見出し画像

「OKRが向いていない企業」がOKRを継続している理由

前回の記事では、2年前の三恵クリエスがどのような観点で「OKRに向いていなかったのか」について書きました。

今回は改めて「なぜOKRを導入したのか?」「OKRに向いていないとわかった今でもなぜ継続しているのか?」についてご紹介したいと思います。

フォーカスとアラインメントがしたい

前回の記事でも書きましたが、三恵クリエスがOKRを導入した理由は「フォーカスとアラインメントを実現したい」からでした。


フォーカスとは「重要な目標に集中し、優先度をはっきりとさせること」。
アラインメントは「会社の向かうベクトルとメンバー1人1人のベクトルを揃えること」です。

当時の三恵クリエスは中長期ビジョンと掲げている「VisionMilize(ビジョンミライズ)」7カ年計画の3年を終えたところでした。
ですが、ずっと計画は未達成のまま・・。

スクリーンショット 2021-09-06 13.08.45



売上、利益、組織規模ともに停滞を感じており、その根本的な原因を突き詰めていった結果として『社員と経営陣のベクトルがあっていないこと』に行き着きました。



社員一人一人は頑張っている。でも、その方向性があっていないから、評価もしてあげられないし、力が分散して組織としても成長しない・・。実際、こんな会社は多い気がします。

スクリーンショット 2021-08-31 9.21.07

「どうすれば皆のベクトルを束ね、目的に向かって正しいフォーカスと協力ができるのか・・」


答えを探していく中で、2018年年末、取締役が出会ったのがOKRでした。(当時参考にした書籍はこちら)

試行錯誤の導入期

導入したばかりの頃はフォーカスとアラインメントを意識しながら、教科書のようなOKR運用もできるのではないか?と、とにかく試行錯誤をしました。

・OKRが機能するように全社の組織体制を大幅に変更
・各現場に「OKR担当」を設置して推進のハブに
・1on1の導入、実施、管理(アンケートで満足度調査)
・OKR推進担当がPJチームを回りながら「OKRを立てる」サポート
・帰社日を使った「OKRの立て方ワークショップ」の実施
・・・

画像6

結果・・・「OKR=現場への負担が大きい」?

色々と取り組んでみた結果・・。受託やSES契約で働くエンジニアの現場で聞こえてきたのは「とにかく現場負担が大きい」ということ。
本質はOKRの立て方の問題だったのですが、当時は「通常業務vsOKR」のような対立構造になってしまい、教科書のようなOKR運用(チェックイン、週次1on1、winセッション)が現実的ではないことがジワジワとわかってきました。

特にSES契約の場合、自由に現場で時間を確保することすら難しいPJもあり、1on1でさえ、業務時間内での実施には壁があります。
日々の業務で精一杯の現場リーダーを「OKRが回せていない」というプレッシャーで焦らせてしまう、孤独にさせてしまうようなことになってしまいました。本当に反省です。

「OKRが運用できている」定義を変えた

OKRをやめるか?という話も浮かぶ中で、出した結論としては「教科書通りのOKRはまず目指さない」「改めてフォーカスとアラインメントだけに集中する」ということでした。

当時、三恵クリエスでは独自に「OKRが運用できている定義」をつくっていたのですが、ほぼ機能していないその定義を見直すことにしたのです。

【初期の「OKRが運用できている」定義】
①チームのミッションが明確になっている
②チームOKRが上位OKRに紐づいている
③OKRにチームメンバーからの合意が取れている 
OKRイベント(OKRミーティング※、1on1、winsession)が回せている
※OKRミーティング=チェックインのこと

(↑最もネックになっていたのが④の運用。現場制限が多く、現実的ではないという声が多くありました。)

そして、見直した新しい定義がこちら。

スクリーンショット 2021-09-01 10.17.16

OKRイベント(チェックイン等)ができていること、を完全に外しました。
そしてさらに現在では「OKRができている=フォーカスとアラインメントができている」と定義し直し、上記の⑤ができていればOKとしています。

スクリーンショット 2021-09-01 10.25.02

⑤の「メンバーが以下の問いに答えられるかどうか?」という問いかけは非常に本質的だと思っています。

「今プロジェクトで1番重要としていることは何?
「チームはどうやって達成しようとしている?」
「そのためにあなたが今やっていることは何?」

OKR2年目以降は定期的に上記の問いをメンバーに対してアンケートを実施。「フォーカスとアライメント度合い」をはかり、結果を元にOKR推進担当とリーダーとで対話する時間をとるようにしていきました。

スクリーンショット 2021-09-06 13.24.28

なぜOKRを続けているのか?OKRを続けて得られた成果

「フォーカスとアラインメントを強化する」目的で粘り強く続けていった結果、ここ最近で大きく2つの成果を感じるようになりました。
この成果の実感が、現在も三恵クリエスでOKRを続けている大きな理由です。

①明らかに「フォーカスとアラインメント」ができるようになった
②社員の意識、特にリーダーの意識に変化が起きてきた

詳しく紹介したいと思います。

明らかに「フォーカスとアラインメント」ができるように

OKRを導入した1番の目的が実感として現れるようになりました。
(やはり「イベントの運用」に固執しすぎなかったことでリーダーや現場に余裕が生まれたと思います)

まず、OKRを軸に何度も経営陣とリーダー、リーダーとメンバーで会話を重ねる機会が増えていくことで、まず「フォーカス」ができるように。
結果、必然的に全社、部門、チームの目標が明確になり、さらにブレにくくなったことは組織としての推進力になっています。

OKR営業

また、共通の目標、共通の指標、共通の言語で認識合わせが出来るようになり、アラインメントを感じるようになりました。

今まではなかなかトップが求める「成果」とメンバーの考える「成果」に乖離があり、結果的に評価の時期になってお互いのギャップが不満を生む状況となっていました。
ですが、OKRを通して求める成果、成長をはっきりと示せるようになり、メンバーにとっても「何をすればいいか」の目線が合い、評価との乖離もほぼなくなりました。

社員の意識、特にリーダーの意識に変化が起きてきた

OKRは四半期ごとに設定するため、これまでよりも明らかに目標に触れる機会が増えます。
「目標に触れる機会が多い」。こんなシンプルなことが発展途上の中小企業ではとても大きな意味を持ちます。

これまでは何か全社として取り組みが始まるときに「〜だから始める」という理由はあるものの、その施策の腹落ちをリーダーができず、不明なままメンバーへ下ろすことが多かったことが問題でした。

OKRで「いま何にフォーカスするのか」が明確に提示されていると、「このOKRに紐づくからやる」と、全て説明することができます。
この「なぜ」にリーダーが繰り返し触れること、目標設定、見直しの頻度がOKRサイクルに合わせて頻繁にあることで

・経営⇄リーダー間で計画(目標、戦略設定)の精度が上がる
・経営⇄リーダー⇄メンバーそれぞれへの「伝える頻度」が増える
・頻度の多さが納得感と「社員1人1人の意識」を変える
・意識が変わり、行動が変わり、さらにフォーカスとアラインメントを強化する


こんなサイクルが小さく生まれ始めたのです。
もちろん、社員全員の意識が変わったというわけではなく、チーム間でのばらつきもあります。ですが、リーダーを筆頭に「着実に変わり始めた」こと。そのきっかけの1つが「OKRのフレームワーク」だったことは間違いないと感じています。

成果のないOKRは存在しないと思う

三恵クリエスがOKRを導入した理由、そしてなぜ今もOKRを独自に続けているのかを今回書きました。
これまでの経緯を振り返りながら、改めて感じたことは

「成果のないOKRは存在しない」

ということです。

仮説検証サイクルを回していくことが組織にとって重要になってくるこれからの時代。この文脈では「失敗」は全て「成果」となります。
OKRというフレームワークを初めて導入すると、どうしても理想とのズレが生じます。これは「失敗」ではなく、立てていた仮説が違っていたということ。チューニングのために見えてきた貴重な「組織のボトルネック」だと思います。

大切なのは「OKRを通して何を実現したいのか」という理想のステップを描くこと自社にとっての「成功の定義」をブラッシュアップしていくことだと思います。

OKRは自律自走し、失敗を許容し、変化を受け入れ成長していこうとする組織にとてもフィットします。この組織の在り方は、いま日本がDXという文脈の中でも目指そうとしている組織の在り方と同じように感じます。

OKRがフィットしていないということは、これからの時代に向けて何かしら変化が必要であるアラートであり、そのボトルネックを見える化すること自体がとても価値のあることではないでしょうか。

OKRは良くも悪くも確実に組織を変化させるツールです。
「OKRが向いていないからやらない」ではなく「OKRが向いていないからこそやる」くらい、ジレンマを乗り越えて、チューニングをし続ける組織は確実にこれからの時代に合わせた変化を遂げられる気がします。

三恵クリエスにとって、現状のOKR運用は理想とはまだまだかけ離れたものです・・。それでも組織が着実に変わってきたことを感じますし、OKRを導入して良かったと感じます。
今後も自社に合わせた形でしばらく続けてみたいと思います。

---

三恵クリエスでは簡単にOKR導入をサポートしてくれるOKR管理ツール『Commita(コミッタ)』を開発しています!
少しでもご興味をお持ちになりましたらぜひお問い合わせください。

サービスサイト、β版申し込みはこちら↓

お問い合わせはこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?