マンション標準管理規約 第5条(規約及び総会の決議の効力)

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条文

(規約及び総会の決議の効力)
第5条 この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、その効力を有する。
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

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第5条関係
包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。賃借人は、占有者に当たる。

解説

 包括承継人とは、相続や合併などで他人の権利一切を引き継ぐ者を指す。特定承継人とは、売買などで他人の権利の一部を引き継ぐ者を指す。
 区分所有法には、管理組合が区分所有者に有する債権を特定承継人は引き継ぐと書いており、包括承継人は除外されているが、包括承継人は債権債務を当然に引き継ぐものである。
 第2項の占有者は合法、不法を問わない。不法占有者も規約等のルールを守るのは当然。また占有者は「使用方法」に関して義務を負う。占有者が持つのはあくまでも区分所有建物を使用できる権利であるから、使用に関しての義務しか負わない。使用以外の権利義務、すなわち管理費等の支払い義務などは占有者にはないので、あえて「使用方法につき」という言葉になる。
 この条は、区分所有法第46条に書かれていることを確定的に明記している。

参照条文等

民法 第254条(共有物についての債権)
 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる
区分所有法 第7条(先取特権)
 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治29年法律第89号)第319条の規定は、第1項の先取特権に準用する。
区分所有法 第8条(特定承継人の責任)
 前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
区分所有法 第46条(規約及び集会の決議の効力)
 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
民法 第896条(相続の一般的効力)
 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
会社法 第2条
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
27 吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。30 新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう



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