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フツーの人が商業出版することになった裏側

思いがけず本を出してしまいました。折角なので備忘として経緯を書いておこうと思います。たかだか1冊出したばかりで、私固有の要素もあるので、事実関係を淡々と書くものとご理解下さい。

内容:オンラインセミナー初心者のための実践書

私が2年間で300件の社会人セミナーを実現した方法論に、オンライン化のTipsを加味したものです。ターゲットは、対面のセミナー、イベント、営業を、オンライン移行しなければならない課題に直面している人々。

1人で年間200企画を実現するには、継続を意識した仕組化が必要で、それが特長かと思います。効果の上がるオンラインセミナーができるようになるための、基本となる考え方から超実践テクニックまで、網羅的に書きました。

出版企画を書くベースの経験

本格的に出版を考えるまでの前段を説明します。もともと本を出そうという考えはなかったのですが、いくつかの出版企画に関わる経験を重ねる内に「出版企画は作れそう」と自然に思うに至りました。

1)他人の出版をアレンジ

最初に出版に関与したのは、私が企画した講座の講師の出版をアレンジしたことです。講座の認知を広めるために、入門講座を色々なところで実施し、更にその内容を記事化して、メディアやサイトに掲載していました。

そうしてコンテンツを貯めて、内容も参加者のニーズを反映してこなれさせた上で、旧知の友人でビジネス書出版社「クロスメディア・パブリッシング」の創業社長である小早川さんに、講師の各務太郎さんを紹介し、出版企画が形になるよう取り計いました。

私は単に両者を引き合わせただけですが、連絡のやり取りの中には入っていたので、出版企画書にはどんな要素が必要で、どういう進行で本ができるのかを垣間見ることはできました。

出版企画とセミナー企画
似ているところ・違うところ


出版企画は、私がセミナーを企画する時に考える項目はかなり似ていました。因みに私は2社の出版企画を見ましたが、記載項目はかなり似ており、出版企画はどの会社も大差がないと推測します。

セミナー企画と近い項目は以下です。
・タイトル、キャッチコピー
・ターゲット
・付加価値、差異化
・著者略歴
・概要
・構成

出版企画に特徴的な項目は以下です。
・類書、市場規模、ジャンル
・検索ワード(電子出版の場合)

数十人の参加で十分成り立つセミナーと異なり、1,000円〜2,000円で5,000部くらい売らなければならない書籍では、相応のマーケットがあることを事前に確信できないと「投資」の決定ができない、ということでしょう。

2)「本の出し方」セミナーを企画

2017年は自分を追い込むために「年内に100講座を実施する」と宣言して達成しました。それまでの延長線上の企画では足りないので、新しいネタを強制発想するようになります。

たまたま私の大学時代からの同級生が売れっ子のライターになっていたのですが、彼が本のライターになるきっかけは私が作ったこともあり、本の出し方について話をしてもらうようにしました。

印象に残ったことは、本が売れない時代には編集者も売れる根拠となる事実を重視するので、まずはnoteなどのオンラインで発信しろ、Twitterなどでフォロワー数などを増やしておけ、ということでした。

3)自由大学「自分の本を作る方法」受講

出版企画はセミナー企画に似ていることで興味を持ち、また、講師の話を記事化だけでなく書籍化までサポート出来れば、登壇依頼の際の交渉力にもなると考え、もう少し詳しく学んでみようと思っていたところ、表参道にある自由大学の講座「自分の本をつくる方法」を発見しました。

50回近くやっている講座で、講師自身も何冊か本を出しているため、内容の信憑性もあると判断し、全5回で4万円弱とリーズナブルで、年末年始集中という私には行きやすい設定だったので、行ってみることにしました。

本を出すための一通りの知識は学べ、出版企画を完成させる経験を通じて、何をどう盛り込めばいいかの勘所は理解できました。

4)複業編集者育成プロジェクトに参加

自分主催のセミナー会場を無償提供してもらっていたところの1つに、電子出版とオンデマンド出版専門の「ごきげんビジネス出版」があり、編集長と懇意になりました。

彼が朝活として時々やっていた、2,000円のカジュアルな出版企画セミナーに参加している内に、複業編集者育成プロジェクトを立ち上げ、参加無料だったので、そこにも参加して電子書籍の出版企画の作り方を学びました。

ちなみにそんな訳で、私は出版企画を同編集長に出すことはできます。基本、自分で書くことになりますが、ご興味あればお声掛け下さい。

コンテンツ原材料の作り方

書くべきものがなければ本はできません。2018年の100講座に続き、2019年は200講座を作りました。一定以上の質の企画を量産するには方法論が不可欠です。流石にやり切った感があり、ここらで一度、頭の中にあるものを言語化・構造化しないと、次のレベルに進めない気がしていました。

1)noteを書き始め、知見を言語化

ちょうどビジネスパーソンはnoteやTwitterをやるべきだという意見が多く見られた頃で、年初に「今年はnoteを書くことにしよう」と決めました。

最初に書いた全体像的なものが下記です。

その後も色々書いてます。

セミナー企画の全思考過程
セミナープロデュース術
提案の価値設計 〜企画者の思考
イベント企画者が、登壇者に考えておいてほしいこと
自分の講座を企画する
「自分が教えられるテーマ」を発掘する方法
集客だけではない 「講座案内文」の多面的機能
オンラインセミナー初心者の環境調査
オンラインイベント有償化を阻む3つの要因
オンラインイベント収益化、5つの方向性

結果として、ここで書いた文章や図表が著書のベースとなりました。

2)「講座の作り方講座」を実施して知見をアウトプット

怠け者な私が、自分のコンテンツを無理なくアウトプットする手口は次のようなものです。

1)コンテンツを詰める前に講座を公開する。頭の中にあるものをアウトプットしなければならない状況に、自分で自分を追い込む。締め切り効果。

2)2~3週間の間に3回、同じ講座を集中実施。PDCAを高速で複数回し、コンテンツの精度を短期間で高める。1回実施するごとに具体的な改善策を出し、その日の内に資料や進め方を修正。反省点の記憶が生々しい内に、改善策を試す。そこでまた見えた改善策を次の回で実施、を繰り返す。経験上、初回→初回の改善版→改善版の改善版の3回試行し、3回目の改善点を反映すると、あらかた仕上がる。ちなみに最も集中的にやるなら昼講座→夜講座→週末集中で、1週間でできる。

3)文章にして言語化・構造化する。文章を書く際に最も大変なのは構成。何回も話し、資料もブラッシュアップしていると、頭の中で骨子が固まる。そうなるとnoteの記事も書きやすい。スライドはごまかしが効くが、文章は中身を詰めないと書けないので、頭が整理できる。

4)スライドを再構成する。文章にして要素、構成、表現をブラッシュアップしたものから再度スライドを作ると、骨子、言い回し、図表が簡潔で伝わるものにできる。

因みに、人にレクチャーすると何がいいかというと、構成がしっくりきていないと話してて引っかかるし、どんな参加者がどんな課題感を持っていて、案内文のどこに惹かれて、どんな期待値を持ってくるのか、参加してどんな反応や質問がくるか、アンケートでどんな質問が出るかなど、改善のヒントが大量に得られることです。それらを踏まえ改善したものをまた人前で話すとまた多くのヒントが引き出せます。

セミナー企画の方法論は以下の68ページのスライドにまとめました。この中の図表のいくつかは著書の中でも使われています。

noteの記事はこちらです。

3)オンラインセミナーを短期間で大量に試行

オフラインの講座企画についてなら、私より書くに値する人はざらにいるでしょう。しかし私の場合、2月下旬という比較的早い段階で、オンラインに舵を切ることを決め、集中的にオンラインセミナーを実施しました。オンラインを加味したことが出版企画の項目である「他の人との違い」になり、今書く必然性にもつながります。

因みに根が怠け者なので、自分で頑張るよりも、情報や「できる人」が集まり、情報のやり取りやマッチングで参加する人にも役立つ場を作る方がいいだろうと考え、facebookグループ上でのオンラインコミュニティを作りました。タイミングが早かったこともあり、4ヶ月で3,000人に拡大しました。数は多くないものの、ニーズを裏付ける客観根拠にはなったかもしれません。

タイミングがハマり企画が通る
(書き上げるまでは紆余曲折)

3月末頃、色々なことがオンラインにシフトすることを書いてはどうかと思い立ち、さっと企画を作り、上述のクロスメディア・パブリッシング小早川社長に軽く振ってみら「やりましょう」という反応でした。

彼自身、出版社を起業しているものの、現役編集者でもあり、経営者仲間、著者、他の出版社の動向から、「オンライン化」に関する本を出す必要性を感じていたのかもしれません。

当初は日本社会のオンライン移行に関する企画でしたが、当然ながら上手くまとまらず、5末入稿予定が執筆遅れで延期となりました。

社長と協議し、リアル中心だった研修講師や、対面のセミナーや営業ができなくなった企業が、オンラインセミナーへの移行に課題を感じていることを踏まえ、私が書けるセミナーのやり方を中心とするよう方針転換しました。

まあそれでも筆はなかなか進まず、7月下旬にふと、本当に出すのかなと訝って丸善の店頭端末で調べたら、8/19出版で登録されていました。こりゃ後には引けないなと追い込まれ、どうにかこうにか形になったというのが偽らざるところです。

たまたま10年前から出版社の社長とは付き合いがありましたが、友人だからといって優遇されるわけではないですし、私からそのようなお願いをすることもありません。
ただ、利害関係ない状態で、自分の人となりを知っておいてもらうのは有用なことなので、普段から広く関係を築いておくと良いかと思います。

自由大学でもお話ししましたが、記事と動画が公開されているのでよろしければご覧ください。

売るのも大事(私も勉強中)

出版社も商売なので、本を出すからには売らなければなりません。増刷かかるくらいでないと赤字という話もあります。意外とこれもいろんな小技などあり、私も別に本を出した人々が教えてくれたので、勉強中です。

実は発売2週間の初速が勝負で、それが悪いと店頭から下げられて出版社に返品されてしまうので、本当は発売前から手を打つ必要があるようです。

そんな訳で、よろしければお手に取ってみてくださいm(_ _)m


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