見出し画像

【Practical Class2021】 民間発の100年つづく「演出の学校」づくり

こんにちは!Community Based Academyラーニングナビゲーターの知世です。この記事では、Academy2021のPractical Classで開講を予定している「演出の学校をつくるクラス(通称:演出クラス)」についてご紹介します。

演出クラスの概要

2019年6月、京都市の南東に位置する東九条エリアに誕生した市民共創型の小劇場「THEATRE E9 KYOTO」を運営する一般社団法人アーツシード
京都
では、演劇の世界に触れたことがないビジネスパーソン、起業家、フリーランス、学生など、地域の方々にもっと身近に ”演劇” に触れてもらえる機会を編み出すチャレンジをさまざまな方法で行っています。

画像7

そんなアーツシード京都が次に挑戦するのが、Community Basedな「演出の学校」づくり。本クラスでは「演出の学校」のビジネスモデルを世界的に活躍する芸術監督らと共にプランニングしていきます。

写真 2019-10-03 18 32 15



“演出” と聞くと演劇や舞台の世界においてのみ用いられる言葉に感じられますが、実は、「伝えたい想いを、どのように表現するか?」「ひとつの
アイディアを具現化するにはどのようなプロセスデザインが必要か?」など、少し引いた角度から見ると、”演出" の技術を培うことは想像力を豊かにし、表現の引き出しを増やし、物事のディレクション力を高めることにもつながります。

また、舞台芸術は2500年ものあいだ続き、現代においても更新しつづけている芸術です。いくつもの時代を超えて育まれてきた表現のチカラである”演出”は、なにもないところから「現象を起こし、記憶に残す」技術ともいえます。「演出の学校」づくりでは、そんな“演出”の力を、ビジネスフィールドをはじめとしたさまざまな表現フィールドに接続していきます。



画像9

本クラスのパートナーには、「THEATRE E9 KYOTO」の創始者であり、国内外で活躍する芸術監督かつ演出家でもあるあごうさんと、日本各地の劇場の支配人を経験し、現在「THEATRE E9 KYOTO」の支配人を務める蔭山さんを迎え、「学校づくり」という新規事業を立ち上げに必要な計画や準備を
ともに考え、実行し、これまでにない「学校」を一緒に創る仲間をお待ちしています!

演出クラスの魅力について、思うこと

正直にお伝えすると、演出クラスの魅力をどのように伝えると良いだろう?ということになかなか苦戦しています。笑
ただ個人的には「表現を設計する」ことや「アイディアをプロセスに落とし現実に実装する」ことに関心のある方は面白いと思うポイントがゴロゴロ転がっているだろうなと感じていて。
あと、演劇や芸術のことはそれほど詳しくないという方にこそ新たな視座がひらける機会になるのでは、という気持ちも抱いています。

なぜそう思うのか?という背景から知ってもらえるといいかなと思うので、アーツシード京都の取り組みの中でも特に印象に残っている「E9アートカレッジ」のエピソードを元に、感じていることを綴ってみたいと思います。

「E9アートカレッジ」は、THEATRE E9 KYOTOに併設している京都起業家コワーキングスペース「Collabo Earth E9」との共同プロジェクトとして第0期が2019年10月に開講しました。このプロジェクトは「Collabo Earth E9」の利用者を対象に参加者を募集し、13人のビジネスパーソンとともに演劇作品の制作・上演を行うといった趣旨で、芸術と経済の新たな関係性を志向する、実践的かつ実験的な取り組みとしておこなわれたもの、とのことで。

実はこのプロジェクトについての話は、実際に0期に参加していた友人から教えてもらいました。

これまで生きてきた中で演劇に触れたことなんてほとんど無かったし、特に興味があったわけではないんだけど、アートカレッジにはコワーキングメンバーも参加するし、E9で実験的な取り組みとしてやるならば参加してみるか、という気持ちで関わってみた。そしたらそのプロセスから、物凄く面白くて!

居酒屋で話しているときに、参加したときの体験を熱っぽく語ってくれた姿がとても印象的だったのですが、「演劇経験が特にあるわけでもない参加者たちが、どのように作品を制作して上演するのだろう?」ということについては、下記のように語ってくれました。
(飲み会で1時間くらい聞いていたので、言葉としてはだいぶ要約していますが。笑)

演劇経験のない参加者たちに向けて、演出を手がけるあごうさんから投げかけられる「あなたの心の闇について、教えてください」という問いを皮切りに、参加者同士でダイアログ(対話)を始めるところからスタートするんだ。
参加してる人たちはコワーキングメンバーで普段少しは顔を合わせてる人たちとはいえ、誰にも話したことのないようなことを打ち明けるというのは最初は戸惑いもあったなあ。でも、ちょっとずつ場に慣れていって、互いに導かれるような形でぽつりぽつりとみんなで話していって。少しずつ場があたたまっていく中で、自然と言葉が出てきた感じ。
後日、話したエピソードの中でどの部分をどの順番で話していくと良さそうかなど、それぞれの参加者とあごうさんで話し合いながら脚本を一緒につくっていくプロセスを経て、参加者の人生が主役となった舞台作品ができあがった。そしてそれを参加者本人たちが演じるんだ。自分が過去に発していた言葉を、舞台の上では自分役として出演して、同じ言葉を発するというのは不思議な感覚だったよ。舞台に立ったときのあの感覚は、これからの人生で一生忘れないと思う。

自分たちの人生を振り返って話したことが一本の作品となり、そこに登場する「自分」を演じることで、自分の振る舞いや、その時発していた言葉を改めて舞台の上で表現することで客観視することができる、というわけです。ちなみに「E9アートカレッジ」の舞台は満員御礼で、演劇評論家の方たちからの評価も高かったとのこと。

画像11


それぞれの人生を紐解き、編み直し、一本の演劇作品に昇華していく。このプロセスそのものが作品であることもユニークですが、その上、客観的に「面白い」と太鼓判を押されるほどに作品クオリティが高い、ということにも衝撃を受けました。私はこの友人の話をきっかけに、演出を手がけているあごうさんやアーツシード京都の活動に興味をもったのでした。

今回のPractical Classで「演出の学校をつくる」をテーマにやろうとしていることは、自らが演じる場をつくろうという方向ではなく、「演出する」側としての学び合いの場をつくろう、という新しいチャレンジとなります。

演出とは、なにもないところから「現象を起こし、記憶に残す技術」

という、あごうさんの言葉を、友人のエピソードを反芻しながらあらためて噛み締めていますが、「演出する」ということは暮らしや仕事などさまざまなシーンで応用可能な技術だと感じています。

さらにこのクラスには、日本中の劇場再建を数多く手掛けてきた方で、現在「THEATRE E9 KYOTO」支配人の蔭山さんも加わります。本格的な学校づくりに向けて事業計画をつくることからスタートしていくので、演劇・舞台芸術の実情を隅々まで知っていて再建することの引き出しを豊富にもっている蔭山さんと共に創っていけることは、非常に心強いことだなと感じています。

実際にどんなことを行うのか?

このクラスでは、国内外で活躍する芸術監督のあごうさんたちとともに、現象を起こす技術「演出」を軸にしたビジネスをつくる、ということを土台に下記の方向で考えています。

■Challenge(挑戦)
表現とお金のクリエイティブな循環を生みだす学校づくり

■Goal(目的地)
開校に向けた事業計画を作成し、必要なプロセスや準備が明らかになっている状態

■Let's Make!(具体的な取り組み)
・「演出の学校」の事業計画作成

・「演出の学校」のプロモーション計画作成

・「演出の学校」の開校までのロードマップ作成

■Welcome(こんな方におすすめ)
・演劇・舞台・芸術の世界は詳しくなくとも「演出」という言葉にはピンときた方
・人が活躍するための環境(舞台)をつくるポジションにいる方(チームリーダー、マネジメントクラスなど)
・事業やプロジェクトのクリエイティブディレクション、デザインなど表現の方向性を決める役割を普段から担っている方
・「学校づくり」の立ち上げから主体的に関わってみたい方・・・など

開講スケジュール(全10回)

11/9(火)18:30〜21:00:メイカーMTG
11/16(火)18:30〜21:00:パートナーMTG
12/7(火)18:30〜21:00:メイカーMTG
12/12(日)10:00〜18:00:フィールドワーク@京都府・東九条エリア
1/11(火)18:30〜21:00:メイカーMTG
1/18(火)18:30〜21:00:パートナーMTG
2/1(火)18:30〜21:00:メイカーMTG
2/7(月)18:30〜21:00:パートナーMTG
3/15(火)18:30〜21:30:メイカーMTG
3/22(火)18:30〜21:30:パートナーMTG

【補足】
Community Based Academyでは、「つくる・つくられる」「教える・教えられる」といった関係性ではなく、この場に関わるひとりひとりが「学びのつくり手(メイカー)」としてフラットに関わりあえる姿勢を大切にしたいとの考えから、下記のように呼び名を考えてみました。

1)受講生・参加者ではなく「メイカー(Learning Maker)」
2)運営・事務局・講師ではなく「ナビゲーター(Learning Navigator)」
3)クライアントではなく「パートナー(Learning Partner)」

今回申し込みいただいた方は、みなさん「メイカー」としての申し込み、となります。
【MTGについて】
・メイカーMTGとは:ナビゲーターと、メイカーが参加するMTG
・パートナーMTGとは:共創パートナー・ナビゲーター・メイカーが全員参加するMTG


ともに学びをつくる仲間


■Learning Partner:
パートナー

あごうさとし(Satoshi Ago)
劇作家・演出家
THEATRE E9 KYOTO芸術監督
一般社団法人アーツシード 京都代表理事

あごう顔写真 1mのコピー

1976年、大阪府生まれ。80年代後半から90年代にかけて香港で過ごす。同志社大学法学部卒業。「演劇の複製性」「純粋言語」を主題に、有人・無人の演劇作品を制作する。代表作に「total eclipse」(横浜美術館・国立国際美術館 2010)「無人劇」(THEATRE E9 KYOTO 2020)等がある。2014−2015年、文化庁新進芸術家海外研修制度研修員として、3ヶ月間、パリのジュヌヴィリエ国立演劇センターにおいて、演出・芸術監督研修を受ける。京都国際舞台芸術祭2016 SPRINGにおいて、ショーケースキュレーターを務める。2014年9月-2017年8月アトリエ劇研ディレクター。2017年1月、(一社)アーツシード京都を大蔵狂言方茂山あきら、美術作家やなぎみわ、元ロームシアター支配人蔭山陽太らと立ち上げ、2019年6月にTHEATRE E9 KYOTOを設立・運営する。法哲学者の仲正昌樹や現代美術家の森村泰昌などとの舞台芸術作品の共作も多数。ビジネスパーソンとの演劇公演の創作も行う。

<メッセージ>
芸術、とりわけ私たちとしては、舞台芸術や劇場について、その作品、その場に集まる豊かさや英知をどのようにこの国にシェアしていけるのかは、近代以降、常に課題になっています。経済や暮らしにアートが関わると、何かの変化をもたらすことができると確信しています。豊かさという言葉でも表現できますし、選択肢や思考方法の拡大ということであり、価値創造の端緒になり得ると思います。アートを取り入れると、経済的価値も作れるとも期待しています。この度のアカデミーでは、これまでになかった芸術の需要の在り方を皆様と共に探し出すことができれば大変ありがたく思います。大変楽しみにしております。

蔭山陽太(Yota Kageyama)
THEATRE E9 KYOTO支配人
京都市立「ロームシアター京都」元支配人

242390215_564807941504857_8180466075790815881_nのコピー

1964年、京都市生まれ。大阪市立大学経済学部(中退)。
札幌の日本料理店にて板前修行の後、90年〜96年、「俳優座劇場」劇場部。
96年〜2006年、「文学座」演劇制作部。同企画事業部部長。
06年〜10年、長野県松本市立「まつもと市民芸術館」プロデューサー/支配人。
10年〜13年、神奈川県立「KAAT 神奈川芸術劇場」支配人。
13年〜18年、京都市立「ロームシアター京都」支配人/エグゼクティブディレクター。
19年〜現在、「THEATRE E9 KYOTO」支配人。

<メッセージ>
文化はその地域、国の生活、経済、教育、医療など広く全ての社会活動の基盤、分母であるばかりでなく、長い歴史の中で培われてきたものです。中でも芸術は時に現実社会の課題や未来の姿をその作品によって社会に示唆し、文化の価値や可能性を豊かにしてきました。 THEATRE E9 KYOTOは劇場という建物を「造る」ことから始まり、そこから様々な新しい出会いが生まれて多くの人との関係を「作る」ことになり、今ではそれまで思いもよらなかったアイデイアでものを「創る」ことに拡がっています。 私たちの身の回りのいろんな「つくる」がもっと繋がれば、きっとより良い世界が開かれていくのではないかと思っています。 これから皆さんと一緒に、新しい「つくる」にチャレンジできることを心から楽しみにしています!


■Learning Navigator:ナビゲーター

鳥屋尾優子(Yuko Toyao)
maai.lab 主宰

鳥屋尾さんのコピー

人間の成長欲、企業の経営理念が人の行動に及ぼす作用、コミュニケーションの間合いや「間」の存在に関心があり、「学び」や「企業理念」「間合い」をテーマにした勉強会や講座の開催、ラジオ放送などを実施。maai.lab主宰。一般社団法人リリース アドバイザー。企業内では企業におけるダイバーシティ・インクルージョンの推進に従事。

<メッセージ>
私は、数年前から自然界に存在する「間」に関心を持ち、探究しています。当然、自然の一部である人間も、周りにあるモノや人と「間合い」を取りながら共鳴・共振しつつ日々生きています。周りとの共鳴で生まれる感情や行動、互いに呼応しつつ作られる「場」や「時」など、思えば常に人は「何か」と、そして「誰か」と、いい塩梅の間合いを取りながら共鳴しつつ、即興で何かを生み出し続けていると言えるのかもしれません。 そこで、もし私が、私を取り巻く身近な世界を総合的に捉える「演出」という視座を自由に纏うことができれば、人やモノとの新たな「間」の取り方や、ひいては人やモノとの新たな関係性を創り出すことができるかもしれない。そんな自身の関心を重ねて伴奏します◎


桜井肖典(Yukinori Sakurai)
一般社団法人リリース 共同代表
Community Based Economy 呼びかけ人代表

画像6

2000年よりデザインコンサルティング会社を経営、様々な分野でデザインプロジェクトの企画監修を重ねる。2012年より持続可能性と事業性を両立する「未来が歓迎するビジネス」のデザイン組織としてRELEASE;を始動。「藝術と社会変革のあいだ」で経済活動をプロデュースする構想家として、社会の大きな物語を編み直す人文学的なアプローチと共創によるビジネスデザイン手法を軸に、大企業や自治体からスタートアップや非営利団体まで領域横断的なプランニングとディレクションを実践する。「想像力からこそ優しさが生まれる」と信じ、「希望を実現する技術であるデザイン」とともに、一人でも多くの人が希望を胸に生きている世界へ。


八束華子(Hanako Yatsuka)
一般社団法人リリース プロジェクトコーディネーター

hanakoのコピー2

大学卒業後スキンケアをメインにしたライフスタイル提案会社に入社。相談窓口や採用/イベント企画運営/取材ライティング/新規事業立案運営に従事。2017年、豊かさや幸せは健康の土台と人との出会いによってつくられると考え、健康教育事業で独立。現在は、三井不動産が運営する多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」にてビジネスマッチングやイベント企画運営を担当し、企業の創発が起こる種まきをしている。また、事業伴走にて事業者が大切なものを大切にし続ける経営を目指し、人の愛や力をひき出し、ともに生態系を編んでいく事業をコーディネートしている。


橋田知世(Tomoyo Hashida)
一般社団法人リリース プロジェクトエディター
株式会社こいこい 代表取締役

画像5

広島生まれ。立命館大学国際関係学部を卒業後、大手イベント制作会社にプランナーとして入社し、その後独立。 2017年から三井不動産が運営するシェアオフィス「WORK STYLIING」の創業期にコミュニティマネージャーとして関わり始め、年間約1500人以上とコミュニケーションを図りながらフィールドを横断してヒトと場を編んでいくことの面白さに目覚める。 2019年に株式会社こいこいを設立。企画・場づくり・編集・プロジェクトマネジメントなど様々な役割を経験してきた総合力を活かし、領域・職種などを越境しながら「プロジェクトエディター」として場とコミュニティをつなぐコンテンツを生み出す。


参考記事

パートナーの方々の活動についてもっと知りたい!という方はぜひこちらの記事をご覧ください。

■あごうさんに関する参考記事

記事【あごうさとし(演出家)×能政夕介(アナウンサー)が手掛けた演劇『フリー/アナウンサー』の公演終了】
https://newscast.jp/news/7847179

フリーアナウンサー076

E9アートカレッジ 第1期公演概要と、参加メンバーの感想

・ビジネスで成果出していきたいんだったら、絶対出た方がいい!!
・起業家だったら、人前に出ることや影響力がすごく大事だよね?それがいっぺんに学べるよ。アメリカのビジネスマンがプレゼン上手いのはハリウッドの技術を入れてるからあなたも演技能力を身につけたほうがいい
・身体ワークは他の場所でも活かせる!非言語の大切さと面白さ
・自分が何者かわかる
・しんどい思いはするけどその分の成長率は、普通に生きてる分とは桁違い
・自分の中のリミッターを外した、想像できないところに到達できる
・日常が変わる。特別なことではなく日常に活きることが学べる
・私が演じる私より、園長を演じる私のほうが、こさわっぽい。と言われた。自分にない要素は、相手がその要素を持っていても見えない。相手の嫌なところは、自分にある要素でもある。相手になりきってみて初めて、自分にもその側面があるとわかった。それは知識として持ってたけど、体感でわかった。それがわかったことで、相手をだんたん許せるようになった。
=嫌いな人を許せるようになる。そういう体験ができる。


■蔭山さんに関する参考記事


お申し込み

演出クラスへ興味をもった方は、こちらのページの申し込み詳細をご確認いただいたのち、エントリーをお待ちしています◎

【申し込み締め切り:10月30日(土)23:59まで】


【追記】※終了済み
本日10月22日(金)19:30〜22:00には、今回開講する全クラスのパートナーが集まるプレイベントもオンラインで実施します!
どなたでも無料でご参加いただけるので気軽にお越しください◎

https://fb.me/e/7J9vkXuOL

スクリーンショット 2021-10-22 12.15.03