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自省、コンサル中途入社前後にしておけば良かったこと

とりあえず、要約

大量採用の波に乗り興味本位でコンサル転職した私はプロジェクトを推進するうえで自分の意志が欠如していること、そして伝わる文章を書けないことに対して厳しい指摘を受けた。意志を持ってプロジェクトを推進するには目的からタスクに分解する技術が必要であり、伝わる文章を書くためには確認の観点が必要である。どちらも学習によって身につけられる部分があるため、早めに対策し楽しいコンサル生活を送っていただきたい。(197文字)

拝啓、おじさんです

薫風の候、いかがお過ごしでしょうか。私は「昨今の大量採用の波に乗り、興味本位で総合コンサルに転職した中途未経験のスタッフ」というありふれた経歴を持ったおじさんです。

今回、転職後に躓いたことと、それにどう対応したかを共有し、皆様が気持ちよくコンサル生活を始めるための参考に(してアフィリエイトリンクから皆様が本を買って私に収益が入るように)なれば良いなと思ってnoteを書いています。
ただ、これはキラキラの新卒コンサルたちがスタートダッシュを切るための話ではありません。入社後にいきなり躓いて前に進めなくなった経験がある私が早めにやっておけば良かったなと思ったことの共有であり、個別の失敗に向けた対策のお話です。
入社前後にやったほうがいいことについて網羅的に知りたい方は大石哲之「コンサル一年目が学ぶこと」や、メン獄「コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル」を読むことをお勧めします。

まず、何に躓いたか(読み飛ばし可能)

この章は、私がどんな苦労をしたかをつらつらと書いている自分語りの部分です。具体的に何をすれば改善できるかの対策を知りたい方は「私、どうやって意志を持ったか」や「日本語、どうやって伝えられるようになったか」の章まで読み飛ばしてください。

指摘を受けた白い2大巨頭

私がコンサル入社〜3ヶ月程度の時期に受けた指摘は次の2つに分類されます。

・で?お前はどうしたいの
・は?言ってる意味がわかんねーよ

この2点、自分自身の意志、つまりはWILLがないこと、あったとしても正しく日本語を書けず伝えられてないというSKILLの話ですね。どちらも超基礎的なものであり、こんなことで躓いたというのはお恥ずかしい限りです。
ただ、これは私特有の話かというとそうでもなさそうです。Twitterでもコンサル界隈の怖い人たちが私と同様の課題を持った部下に対する不満を呟いているのを見ると一般的な躓きであるように思います。

「で?お前はどうしたいの」と言われた状況

これは日々の1on1で私が業務報告をした際によく言われました。私の場合、入ってすぐの頃は今日はどのようなタスクをやろうとしているか、どのような資料を作をろうとしているか(作ったか)を共有してレビューをしてもらって終わり。タスクが終われば次にどうすればいいかを聞いて言われたことをやろうとしているような状況でした。

そんな過ごし方をしていたとき、プロジェクトマネージャー(以下「PM」と表記)からこのような指摘を受けました
「やったこと、やろうとしていることはわかった。しかし、あなたがどうしたいのかが伝わらない。もし作業者ではなくて上を目指したいなら意志を持って働かなければ厳しい」

自分では主体的に動けていると思っていた私にとって衝撃的な指摘でした。言われたことは自分で考えてやっており、レビューの場を設けてアウトプットを出し続けている。それなのに何がいけないのか。言われてすぐは意味がわかりませんでした。

しかし、一歩引いて考えてみると私の視野には「現在」しか入っていないということに気づきました。私の作業の先にある成果物、ひいては成果物を通してクライアントをどう変えたいかといった観点が抜けていました。そのストーリーや成果物ができるまでの考え方の説明がないため、レビューでも良い/悪いの判断を仰ぐ聞き方になっており、漠然とした問いをする私の筋の悪さにPMは不安を覚えて件の指摘をしていただくことになったのだと考えています。

「は?言ってる意味がわかんねーよ」と言われた状況

これは普段のチャットでも指摘を受けていたのですが、特に議事録のフィードバックで貰ったフィードバックが衝撃的でした。最初の議事録は赤い紙になるとよく言われていますね。私の場合もてにをはについて膨大な指摘を受けると想定していたのですが、結果は大外れ。「意味がわからないのでここを書き直してください」というコメントが4行に1行のペースで書かれており、それ以外のコメントを碌に貰えていないためむしろ紙は白さを残した状態で戻ってきました。

過去にそれなりに勉強をしてきており、自分は国語が得意であるという謎の自信すらあった私としてはこちらも衝撃的でした。今考えると当時は雑な文章を書いていたと思うのですが、自分だと非常に気づきにくいことだと思っています。普段の生活で自分で書いた文章を確認しようと思うことは少ないですし、確認する場合でも誤字脱字の有無程度です。多少読みにくさを指摘されたとしても、ただのミスだと考えて意識する人は居ないのではないでしょうか。

文章の品質に対する意識が低かった自分は衝撃的な指摘を受けたことでやっと自分の文章を見直す癖をつけ始めました。何をするにもまず第一歩は気づくことから始まります。この点についても、PMの指摘には非常に感謝しています。

ただ、一言ことわっておくと、文章の品質に対する意識が低いことは必ずしも悪いというわけではありません。事業会社のなかであれば、読み手にとって予想がつきやすい定常業務であったり、書き手と読み手の文化や背景が似ていたりとするため、日本語が曖昧でも話が通じて物事が前に進むことが多いと思います。そのため、文章の品質を向上させるためにリソースを使うことにメリットが薄いと考えられます。
しかし、コンサルは異なります。まず、取り扱うコンテンツの性質上、読み手が初めて経験するものを扱うことが多いです。さらに、書き手と読み手と別の文化や背景を持っている場合が多いです。そのため、コンサルにおいては文章が伝わらなかったり、誤解を生んでしまったりするリスクを下げることが重要になるのです。

失敗のケーススタディ

私が指摘を受けた状況は様々ですが、少しでもイメージを補うために、どんなシチュエーションでどんなやり取りをしたのか、類似した状況を創作してみました。

シチュエーションのイメージ
当時、私たちプロジェクトメンバーはクライアントの業務改革に向けたプロジェクトを開始しようとしていました。コンサル側のPMとしてマネージャー1名、メンバーは私含めてジュニアが2人でした。また、クライアント側のPMは部長、プロジェクトリーダーは課長であり、主にメールで連絡をするのはこの2人です。ちなみに、普段は接点がありませんがプロジェクトオーナーとして役員が居て、中間報告会や最終報告に出席することが予想されていました。

失敗行動例
プロジェクトの立ち上がりにクライアントとキックオフを行うことになりました。キックオフのアジェンダを作ることとなり、そのタスクを私が担うことになりました。その際、私はキックオフにおける一般的なアジェンダを検索し、以下のようなアジェンダを作り意気揚々とPMに見せつけました。

1 挨拶 (クライアントの役員、部課長、弊社の責任者、PMが挨拶する)
2 プロジェクトの概要(提案書より抜粋した内容を伝える)
3 プロジェクトのスケジュール(提案書より抜粋した内容を伝える)
4 プロジェクトの体制(提案書より抜粋した内容を伝える)
5 質疑応答

PMからは当然このままではキックオフのアジェンダとして使えない旨を伝えられ、さらに以下のような会話が発生しました。

PM 何故このアジェンダにしたのか。
おじ 一般的なキックオフアジェンダを参考にした。
PM あなた自身はこのキックオフで何を伝えるコトが大切だと思うか。
おじ プロジェクトの概要を伝えることである。
PM プロジェクトの概要を伝えるとは具体的にどういうことか。
おじ ????!!!???www????

もちろん、これ以外にも「概要を伝えたって判断は何を基準にする?」「そもそも相手が何を把握しているか前提を考えてる?」「そもそもこの会議の出席者って誰のつもりだった?」「てか提案書を抜粋するだけならメールを送って読んでもらった方が早いんじゃない?」等々、、数えきれないほどの詰め質問を受けることになったのは言うまでもありません。

何も考えず一般的な事例を参考にしてそれっぽいものを作っても何の意味もありませんでした。このプロジェクトのキックオフで必要なことは何かを考えること、そしてその達成に向けてどう動けばいいかを考えることが抜けていました。
また、抽象的な言葉を理解せず、そのまま羅列しているだけのため何がしたいのかも伝わりません。「概要ってなんだ」から考える必要があったのです。

私、どうやって意志を持ったか

意志を持つとはどういうことか

そもそも意志を持つってどういうことでしょう。私は意志を持つとはそこにあるタスク実行するだけでなく、背景や目的に紐づけて主体的にタスクを実行することだと考えています。例えば、PMから渡されていないタスクを自分で考え、提言できるようになれば意志を持ったと言えると考えています。

どうやって意志をもつのか

では、どうやったらそれが出来るようになるのでしょうか。それには、目的から実行までの分解ができるようになることが重要だと考えています。例えば、プロジェクトにおいては一般的に具体的な成果物が定義されています。特にジュニアと呼ばれるランクにおいてはこの成果物の作成を目的としてタスクを分解していくことで今後自分が担うべき役割が見え、PMへ提言できるようになっていきます。

(※長期プロジェクトでは成果物が曖昧な場合もありますが、◯ヶ月先にどのような状態になっているべきかというマイルストーンの設定はされています。この場合、ジュニアであれば直近のマイルストーンに設定されている状態を実現を目的とするのが良いと考えています)

意志を持つために参考にした本

上記のように、Whatと、Howの部分のイメージを記載しましたが、正直、私の文章を見て出来るようになるとは思えません。私自身は以下の2つの本を参考に、目的から実行できるタスクへの分解し自分自身で推進する一連の流れに対して理解を深めていきました。

①望月安迪「目的ドリブンの思考法」
この本では、目的とは何かを理解し、具体的な手段に分解するまでのプロセスを学ぶことができます。
さらに、この本の特筆すべきところは、目的や手段を固定された属性として捉えるのではなく、関係性から成り立つもの捉えて伝えているところです。目的は手段たり得るし、手段は目的たり得るのです。特にジュニア時代は既に大きな目的・成果物から細分化されたものを作るため、この観点を持つことは重要です。

②佐々木裕子「実践型クリティカルシンキング」(Kindle unlimited)
この本は、目的達成のためのどのような考え方を使えば良いかを教えてくれるハウツー本のようなものです。複数のケースを使った講義形式の内容であるため楽しく読めますし、説明が明快で非常にわかりやすいです。
文章量が少なくKindle unlimitedの対象でもあるので、気になったら寝る前などに一気読みできるのも嬉しいですね。

ただ、本を読んだからと言ってすぐに出来るようになるわけではありません。自分で考え、筋が悪くても自分なりの答えを生み出し続けることが重要です。私の場合はPMと1日2回以上打ち合わせし、進捗状況の共有以外にも次に何をしようとしているか、それは何のためにしようとしているかを伝えるようにしていました。

日本語、どうやって伝えられるようになったか

この章で言及したいことはすべてこの本にまとまっているので、まず紹介します。

③中村健太郎「コンサル脳を鍛える」
これは参考にした本ではありませんが、非常に良い本でした。コンサルタントとしての基礎スキルとして「日本語力」「論理力」「コミュニケーション力」を定義し、どういった観点で確認するべきかがまとまっています。また、後半に練成ドリルが付いていて「知っている」から「出来る」まで読者を導いてくれます。

ちなみに、記載内容の一部がネット記事になった際、著者の事業会社に対するチクチク文章が原因でTwitterがちょっと荒れました。しかし、そのイメージで避けるには惜しいほど素晴らしい本です。自身も超dopeな本を出しているメン獄さんが超dopeと評する著者だけあって内容は超dopeの一言です。

ただ、この本を紹介して終わりではつまらないので自分の言葉でもまとめてみます。

伝えるために重要なことは何か

これは、相手にどうなって欲しいかを考えることが重要です。
照屋華子・岡田恵子「ロジカル・シンキング」や山田ズーニー「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」でも言及されていますが、文章はメッセージを伝え、相手に影響を与えるための手段です。この構造は、目的をタスクに分解するのと同様です。まず目的を明確にしたうえで個別の構成要素に分解し、文章を作り始めるのです。

また、個別の構成要素においては何を語るかのポイントを設定することがです。これは、所謂論点に近い考え方です。例えば、この文章「伝えるために重要なことは何か」は目指すべきWHATを書いているつもりです。そして、次の「どうやって文章の品質を改善するのか」はHOWを書いているつもりです。各要素の役割を定めることで文章全体の構成から実際の文章を作るまで段階的に記述していけますし、何を書くか枠が決まっている方が完全に自由な状態から書き始めるより速く書くことができます。

どうやって文章の品質を改善するのか

ありきたりですが、改善にはPDCAサイクルを回すことが重要です。ただ、文章を書く際に多くの人はD以外を意識しません。ここが品質向上のボトルネックになっていると考えています。だから「P:何を書くか決める」→「D:書く」→「C:伝わるか確認する」という手順を意識的に行う必要があるのです。

「P:何を書くか決める」ときに大切なこと
これは、先に述べたとおり相手にどうなって欲しいかを考え、目的を決めることが重要です。逆に言うと、目的が無ければ文章を評価する軸がなくなってしまうので、「C:伝わるか確認する」ができなくなってしまいます。

「D:書く」ときに大切なこと
これは、速く書くことです。

以下のようなブラウザゲームで楽しみながら鍛えることができます。
・マイタイピング

・宇宙打

「C:伝わるか確認する」ときに大切なこと
これは難しいのですが、確認のための観点をいくつか持っておくことが重要です。例えば、「句読点の使い方は適切か」「同じ意味で別の言葉を使っていないか」「抽象度は伝えたい内容と比較して適切か」といった観点です。ただし、これは自分で作り出すことや本に従って全て見ることは難しいえす。紹介している本を読んで観点を知ったうえで何度も自分の文章を見直したり、PMからレビューを受けて何度も指摘されるなかで自分なりの型が出来上がっていくものです。

日本語を改善するために参考にした本

私が伝える文章を書けるようになろうとしていたとき、「コンサル脳を鍛える」は発売されていませんでした。そのため、以下のような本を参考にして文章を確認するべき観点や伝わりやすくするための構造化技術を学びました。

④本多勝一「日本語の作文技術」
私は雰囲気で日本語を書いていたため、正しい日本語とはなんだという根本的なところの理解から始めようと思い、この本を手に取りました。Twitterで複数のコンサル垢が推奨するだけあって非常に勉強になるのですが、楽しんで読むことはできませんでした。座禅を組んで修行をしているような感覚でした。

⑤杉野幹人「超・箇条書き」
この本は箇条書きを羅列から伝える技術に進化させてくれます。箇条書きをすることで、文章に「構造化」「物語化」「メッセージ化」の要素を持たせることができるということを実例と共に説明してくれます。

結局、どういうこと

コンサル生活を楽しんでもらうために伝えたかった

このnoteでは、意志(WILL)と伝える力(SKILL)を改善するためにどうすれば良いかという話をしてきました。しかし、コンサルの責任として品質を上げろという意図ではありません。単純に「こうした方が楽しくないですか?」という話です。
私は自分で考えて仕事を進める方が好きだし、言ったことが伝わった方が嬉しいです。だからこそ対策をして、楽しいと思う働き方が実現できるようにしてきました。そして、こういった働き方を望む人は多いと考えています。
ただ、望んでもかつての自分のように躓き、痛い思いや苦しい思いをして楽しめていない人も居ると思っています。同じ境遇の方、同じ課題を持った方の参考になればと思い自省を兼ねてnoteを書かせていただきました。

感想

くぅ〜疲れましたwこれにてあとがきです!
なんとなく書き始めたら7000文字を超えてしまいました。冗長になっていくnoteを書く横目で「クソアウトプット量産」というワードを発見し、えもいわれぬ感情を抱きながらもなんとか書き終えることができたので良かったです。

リンクを貼っていなかった本のリンク

紹介しておきながらも伝えたい内容と少しズレるので貼っていなかった本のリンクを貼っておきます。

大石哲之「コンサル一年目が学ぶこと」(Kindle unlimited)

メン獄「コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル」

照屋華子・岡田恵子「ロジカル・シンキング」

山田ズーニー「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」


サポート勝つる〜🫶でも、おぢさん、重たいけど大丈夫🥺❓