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パスタ、お好きですか?

最近、ヤマザキマリさんが気になる。
ヤマザキマリさんといえば、「テルマエ・ロマエ」だ。
あの画風といい、“平たい顔族”という表現といい、初めてあのマンガを読んだときから、なんだか妙に惹きつけられるものがあった。

あるとき、ラジオ番組にゲスト出演していたヤマザキマリさんのトークがもー、おもしろくて、おもしろくて。
この人の食べているものが気になる、とAmazonで買ったのが「パスタぎらい」。

イタリア暮らしも35年を越えたヤマザキマリさん、フィレンツェ留学中の貧乏暮らし時代にアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノをひたすら食べていたそうで「一生分のパスタを食べてしまったかもしれない」。
でも、日本で食べる、ケチャップたっぷりのナポリタンは別格らしい。

ちょっとわかるなー。
わたしは学生時代、お金がなくて主食だけ(ふりかけごはん1合分とか、フランスパン1本丸ごととか)食べていたせいか、いまは家ではほとんどコメを炊かないもの。

超余談ですが、最近いろんなお店のカルボナーラを食べ比べる、ということをしていました。これは「セガフレード・ザネッティ」。普通においしい。

帯に“食文化エッセイ”とあるように、単に好き、きらいだけでなく「古代ローマ人はローズヒップを薬として用いていた」だとか
「中国本土には鮮魚に緑やトロピカルブルーの色をつけたカラフルな寿司があるらしい」だとか、
「お酢は万能液で、イタリア人はお酢で掃除をする。(万能すぎて家そのものが酢漬けのような臭いを漂わせることも)」などなど、なにそれ気になる、なネタがちょこちょこ織り交ぜられていて面白い。

これは「すぱじろう」。ちょっと地味ですね。

50km離れたところに住むお姑さん(もちろんイタリア人)が「今日はSUSHIを作ったから食べに来い!」と召集をかけるので行ったところ、クリームチーズにスモークサーモンを乗せたものが出てきた、というエピソードも好きだ。
お姑さん、かわいいなぁ。

これは「麦と卵」。チーズコッテリでもたれました

いちばん好きなのは、「臨終ポルチーニ」の章。

息子には「臨終ポルチーニよろしく」と念を押し続けているけれども、「乾燥や冷凍のものではなくて、もちろん生で、採れたてで、笠の直径が十五センチ級のふかふかしたやつを炭火でグリルにして、キノコ汁が染出しているところにエクストラ・ヴァージン・オイルをちょっと垂らしたものをお願い」と細かい指定をすると、「……何言ってるの」と冷たくあしらわれてしまう。
パスタぎらい/ヤマザキマリ

なんてめんどくさい、と思うけれど、その食べ方は絶対に美味しい!
わたしも臨終ポルチーニに便乗したい!

ヤマザキマリさんが各地で実食した“世界の病人食”も興味深い。

・フランス…スープとハム
・イタリア…ブロード(コンソメスープ)にパスティーナを入れたもの、マッシュポテト、赤ちゃん用のビスケット
・チベット…牛の干し肉、バター茶(ヤクのミルクで作ったバターと茶葉を煮詰めたもの)
・キューバ…黒豆の煮込みとバナナ
・ポルトガル、ギリシア、アメリカ…チキンスープ
・シリア…お米にヨーグルト
・南太平洋の島(ってどこだろ?)…タロイモの葉をグチャグチャに煮たやつにココナッツミルクをかけたもの

鶏肉は比較的、宗教観に関係なく食べられるからなぁ、と納得するし、どれも滋養がありそう。

これは八重洲地下街「CHAYA」。これもちょっと地味。
美味しいと思えないものを無理やり食べるところから『味覚の外交力』が始まり、寛容性が生まれるのかもしれない。
パスタぎらい/ヤマザキマリ

これはほんとうにそのとおりだと思う。
大好きだった番組「ウルルン滞在記」でも、昆虫やら見た目がグロテスクなものやら、出演者が「それはちょっと……」と腰が引けがちながらもエイっと口に放り込んだ瞬間から、ホストファミリーとの距離がグッと近づく、みたいなシーンがたくさんあった。
そう考えると、異国の未知の食べ物をどんどん取り入れ、自国のものとして進化、発展させてきた日本人のDNAには、“味覚の外交力”が備わっているのかもしれない。

なんだかんだ、セブンイレブンのアルポルト監修カルボナーラがいちばん好みだった。コスパ的にも。


あー、お腹空いた。
ひとが食べているものって、どうしてこんなに美味しそうなんだろう。

ポルチーニが食べたいところだけれど、さすがに手に入らないから、ありったけのきのこをソテーにしよう。笑

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