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社畜になるくらいなら…

今年度もあっという間に最後の3月のコラムです。
新年度に向けて就活学生の皆さんへエールを送る今回のテーマは「就労形態」について考えていきたいと思います。

働き方は色々あります。
正社員、契約社員、派遣社員、パートタイム(アルバイト)等々…。
今は時代の変化に伴い副業や兼業をする人も増えているので、個人によりどんな働き方を選ぶのかと考えた時に選択肢の幅は以前よりずっと広がっているように感じます。

私は本当にダメな就活落ちこぼれ学生でしたので、その時の悶々とした「社畜になるくらいなら…」という思考の過去回想、それに対してキャリアコンサルタントになった今の自分の思いを比較して、”働くこと”について掘り下げていきたいと思います。

就活に前向きな学生にはまったく参考にならない内容だと思いますが、就活に向き合うことができない、なかなか行動ができない、そんな特定の”あなた”に向けて今回は書いていきたいと思います。


”就活鬱”の大学3年生【過去回想①】

大学に行くとまだ3年も始まったばかりだというのに、みんなインターンシップだとか就活の話題をしている。
就活という言葉を耳にするだけで、私の心はずっしりと重みを感じて嫌な気持ちになる。

授業と課題とアルバイト、友達との約束で目まぐるしく時間は過ぎていく。
気づけば3年の夏休みも終えて、学校では夏にインターンシップに行ったという話題に同級生は盛り上がっていた。

みんな熱心にお互いの情報交換をしているように見える。
他の同級生の話も参考に積極的に企業情報を集めて自分の卒業後の働き方を具体的にイメージしているみたいだ。

それにひきかえ私は自分がみんなと同じようにリクルートスーツを着て、社会人1年生になるなんて想像できなかった。
いや、想像したくなかった。
どこぞの企業に就職して、そこで定年まで働かなければならないなんて。
もしそこがブラック企業だったらと思ったら更に恐ろしい。

ブラックじゃない企業の方が少ないんじゃないかと聞いたことがある。
どこも人手不足なので一人に割り当てられる仕事量が当然多くなる。
確かに社会人は忙しそうだ。
先輩も親も身近な大人達は夜遅くまで仕事しているイメージだ。
私も社会人になったら同じように仕事に追われる毎日になってしまうのだろうか。

”社畜になんかなりたくない”

みんなが疑問も持たず就活に向き合えるのが不思議で仕方なかった。
そして私は就活に向き合えない気持ちを誰にも理解されない気がして、友達からも距離をとるようになっていった。

働きたくない自分【過去回想②】

できれば働きたくない。
そんなことを言ったら親に怒られてしまう。
裕福な家庭ではないのだ。
立派な就職先でなくとも自分の生計を立てるくらいはしてもらわないとと母親が言っていた。

働かなければ生きていけないというのが一般的。
そんな常識を受け入れられない自分はおかしいのかもしれない。
生きるために働くって結局、自分の時間は労働のためでしかないのか。
人生ってそんなにつまらないものなのか。

少しだけ勇気を出して、バイト先の社員の人に就活の参考にと話を聞いてみた時に、ぽろっと本音を言ってしまったら笑われてしまった。
贅沢な悩みだと。
「そんなことを考える余裕があるんだからやっぱり裕福なんだよ」と言われた。
なんだか腑に落ちない気持ちになったけれど、だからといって正解はわからないので反論もできなかった。

そもそも私はなぜそんなに働きたくないのだろうか。

アルバイトに関して言えば、割と積極的に働いているのだ。
店長には正社員に迎えたいとまで言われた。
任された仕事に対しては真面目だし真摯に取り組む。
アルバイトのシフトの効率化を提案してしまうくらいだった。
そんな姿勢は働くことが嫌いだとは自分でも思えない。

そう考えて、改めて自分が就活に対して嫌な気持ちは何なのか真剣に考え直してみた。
どうやら私は働くことが嫌いという訳ではないのだ。
ただ「企業に属する」というのが自分は嫌で堪らないんだと思った。

自分はどう生きる?【現在】

今は色んな働き方があります。
大学生から起業している人だっています。
予測できない未来と言われる不安定な社会。
今はリモートワークも当たり前の時代なのだから、わざわざ一つの会社に入社して制限が増えるよりも、自分の時間を確保しながら、働く別の方法があるのかもしれません。

社畜になるくらいなら別の働き方、生き方を模索しても良いのではないだろうかと考える人は、少なくないのではないかと思います。
それはいつ何が起こるのかわからないこの世界で、今という時間の大切さ、一瞬一瞬が奇跡の上で成り立っていることをみんなわかっているから。
だから時間を無駄にしたくないし、寄り道もしたくない、間違った道を選びたくないと思うのはごく自然な気持ちであると思います。
タイパ、コスパを考慮する学生が増えているという就活の現場の声も充分理解できるものです。

ただ大事なものが自分でわかっていなければ、余分なものを排除することができません。
どんな取捨選択をするかが重要になってきます。
自分で無駄だと思っているものが本当は大事なものかもしれない、そんなこともあるかもしれません。

自分にとって一番大事なもの、守るべきものは一体なんなのでしょうか。

キャリアコンサルタントとして【現在】

振り返ると学生の頃の当時の私は「自由」とか「時間」に執着していたように思います。

学校の規則も煩わしかった学生の私にとっては、社会人になるということは自由になれるものだと漠然と思っていました。
それなのに現実はまったく違う様相だったのです。

就活情報を見るとリクルートスーツの規定や、好ましい髪型やメイクの仕方、挨拶の仕方、社会人ルールのようなものまで沢山の約束事のようなものが紹介されています。
社会人になるための就活は、企業への就職のための活動であって、そこに自分を合わせていくことで内定を勝ち取らなければいけないような印象を持ちました。
本来は自分らしさをもって、企業それぞれの社風や風土と合うのかどうかを見極めていければ良かったのですが、当時の自分はそうは思えなかったのです。
学生時代の私には、企業に入社することはくだらない大人のルールにがんじがらめにされるような、自分らしさも自由も時間も奪われてしまう、そんな感覚になってしまい受け入れ難かったように思います。

就活をしなかった社会人

新卒採用という形での就職をせずに社会に出た私は、タイパもコスパもかなり悪い紆余曲折の人生を歩んできたと思います。
収入が得られない時期もあり、税金を納めるのも大変な時期もありました。
人間は生きているだけでお金がかかるという現実は社会人になって初めて身をもって理解した気がします。

そのおかげで人とは違った自分だけのかけがえのない経験もたくさんしてきたと思います。
そんな人生だったからこそ今、キャリアコンサルタントという資格をもって働く自分がいるとも思っています。

そう考えるとそれまで周りの同級生から取り残されて置いて行かれたような気持ちになっていた時代も、寄り道や遠回りしてきたような軌跡も、結果的に全然無駄な時間などなかったように今は思えます。

私は就職氷河期世代と言われる中で社会人になり、ニートのような時期もありました。
その後フリーターや派遣社員時代もあり、契約社員として働く時を経て今はあんなに嫌だった正社員として企業に属して働いているのですから、自分の考え方も変化する部分があったんだと実感しています。

結局どんな働き方が一番良いのでしょうか?
最近では学校を出て正社員ではない働き方を選ぶ人も増えているようです。

それぞれの働き方にはメリット・デメリットがあります。
自分の性分として合う働き方、合わない働き方もあります。
生活環境も重要な要素です。

自分の人生を考えた時、不要なことはしたくない。
無駄な時間を過ごしたくない。
不本意なことはしたくない。
そう思う人も少なくありません。
そう思う気持ちはみんな持っていても、その答えはみんな同じではないからそれぞれ悩むのです。

私にとって様々な働き方の経験は今の自分をつくっている誇るべき軌跡だと思うけれど、決して他の人に勧めるものではありません。
むしろお勧めなんてできない生き方かもしれません。

だからこそ、ご縁あってご相談を受ける求職者の方、就活をしている方にとってベストな選択をいただけるように、一緒に考えていくキャリアコンサルタントとしてお役に立てたらと思っています。

あなたがあなたらしくこの世界で過ごせますように。
一緒にこの社会をつくっていきましょう。








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