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イントロダクション

投手学とは


野球は日本において昔から親しまれてきたスポーツであり、書店に行けば野球に関連する雑誌や書籍を多く目にします。著者も子供の頃からそれらに触れ、先人たちの知識や経験を得てきました。
また、様々な指導者の考え方に触れる機会がありました。プロの世界で選手・コーチとして活躍された方、大学野球の名将や投手育成で有名な方の指導法や哲学に触れる機会もありました。

著者が大学・社会人野球でプレーしている時にも後に新人王を取る選手や沢村賞を受賞する選手も近くで見てきました。その様子を見たり直接聞いたりすることで様々なことを学ぶことができました。

私は言うなれば投手界における”雑種”かもしれません。ありがたいことに多くの方から投手に関する内容を学ぶことができ、また聞いたことや学んだことを実践する機会を得ました。
しかし残念ながらそういった恵まれた環境にいたことに気づき、また技術的に成熟したいく前に利き腕を骨折するという不幸に見舞われプロ野球選手という夢を叶えることはできませんでした。
本書は、雑種と言える私が今まで見て、聞いて、読んで、学んで、実践してきた内容、つまり私の指導者期間も含め投手人生としてのエッセンスを詰め込んだ内容になります。
全てを詰め込むことは難しいのですが、できる限り惜しみなく詰め込んでみました。本書が悩める投手への一助になりますと幸いです。


投手とは


投手は野球の中で唯一、多少の制約はありますが自ら投げるタイミングや場所をコントロールできるポジションです。
投手以外の選手は、他のもの(人やボール)の動きに対してリアクションを求められるため、投手の役割は他のポジションに比べて非常に特異です。
このことから、投手の守備はチーム全体の8割を占めるほど重要であると言われています。
さらに、投手は守備だけでなく、リズムやテンポを通じて攻撃にも好影響を与えることができます。投手の投球リズムがチーム全体のプレイに影響を与え、良いリズムを作り出すことでチームの士気を高めることができます。このように、投手の役割は野球の試合全体に大きな影響を与えるため、その重要性は非常に高いと言えます。

投手学の背景


投手育成の変遷を見ると、時代ごとにトレーニング方法や指導方法が進化してきました。例えば、古典的な投手育成方法では、現代では理不尽や非科学的と言われてしまうようなフィジカルな強化に重点が置かれていましたが、現代では技術的なトレーニングやメンタル面の強化も重視されています。

私自身の指導経験からも、大学や社会人野球で活躍する投手には共通する特徴があることがわかります。それは、技術力の高さだけでなく、体力やメンタルの強さ、継続力(飽きないこと)、観察眼などの要素が求められるという点です。
特に、技術力がなければ体力も生かされないことが多く、怪我をしないためにも技術の向上は不可欠です。
例えば、日本を代表する投手であるダルビッシュ有選手や大谷翔平選手のトレーニングコーチとして知られる中垣征一郎さん(現オリックスバッファローズコーチ)の著書「野球における体力トレーニングの基礎理論 「鍛える」「投げる」「打つ」」で、「筋力があるから速い球が投げられるわけではなく、俊足の選手が必ずしも走塁が上手いとも限らない」と述べています。さらに、「体力を生かし切れなかった運動技術のひずみが怪我につながる」という言葉もあり、技術と体力のバランスの重要性を強調しています。
投手学を学ぶメリット 投手学を学ぶことで得られる具体的なメリットは多岐にわたります。まず、野球自体がより楽しくなり、チームから重宝される存在となるでしょう。試合に出られる機会が増え、チームに貢献することで自己肯定感も高まります。さらに、投手としての経験は、日常的な振る舞いや意思決定においても役立つスキルを養うことができます。


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