見出し画像

航海士でいいの?-外国航路の旅-Part.2

君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのでは大違いなんだ。  by  Sherlock Holmes

砂嵐を体験するまで信じなかった航海士コナンドイルです。
簡単なプロフィールは以前のnoteを参照ください

前回のPart.1に引き続き航海士を目指す学生の方向けにお送りします。

Part.2 企業の教えること・教えないこと

前回、ご紹介したきらびやかな企業=外国航路の船会社に就職活動する方、なんとなく航海士ってカッコいいなと思ってくださっている方、ぜひ終わりまでお付き合いください。

①勤務時間
②給料


の豪華2本立てでお送りします。よろしくお願いします。

①勤務時間

外航海運会社の広報活動、人事の方が示す一般的な勤務形態は以下のようです。

各海運会社によって、多少の幅はありますが、

会社員として、会社員人生の半分は海上勤務として船乗りを、半分は陸上勤務をしてもらいます。
半年~1年弱勤務で、その勤務月数の半分が休暇となり、

一日の流れは、
例)三等航海士、通称:3rd Officer, サッ(ドーオー)サー
08:00~12:00 当直
20:00~24:00 当直
他に空いた時間に救命設備、消火設備の保守・整備、食事、休憩、就寝時間です。

と、こういった説明がされます。
ちょうど分かりやすい例があったので、ご覧ください

ですが、、、

_会社員人生_
・日本人は給料が高い>>東南アジア系士官・乗組員は給料が安い構図
・航海士、船長としてなるべく早く船を理解してもらい、本社の難関大学卒の非船乗り会社員と協力して働いてもらいたいという思惑

☛☛人件費カットの傾向あり。

傾向として、会社員としては乗船期間の方が会社員人生で多いという航海士は大手になればなるほど少なくなってきます

_1回の乗船期間_
半年~1年弱とありますが、昔はまる1年もあったそうです。ただし、船員法や会社の就業規則によって、船員は守られている面もあるので現在はトラブル発生時の延長を除いて半年から1年弱の範囲が多いようです。

☛☛進路決定の大事な要因なのでチェックしてみよう!

_1日のタイムスケジュール_
当然のように、船が岸壁に接岸して、荷役=船が運んだ貨物の積み込みと積み下ろし、している際に乗船するわけです。
荷役は船が、岸壁=港湾・運河の埠頭に作った壁、に接岸してから離岸するまでの間に行われますが、会社にもよりますが6時間交代制を敷いている会社が多い気がします。因みに、三等航海士、二等航海士の場合は、です。一等航海士は、荷役全体の現場の責任者でもあるため徹夜はざらです。

一度、トラブルが起これば、荷役中であろうが、海上であろうが、船長の指示のもと普段の勤務時間外にも働かなければなりません。朝食、ランチ、夕飯を3分でかきこんで18時間連続で働いた、なんて珍しくありません。

☛☛辛いですが、1日8時間水平線を眺めれば終わるゆるふわな仕事ではありません。

②給料

お待たせしました!航海士は小金持ちを目指す仕事、といわれぐへへと涎をたらしかけていた航海士コナンドイルです。

新卒
外国航路の航海士ともなれば、会社によって呼び名が変わるでしょうが、
職務手当、混乗船手当=外国人多数の中よくがんばってるよ手当、タンカーなどであれば危険手当などで新卒でも海上勤務中は額面45~60万はかたいのではないでしょうか。休暇中は、その会社の基本給になることが多いようです。ざっとボーナスを含めた年収で言えば、500~800万ですね。新卒の中では、高水準とも言えますね。

しかし、海上勤務中では、先ほども申し上げた通り、残業が意外とあります。私は、荷役中は、眠い目をこすりながら早く海に出たいと思っていました。古い船でトラブルが多発して雑務に追われる日々は今でこそ経験値として得難いですが当時はとほほと苦しんでいました。

新米の三等航海士、見習いの次席三等航海士であれば、
1日の勤務時間:
当直(ワッチ)8時間
当直後の見回り 1/4~1時間
救命設備、消火設備の保守・整備 1~2時間
当直中に終わらせることが出来なかった書類作業 0~1時間
欲を言えば、仕事を覚えるための復習時間 0~1時間
10時間ちょい+アルファ

手取りで換算すると、40~55万程なので1日1.5万円前後で時給換算すると、1500円切りそうです。
もちろん、時給換算だけでなく、将来性や適職かどうかなども大事な面なのでそれは忘れないでくださいね!

+アルファであえて言いませんでしたが、夜に強制的な飲み会やカラオケ大会が発生すれば、普通の会社員と同じく時間は過ぎていきますね。。。

その後
手堅く、二等航海士、一等航海士、船長と順調に昇進を重ねていけば、年収1000万円の大台には乗ると言われています。問題は、乗船期間をいかに増やすかが、給料に直結すると言えるでしょう。乗らなければ、給料は別段高い水準とはいえませんので。

航海士の良い点の一つをご紹介すると、昇進の際に二等航海士、一等航海士までは能力があれば比較的順調に上がっていきやすいことです。責任も増しますが、年功序列で経験がモノをいう職種のため横並びのライバルを殆ど気にすることなく昇進とともに給料もアップします。


最後にまとめておくと、
表から見る船乗りと裏から見る航海士像は時間軸お金の軸で捉えると全く異なり、航海士を目指すかどうかを決めるのに大事な一面です。

説明が長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいて案外大変そうだなと感じられた方は多いと思いますが、全く知らなかった、漠然と聞いたことはある方けれど興味が出てきた方はどんどん深堀して質問をコメント欄にお願いします。改めて回答できればと考えております。


皆さんのご活躍を期待しております。Bon Voyage!

航海士コナンドイル


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?