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オンラインイベント有償化を阻む3つの要因

オンラインはお金を取れない」という声をよく聞きます。

確かに、日々SNSで宣伝されるイベントを見ると大半が無料なのに、講師はそれなりに著名、明らかに原価がかかってます。

フォロワー万単位の面々がこぞって無料イベントを打ちまくる「オンライン修羅の国」では、リアル時代のアセットなどケツを拭く役にも立ちゃしなそうな気がしてきます。

とはいえ、何もしなければ、待つは確実な死。

リアル中心の企画屋であった私にとって、この状況は死活問題だったため、知見共有のコミュニティを立ち上げ、試行錯誤もしています。

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更に、周りの"著名人ではない"実践家の成功事例も見えてきました。

本稿では、そうして見えてきた、オンラインのイベント収益化のヒントをまとめます。

全2回の前半はお金を取りにくい原因を掘り下げます。
次回後半では収益化の具体的方向性を類型化します。

現状:オンラインイベントの大半は1,000円以下

無料で魅力的な講座が溢れている中で、わざわざお金を払おうとは思わないでしょう。

私もオンライン化が始まった頃、90分のオンラインセミナーを何回かトライアルとして無料で実施し、アンケートで「このイベントにいくらなら払いますか」と聞いたところ、大半が1,000円かそれ以下、高くても3,000円でした。
これは、参加者としての自身の肌感と近い金額です。

常時4,000件のオンラインイベントが立っているイベント管理サービス「Peatix」の中の人に聞いたところでも、実は、有償と無償のイベントの比率は変わっていないものの、有償イベントの大半が1,000円以下と、リアルと比べ圧倒的に単価が安いそうです。

オンラインの有償化を阻む3つの要因

単に良質なコンテンツが無料で多く提供されているだけではなく、参加者や主催者の側の原因もあります。

それぞれについて掘り下げてみます。

原因1)オンライン独自の価値がない

オンラインとリアルでは、商材の性質が感覚的に異なります。

例えるなら、リアルが「入場料を払う観劇」とすると、オンラインは「YouTube」。

時間と手間をかけて会場に足を運び、周りの参加者と雰囲気を共有しながら実物の講師の話を聞くのと、自分の部屋でPCやスマホの画面をながら見するのとでは、ありがたみが違うでしょう。

また、交流に価値を感じてイベントに参加する人もいます。

同じ価値を提供していると主催側が思っても、参加者は価値の劣化を感じているかもしれません。

オンラインの方が原価が安いと思っている人もいます。
原価と価値は本来は関係ないはずですが、原価が安ければ価格も安くあるべきと思われがちです。

なお、リアルのイベントは会場費無料・ワンオペで回せますが、オンラインイベントをワンオペで回すのは大変で、固定費の面ではオンラインの方が高くなります。
スタジオでプロに撮ってもらえば、リアルより原価が嵩みます。

また、同じ内容を伝えるには、オンラインの方がリアルの1.5〜2倍ほどの時間がかかるため、時間当たりの価値が低いと感じられるでしょう。

そういった主観的価値劣化を補ってあまりある、オンラインならではの付加価値があればいいのですが、単純にリアルの内容をオンラインに置き換えただけでは「移動時間がない」「質問しやすい」「気軽に受けられる」(いずれもアンケート回答より)程度で、お金を払うほどの価値とは認識されません。

人は価値を感じないものにお金を払わないため、有償化は難しいのです。

原因2)知名度がある人にとっては、無償の方が合理的

SNSで目にするオンラインイベントの多くが無料なのには、競争上相応の理由があると考えられます。

無料イベントがありふれている中で有料にしても集客が覚束ない今の状況では、無料にしてリーチを広げておき、その後の商売につなげようと思うでしょう。

リアルなら、無料イベントでも100人以上集めるのは大変ですが、オンラインなら申し込みが200人、300人、という話はざらにあります。

リーチxコンバージョンで考えると、コンバージョン率を2倍にするのは大変ですが、オンラインならリーチが容易に数倍になり得る、ということです。

オンラインイベントは、移動がない分リアルより気軽に申し込みやすく、その上無料となれば、拡散されやすいのでしょう。

オンラインは、相対的に固定費は高いものの変動費は殆どないので、参加人数を増やすほど原価率は下がります。

リアルでは会場サイズで定員が決まり、変えることは難しいですが、オンラインなら、ツールのアップグレードやライブ配信でフレキシブルに定員を増やせます

オンラインであれば何百人来ようと、オペレーターやアシスタントは一人二人で済みますが、リアルだと参加人数に比例してスタッフの頭数が必要で、人件費や手配の手間がかかります。

オンラインイベントの集客期間はなぜか短く、公開2週間後に実施というのもざらです。
リアルだと1ヶ月以上先が普通ですが、オンラインだとだいぶ先に感じます。

会場や人員手配の手間も少なく、コストやリスクも低く、直前でも集客できるので、実施回数を増やせます

既にある程度影響力ある人なら、中途半端にお金を取るより、皆が一律在宅勤務で暇なこのタイミングに、自分の知名度をテコに無料イベントで多数の参加者を集めて認知を一気に高め、後で回収すればいいと考えるでしょう。

原因3)主催者に覚悟がない

オンラインとリアルでは、構成や資料の作り方、話し方や盛り上げ方、運営のプロセスなど、ことごとく異なります。

比較的移行しやすいセミナーと比べ、ワークショップは更に作り方・回し方が異なります。

品質に妥協しない主催者の中には「これでは対価を請求するに値しない」という考えに陥る人もいます。

オンラインだと、ツールの不具合などで参加できなくなるという事が起こり得ます。
その場合の補償をどうするかなど、リアルと異なるリスク対策も必要です。

受付・回収の難しさもあります。

zoomなどの表示名と申込名が異なることはざらにあるので、名前を突合するのは現実的ではないですし、参加登録をしてもらって事後確認するのも手間がかかります。

リンクを知っている人だけ参加できるように割り切るのが、少人数・最小工数で運用する現実的な対応でしょう。

とはいえ、お金を払わずリンクを手に入れ、タダ見をしている人を検知する仕組みがないことを懸念する人もいます。

決済サービスやイベント管理サービスも、フレキシブルなお金の取り方に対応していません。
例えば、途中から有償パートを設けるなどです。ニコ生ではできそうですが、ちょっとビジネスイベントぽくない気もします。

そういった諸々のプロセスを新規に確立するには、ツールを組み合わせて仕組みを作り、運用を確かめるトライアルが必要でしょう。
それらは参加者の負荷や混乱を招きますし、リアルが可能な状況に戻れば無駄な投資になるかもしれません。

カニバリへの懸念もあるかもしれません。

リアルと同じコンテンツをオンラインでは安く提供してしまうと、リアルが実施可能な状況に戻った際に同じ金額を取りづらくなる、ということです。

これらは一概に間違った判断とは言えませんが、コントロールできない外部環境変化に自らを委ねることになります。

次回:収益化の方向性

次回は、事例に基づき、上記問題をある程度解決する方向性を示します。

・低額x超大人数
・高額x少人数・複数回のゼミ
 ※中単価x中人数・単発セミナーは難しい
・資料、権利、物品の事後販売や投げ銭
・後商材の宣伝
・参加費ではなく、スポンサー料を取る

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