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「東京エレクトロン社長、半導体製造『AI使い生産性改善』」に注目!

東京エレクトロン・河合利樹社長、半導体製造「AI使い生産性改善」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

東京エレクトロンの河合利樹社長は23日、日本経済新聞のインタビューに応じ「人工知能(AI)やデジタル技術で生産性を改善していく」と語りました。半導体業界では技術者などの不足が課題になっています。開発から販売後の保守まで幅広く、製造業の生産現場を仮想空間上で再現する「デジタルツイン」などを導入していく考えを示しました。

AIなどデジタル技術を活用する背景はとの質問に「半導体市場は2030年に1兆ドル(約155兆円)と現状から倍増すると言われている。成長スピードは確実に上がっており、業界のポテンシャルは非常に高い。一方で、企業としてはただ市場にあわせて膨張するのではなく成長していかないといけない。そのためにはこれまでと同じやり方ではだめだ。膨張と成長は違う」

「半導体製造の現場は人材不足だけでなく、半導体の進化に伴って開発や生産にかかるコストや時間の増加が課題になっている。従来の方法でこれらの問題を解決するには限界があり、解決策のひとつになるのがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ」と回答しました。

また、どのような分野でDXを進めるかについては「開発段階から生産、販売後のメンテナンス・保守まで多岐にわたる。例えば開発では、AIで新素材を探索する『マテリアルインフォマティクス』や、AIでものづくりを効率化する『プロセスインフォマティクス』が有効だ。既に導入を始めており効果をあげている」

「製品の試作では実際に製品を作らずにデジタルツインを活用することで、人手や材料を心配せずにトライアンドエラーができる。半導体装置の販売後に顧客先で故障があった場合にはすぐに対応できるよう、拡張現実(AR)端末などを用いた遠隔操作で対応できるようにしていきたい」と答えました。

人材の育成にはどのように取り組むかについては「学生や研究者、特に女性技術者の育成は世界的な課題だ。国内外の企業や教育機関との連携による取り組みを加速させていく必要がある。東京エレクトロンとしても、そうした活動に積極的に関わっていきたい」

「2023年には日米の大学で高度な半導体人材の育成を目指すパートナーシップ『UPWARDS』に参画した。女性のエンジニアが活躍してほしいと期待している」と回答しました。

5月21日から22日にかけて、ベルギーのアントワープにおいて半導体研究開発機関「imec(アイメック)」が半導体イベント「ITFワールド2024」を開きました。このITFワールドはアイメックが年に1度開催する半導体や先端技術に関するイベントで、半導体関連企業のトップなどが基調講演やパネルディスカッションに登壇するほか、企業が技術や製品を展示します。

5月21日の夕方に東京エレクトロンの河合社長が「Outlook for semiconductor manufacturing in AI era」というテーマで登壇しました。内容は、半導体製造装置メーカーの立場から、デジタル技術を活用した半導体製造の展望と、その実現に向けた協業の重要性についてだそうです。

また、UPWARDSとは、「「U.S.-Japan University Partnership for Workforce Advancement and Research & Development in Semiconductors(UPWARDS) for the Future」というもので、日米両国でのより強固で高度な技術を持つ半導体人材の育成を目的とし、半導体のカリキュラムを履修する学生の増員を目指すとともに、新たな研究活動の推進を支援するパートナーシップです。マイクロン、米国国立科学財団(NSF)及び東京エレクトロンに加え、東北大学を含む日米の 11 大学が創設メンバーとして参画する半導体人材育成プロジェクトになっています。5月10日には、当プログラムでパーデユー大学が東北大学を訪問しています。

こういった人材育成にも取り組んでいる東京エレクトロンの今後の活躍に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。