的な方が多く(類友ですね)、いろんな引出しをお持ちの方がたくさんいて、みんなそれを楽しんで受け入れてくれるんです。

一見さんでも誰かが話しかけてくれたり、常連さんがテリトリー入りづらいを作っているわけでもない。「毎回新しい人に会えて楽しい」と言ってくださるお客さんが増え、力を貸してくれるスタッフも増えました。

売上面も年明け以降着実に増加していて、3月にはやっと「常連さん」と言える方がついてきていた時期でした(もちろん2回来てたら常連さんだけどね!)。
でも私は満足いく結果じゃなかったので、まだまだな気持ちもありましたが、他のママが「さとみちゃんが少しずつ愛情込めて育ててきたCONNECTはきちんと成長してるよ」という言葉をかけてくれたとき、
「お前がいるからこのお店にくるんだぞ」とハッハと笑って帰っていくお客さんがいるとき、
お客さん同士が「CONNECTに来たから仲良くなれた」という報告をしてくれたとき、やっててよかったと思えてほんとうに嬉しかったです。


08_自粛後といま

世界でコロナの影響を耳にしはじめ、飲食店としての危機が近づいてきたとき、まだ春に向けての計画を考えていました。

やっと、やっと形になり始めていた段階だったので、営業を自粛はすごく残念です。ただ、こうやって当たり前が当たり前でなくなっていったことで、CONNECTについて見直せるいい機会なのだと思いました。

そして、この一年で関わる人がぐんと増え、新しい日替わりママやお客さんのようすを見ていると、もっと新しい可能性があるんじゃないかと思うようになりました。

そのためにやれることもあったけど、自分はもっと外で強くなるべきだなとも思ったし、コロナ禍でほとんどの人が考えた「今の自分」と「これからの人生」について考えた末、私も卒業することを決めました。

そして、個人的にBARで成し遂げたかったことがやりきれなかったのは、私の力不足です。真摯に受け止めて、もっと強くなって次に生かしていきたいです。

まだ言葉にしきれてないものもたくさんあるので、どこまで伝わるかわかりませんが、何年後かにわかると思うのでそれまで見守っていただけると幸いです。

ちなみに今は、小さなオンラインサービスを準備しています。そこもがんばっていくところですが、これを読んで何かを感じた方がいたらお仕事たくさんください。笑


09_さいごに

この一年は、自分の苦手なことやトリガーを強く感じ、それを受け止められた時間でした。人の動きや自分のあり方に目を向け、反省しながらも、過去の自分がやってきたことに自信をもてるようになりました。

人って異なる場所で能力を発揮してからやっと実力を肯定できるものだと思います。

実務が伴ったら、能力がついたら、そうやって実力を自分の目で確かめることはむずかしく、また、それを学んだ場所だけで判断してしまうのもあまり意味がない気がします。

仕事をし人と生きていると、どうにも結果や実力を重視してしまうことがありますが、目の前の人に向き合ってどうしたら喜んでくれるか、どうしたら苦しみを緩和できるかを考えることの連続なのだと学びました。もちろん数字は大事ですけどね。

自分が培ってきたもの、逆にまだ能力を確かめられてないところは外へでていくことで種をまき育てつづけること、そうやって自分は次に行って少しずつ、過去を肯定していきたいです。

立ち上げから関わってきてくれたメンバー、応援してくれたお客さま、協力してくれたキャストのみんな、明るくてつよつよの姐さんたち、関わってくれたみなさん、知さん、本当にお世話になりました。


またいつかママになったら、お店に遊びにきてください。

みなさまのご来店、心からお待ちしております。




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