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「三菱商事、AI商機探る 米ファンドに出資」に注目!

三菱商事、AI商機探る 米ファンドに出資 高度人材育成へ - 日本経済新聞 (nikkei.com)

三菱商事は人工知能(AI)研究の世界的権威である米スタンフォード大学のアンドリュー・ング兼任教授が率いる米AIファンドの2号ファンドに出資します。関連スタートアップとの接点を広げるとともにAIの高度人材を年間数十人規模で育て、先端テクノロジー分野で商機を探ります。

ング氏は米グーグルや中国の百度(バイドゥ)の研究を主導し、オンライン教育の米コーセラを創業するなど起業家としても活躍します。同氏が2017年に立ち上げたAIファンドの1号ファンドは資金規模が1億7500万ドル(約255億円)で、ソフトバンクグループや三井物産が出資しました。

三菱商事はング氏が資金調達を始めた2号ファンドに今夏以降に出資します。出資額は開示していません。2号ファンドには合計10社超が出資し、資金規模は1億2000万ドル以上になる見通しです。

2号ファンドは小売りやヘルスケア、物流などの分野でAIの活用に取り組む米国のスタートアップを中心に投資します。三菱商事は出資を通じてAI分野の最新動向について知見を深め、幅広い分野で本業との相乗効果を狙います。

三菱商事はAIを使ったデータ分析などのスキルを持つ高度人材の育成も急ぎます。今夏から国内で約3カ月間の研修を実施するほか、AI研究をリードする海外大学への短期留学制度も用意します。対象者は2024年度は7人で、2025年度以降は毎年数十人程度を予定します。

同社は2022年以降、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎や専門知識を学ぶ講座を全従業員向けに始めたほか、アプリ開発などの研修も実施しています。

アンドリュー・ング氏は米誌タイムが2023年にAI分野の「世界で最も影響力のある100人」に選出されています。

ング氏は8月1日の「GDS2024世界デジタルサミット」講演後に、AIについて「大規模言語モデルなど基盤となるモデルの進化とともに、AIを組み込んだアプリケーションの発展が進む。技術が複雑化して能力が高まるとともに、アプリを活用できる分野が農業や自動車などに広がるだろう」とコメントしています。

また、AIアプリの開発を積極的に進めるにはどんな投資が必要かについては、「技術に加えてビジネスへの活用を理解できるエンジニアが必要だが、そうした人材が十分にいないことが現在の課題だ。私は育成のためにオンラインの教育プログラムを立ち上げた。日本でも受講者は増えている」

「エンジニアのみならず、経営層やビジネスリーダーはAIで何ができるか、できないかを自分の頭で判断する必要がある。技術そのものを理解する必要はない。電子メールのように各種のAIツールを使うことで、製品開発や意思決定にどう生かせるかを考えられるようになるだろう」とコメントしています。

三菱商事は中期経営戦略2024において、AI等を活用し産業横断型デジタルエコシステムを構築しようとしています。AIを活用することで「リアル」でのニーズ事例に対して最適化等を提供し、社会全体の生産性向上を実現し、持続可能な価値創造に貢献するとしています。

今後も世界でAIの知見を獲得していく流れは加速していくと想定されています。三菱商事の知見とAIの知見を掛け合わせて、今後も三菱商事ならではの社会課題の解決を期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。