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集客だけではない 「講座案内文」の多面的機能〜理論編

コミュニティマネージャーなど「場づくりをする人のための、最も解像度の高いガイド」を作るために、年間200講座の企画と13年のコミュニティ運営で培った考え方を、順次共有していきます。

今回のテーマは「講座の案内文」

ターゲットへのフック、集客、申込者の誘導、関係者との合意と備忘など、案内文の持つ多面的機能について述べます。

前提:案内文は唯一の判断材料

案内文は、個人的な面識もなく、個別に話もできない読み手が、参加の判断をする唯一の材料です。

よって、判断に必要な情報が、過不足なく入っていることが理想。
とはいえ、スペースは限られますし、文章が多すぎると反応が悪くなるので、そのバランスが難しいところです。

その上で、どのような機能があるか解説します。

<講座案内サンプル>

1)ターゲットを反応させる

講座で重要なのは、目的に応じたターゲットを絞り込み、ターゲットに合ったコンテンツを提供して、満足してもらうことです。

案内文を見た人が自分で判断し、狙った層だけが反応して参加するのが理想です。

具体的には、想定する参加者を書いたり、敢えて専門用語を入れるなど、解像度を高めたりやレベル感を上げ下げすることで、狙った層のみが「あ、これは私に必要なものだ」と直感することを目指します。

さらに、レベルや流派が微妙に異なる層は「ちょっと違うな」と思うような、微妙なコントロールまでできると尚良いでしょう。

2)集客する

ターゲットが直感的に関心を持ったら、一気に迷うことなく参加申し込みまで、案内文でリードできるのが理想。

そのためには、読み手の視野、思考、感情、体の動きの全ての流れを想像し、読み手が疑問の余地なく快く手が動くように、気持ちと思考の動線を作ることが求められます。

例えば、タイトルやリード文の冒頭は視覚的にして、そのテーマに関心を持っている人なら直感的に興味が沸き起こるようにします。

そして、案内文で詳細を理解して価値を確信し、疑問が生じても即座に文中で解消されれば、スムーズに申し込みに至るでしょう。

また、どんな人にどう役立つかが明確に書かれていれば、「これはXXさんに役立ちそうだ」と、紹介やシェアにつながります。

興味と好感の持てる文章なら、今回は行けなくても、次回以降の企画に行きたいと思ってくれて、facebookやPeatixをフォローしてくれるかもしれません。

拡散やフォロワーの蓄積も、参加者の増につながります。

3)迷わず会場に導く

急いでいる時、駅の出口、道順、ビルの階数などを調べるのはストレスですし、セキュリティの通過や受付でモタついても苛立ちます。

そうならないよう、最寄駅と出口、駅から会場ビル、建物入口から会場までの道順、受付の手順などは詳しく書いておきます。

外部サイトに飛ばず、案内文で完結できる方が良いです。

入館にQRが必要、夜間や休日の通用口、アプリでの領収書発行など、主なケースには全て備えます。

事前質問や当日連絡の方法も伝えます。

案内文だけでなく、申込者向け事前メール、会場での掲示なども組み合わせます。

参加者が、どんな状況で何のために何を必要とするかを想像して、必要な情報が最適な形で提供されるよう、組み立てます。

4)期待値を調整する

継続する場づくりで重要なのはリピートであり、その基本は参加した人が満足することです。

満足度は事前の期待値を上回ることでもたらされるため、期待値調整が重要です。

対価の対象を詳細に

参加者は、講座で提供される価値への対価として、自らのお金と時間を使います。

そのため、提供されるものの記載が曖昧なら、参加者の期待とのギャップが生じ、不満の原因になります。

よって、参加者価値に影響する内容は、可能な限り具体的に書きます。

●当日進行などの講座内容の詳細
●配布物や飲食といった、講座以外の価値あるもの
●事前課題や前提知識など、価値享受に必要な条件
●撮影禁止や工事による騒音の可能性など、満足度を下げるリスクのあるもの

期待値は過大でも過小でもダメ

煽りで集客を底上げしても、期待値が過大になり、結果として逆効果になりますし、そもそも、その行為自体が品位を下げ、不信を招きます。

とはいえ、事実への光の当て方を変えて魅力を引き出す「お化粧」は必要です。
事実に正直すぎると言い訳がましく思われて、読み手の気持ちが醒めてしまいます。

さらに、書かれた文章は独り歩きするため、書き手の意図通り読み手が捉えてくれるとは限りません。

毎回悩みながら文章を練り、反応をみて改善を重ねるしかありません。

5)不満を防ぐ

分からないことがあれば質問がきます。
納得いかなければ不満が出ます。

1つでも不満が顕在化すれば、その裏に数倍疑問や不満をもつ人がいるはずです。

問題発生後の対応は、追加工数や精神消耗に繋がるので、案内文の記載で防げるものは、極力防ぎましょう。

ここでは特に大事な、お金にまつわることを具体例に説明します。

キャンセルポリシー

特に事前決済の場合、キャンセル可否、期限、手続、返金率や、譲渡可否と方法などを明記します。

あらかじめ書いておけば、少なくとも後出しに思われることはないです。

なお、キャンセル料は主催者の権利と勘違いしてはなりません。
本来、対価は参加して価値を享受した人からのみ頂くもので、当日払いが妥当だと考えます。

しかし、申し込みしておきながら当日来ない人のせいで、満席のため申し込みできなかった人が出るのは不公平です。
主催者側が直前キャンセルのリスクを負えば、結局それは参加費に跳ね返ります。
事前決済は当日受付での金銭授受がない分、人員も減らせてコストも抑制できます。

そのような、参加者の全体利益と公平性のための現実解として、参加者から理解を得るというのが、妥当な態度でしょう。

参加者とて、主催者の事情は理解して申し訳ない、行けなくて残念、と思っているでしょうし、参加費をドブに捨てて惜しいというのも正直なところでしょう。

そういう気持ちに沿う方が、長期的関係に繋がると思います。

正式申込

facebookの「参加予定」を正式申込と勘違いしないよう、申込方法を明記した上で、「参加予定」では正式申し込みにならない旨も注意書します。

申込リストに名前がない人が来れば、受付を滞留させます。
事前決済の場合、参加費を払わずに参加できることになってしまいます。
満席の時は、申込み出来なかった人に対して不公平になります。

全員が正式な手続きで申し込むようにリードすることで、そのような運営の公平と効率を損なう事態を予防できます。

当日参加

経済合理的には、当日払いと事前決済が同一金額なら、無リスクの当日払いを選ぶので、価格差というインセンティブをつけて対応します。

とはいえ、両者を併記すると、当日払いも正式な選択肢と思われてしまい、高くても当日払いでいいや、と判断する人も出ます。
全員が事前決済になることで運営が効率化するので、混在は避けたいところ。

とはいえ、当日参加費について明記しなければ、事前決済と同じ金額にせざるを得なくなり、事前決済した人との不公平が生じてしまいますし、事前決済を設定する意味がなくなります。

なので、備考の中に当日払いの扱いの取り決めを入れ、例外対応であると示しつつ、事前決済より高い額を頂く客観根拠としています。

6)運営側の備忘

案内文は、登壇者、会場提供者、企画者にとっても共通の拠り所となる公開文書です。

登壇者が資料を作り始める時、誰向けに、どれだけの時間で、どんな話をするか、記憶が曖昧な可能性もあるでしょう。

企画者である私ですら、年に200件も作っていると、一つ一つの詳細が覚束ない時もあります。

とはいえ、議事録など別の文書で管理すると見つからなくなるかもしれません。

しかし、案内文に必要情報を一元化すれば、それらの問題は回避できます。

趣旨、ターゲット、時間配分や主な内容を詳しく書き、関係者で合意して公開すれば備忘になります。

関係者間で記憶の相違が生じても、案内文という客観的根拠に基づき解決できますし、参加者との期待値の齟齬も抑えられます。

備考:前提が異なれば、最適解も異なる

この方法論の対象は、ビジネスパーソン向けの学びのイベントを想定しております。

高額な研修なら別途詳細な企画書を書くでしょうし、学生や主婦など受け手が異なれば文体や分量も異なるでしょう。

交流会や趣味のイベントを立てる場合は、目的やターゲットや文脈に合わせて、別の作り方をします。

大事なのは、目的を定め、読み手の視野、思考、感情、体の動きの全ての流れを想像し、読み手が疑問の余地なく快く手が動くように、動線を作ることを「考え抜く」ことです。小手先のテクニックではありません。

皆さんの企画の成功を祈念しております。

さいごに:記事化の想い

誰もが自分の場をつくれる「イベントとコミュニティをつくり続けるための、最も解像度の高いガイド」を世に出すため、2年間で300講座+13年のコミュニティ運営での200イベントで得た知見を、順次記事にしてまいります。

今後の記事をより良くする参考に、質問、コメントなど、気軽に頂ければ助かります。
少しでも誰かの役に立つと思われたら、シェアなど頂けると励みになります。

仕事として、場づくりや企画づくりの支援もしておりますので、ご興味あればご相談いただければ幸いです。

<主催・企画イベント紹介>


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高橋龍征@アルムナイ実践家
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