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散歩を忘れた犬、一歩も動きたくない犬、人懐こい犬〜アニマルシェルターの日常〜

私は今台湾離島での暮らしを送っている。最近始めたアニマルシェルターでのボランティアの話を今日は書いていく。

ボランティアの参加の方法は
いつも自分からボスに連絡して、明日行っていい?とか今日午後いい?などとアポを取る。
いつもは午後1時から4時が多いけど、
今回は午前中に行ってみようかなと急に思って朝9時から12時でアポを取った。

私の家からは徒歩とバスを使う。
さらにバスは1時間に1本だから、8時8分に乗ることにした。それを逃すと10時代だった。
ありあまる時間をボーッとすることが好きなのでまあいいか、と思った。

そして15分前に事務所に到着し、暑くてもうヘトヘト。開始まで冷房あびて、涼む時間。

この事務所の好きなところは、スタッフさんも皆ゆるい感じなところだ。
たぶんゆるいって思ってるけど、言語わからないから具体的には知らない。
でも、なんとなく雰囲気で感じ取る空気感てあるから合ってると思う。

この日は、ボスでもサブボスでもなくディディーの飼い主さんのケアの元業務することに。
ディディーとは犬の名前で、彼女が出勤の日はディディーも事務所に出勤するスタイル。
こういう職場っていいよね。心からそう思った
この日はおしゃれしていたディディー。

そして、先輩と一緒に今回は新館のほうへと向かった。
いつもは事務所のすぐ裏の旧館で作業する。
新館も歩いて1分たらずの距離。

いつもの私の業務は、先輩が選んで連れてくる犬にシャンプーして綺麗にしてからお散歩連れて行くという1セットだ。
そして時間内、可能な限りそのセットを何匹かやって終わる。あっという間だ。

今回一番はじめに関わった犬は、
怖がりで怯えている様子だった。優しく話しかけながら、慎重に水かけて洗っていたらだんだん私に慣れていった。
タオルドライも終わって散歩へ行こうと誘ったけど、全然動こうとしない。
少し考えてから、抱き上げて外へ連れて行ってみた。

外界はいつぶりなんだろう?

この施設には、400匹ほどの犬がいるから毎日全部の犬が散歩にいけるはずがない。
中には過去につらい経験をした犬ももちろんいる。だから、その子達に寄り添った関わり方が必要だ。

動かないその子を、外に連れてから地面に下ろすとゆっくりと動くが私の周りを警戒しながらくるくる動くだけ。

私には怖がらないで触れてくれるが、草むらへ行こうとはしない。
犬なのに、犬じゃないみたい。
とても驚いた。
犬って走って散歩だーって喜ぶものじゃないの?
この子は散歩を忘れちゃったのかな。
そう考えつつも、今度は抱き上げて草むらによいしょとおろした。

さすがに草パワーが効いたのか、興味をもってくんくん匂いをかぐ。でも、私が立ちあがると驚いてやめてしまうから、しゃがんで彼の邪魔にならないように付き添っていた。
怖がりな犬は過去数匹関わったけど、だいたい散歩になると元気になって動く子ばかりだった。

この子の反応はここに来て始めての経験だった。

そして伝わってるかわからないけど、
"ゆっくりでいいからね、太陽浴びるだけでもいいんだからね"そう話しかけながらそばで見守っていた。

しばらくその時間が続き、もういいかなって時に先輩に状況の報告をしに行った。先輩も"この子は、怖がりだからね"そう言っていた。
ゲージへ戻して次の犬だ。

次の犬も同じくシャンプーの時は怖がりつつ、終わった途端逃げ回ってしまってだき抱えることすらさせてもらえない。
そして、ふせをして拒み続けていた。
どうにも手がつけられず、先輩にヘルプをした。

散歩をしないで、ゲージへと帰っていった。どうするべきだったんだろう、疑問が残りつつも次は大型犬。

はじめの2匹とうってかわっての上機嫌の人懐こい系。シャンプー途中で、私の携帯の謎のアラームがなり続けてしまって、止めるために一旦離れたい。
その子は賢いから言葉が理解できる様子。
待っててね、て待たせたら動かずに待っててくれて戻ったらしっぽふってきた。

やはり他の犬と同様、水は怖がったからその点だけ注意しながら慎重に洗った。

そしてお散歩のお誘いには、ご機嫌で着いてきた。
散歩中は、私の歩幅を気遣ってくれてる様子がうかがえるのと
私の顔をよく見てくる、社交的な子だなと感じた。そして途中じゃれてきて、道途に寝そべってお腹見せてきた。
触って上げると喜んでいる様子だった。

帰りはもっとお散歩したいようで、ねばって階段なかなか上がってくれず先輩と笑いながら一緒にゲージまで連れて行った。

今回の関わった3匹の犬たち

彼らにはこの施設にくるまで、見てきた景色、関わった人間とその環境があってそして今の彼らがいる。

見て、触れて、想像してみるしか私にはできることはない。
しかし、何かがあったんだろうな、というもどかしい気持ちを今回も抱いた。

いつも、ボランティアに行くたびそういう気持ちを抱いて持ち帰ってくる。
何ができるってわけではないけど、ゆっくり彼らのペースでまた散歩ができたり人間を好きになれる日がくるといいな。

そう思いながらも
微量ながら関わらせてもらえているこの時間がありがたいとも思う。

ここのボスやスタッフさんたちに心から感謝している、ありがとうございます。




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