マンション標準管理規約 第19条(専有部分の貸与)

←標準管理規約第18条 標準管理規約第19条の2→

条文

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

コメント

第19条関係
① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、それ以外に、区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、区分所有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義務を定めたものである。
② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、対象物件の使用に関する事項とする。
③ 貸与に係る契約書に記載する条項及び管理組合に提出する誓約書の様式は次のとおりとする。ーーーーーー
        賃貸借契約書
○○条 賃借人は、対象物件の使用、収益に際して、○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守しなければならない。
2 賃借人が、前項に規定する義務に違反したときは、賃貸人は、本契約を解除することができる。
ーーーーーー
        誓 約 書
 私は、○○○○(賃貸人)との○○マンション○○号室(以下「対象物件」という。)の賃貸借契約の締結に際し、下記事項を誓約します。
          記
対象物件の使用に際しては○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守すること。
 平成 年 月 日
○○マンション管理組合
理 事 長 ○○○○ 殿
             住所
             氏名     印
ーーーーーー
④ 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、管理組合が事業開始を把握することがトラブル防止に資すると考えられるため、例えば、「区分所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業法第2条第3項の住宅宿泊事業を実施することを内容とする、同法第3条第1項の届出を行った場合は、遅滞なく、その旨を管理組合に届け出なければならない。」等と規約に定めることも有効である。また、宿泊者等からの誓約書については提出義務を免除する旨を定めることも考えられる。
⑤ 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与している間(当該専有部分から転出する場合のみならず、転出後さらに転居する場合も含む。)は、現に居住する住所、電話番号等の連絡先を管理組合に届け出なければならない旨を規約に定めることも、区分所有者に連絡がつかない場合を未然に回避する観点から有効である。また、長期間不在にする場合も、届出の規定を設けることが有効である。
 なお、上述の定めをした場合であっても、届出をしない区分所有者に対する総会招集手続については、第43条第2項及び第3項によることとなる。

解説

 標準管理規約第5条第2項では、占有者の義務は「使用方法につき、(略)規約及び総会決議」を遵守する義務を負うことになっており、ここでの賃借人の義務も使用方法について義務を負わせている。
 しかし、ここで遵守させるのは「総会決議」ではなく「使用細則」である。これは区分所有者以外の第三者に守らせるべき使用のルールは文章化して明記したものしか守らせることはできないと考えていると思われる。総会でルールを決めたら細則として文章化すること。

参考条文

標準管理規約 第3条(規約及び総会の決議の遵守義務)
 区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。
2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させなければならない。
標準管理規約 第5条(規約及び総会の決議の効力)
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
標準管理規約 第45条(出席資格)
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?