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社労士さんも年金事務所も、マスコミも勘違いしている 社会保険加入20時間問題

勤務週20時間未満でも、厚生年金も健康保険に入れることを社労士も年金事務所も知らない!?

結論から言うと、週20時間未満の勤務でも、健康保険厚生年金保険に入れる。(※条件付き)
条件付きなので、最後までしっかり読んで下さい。

まず、週20時間未満勤務の働き方に、2通りあることを先に上げておきます。

一つは、「短時間労働者」と、一つは、「短時間正社員」です

似たような言葉なので、実はマスコミもわかってなくてニュースに取り上げているので、余計にみんなこんがらがってしまっています。

要は、
短時間労働者は、パート・アルバイトです。
短時間正社員は、正社員です。限定正社員の中でも、時間に制限をつけているものです。(一般的に短時間正社員は、介護や育児の一時的な使われ方をしている場合が多いです。)

短時間労働者について

つまり、短時間労働者は、今まで被保険者になれませんでした。

それが、今回のニュースのもとになっている
「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」です。
条件はもう少しあるものの、

20時間以上勤務していて 101名以上社員を抱えている会社は、
強制的に厚生年金・健康保険の被保険者になってくださいというものです。
2年後の2024年からは、101人以上ではなく、51人以上になります。

将来的には、すべての短時間労働者も20時間以上働いていれば被保険者になってねということかなと思っています。

これは、会社側がフルタイムと同じぐらい働いている人をパートだから健康保険・厚生年金に入らせないという、ところから発生していて、
国としては入ってほしい、従業員としても入りたいけど、会社としては入らせる義務がなかったので、放置されていた。

短時間正社員について

そもそも短時間正社員の考え方は、介護や子育てで、一時的に短時間になっているだけなのでもともと被保険者だった、その人達がその期間だけ保険に入れないのはおかしいのでは?と、短時間正社員は、被保険者として扱おうという話になったと思われます。(個人的観測。)
でも、短時間正社員という制度を作ってしまっているので、そこは被保険者として、扱うことというお達しが出ている。(※1)

しかし、マスコミだけでなく、社労士さんも、年金事務所自体も、これを混同しているとおもわれて、20時間未満の労働者は、一律被保険者にはなれません。という過去の経験に基づいた回答が先に出てきてしまう。

社員のことを考えている中小企業経営者も多い!

なぜこんな話をしているかというと、
実際に複数の会社の社長さんが、
雇用しているスタッフがいて、週2とか短時間で一日4時間とか合計20時間に満たない。
でも、働きぶりや将来のことを考えて、パートではなく、会社を一緒に成長させてくれる人材であると。だから、健康保険・厚生年金にも入れたいと思って、問い合わせても、まずは、20時間以上ないと無理ですね。と回答が来るといったことが、周りに起こっていた。

せっかく、従業員も、やる気になっている。経営者側も、大切に扱いたい。そう思っているのに門前払いされるわけである。

つまり、短時間労働者と、短時間正社員を一緒に考えてしまっているのです。

ただし、短時間労働者ではなく、短時間正社員として、認めてもらうためには、

1.就業規則に短時間正社員の項目を作ること、
2.短時間正社員として雇用契約を結ぶこと
3.フルタイムの正社員と賞与や退職金を含む賃金待遇が同等であること

の条件さえ整っていれば、大丈夫です。

国もまさか、会社が保険になるべく入れたくないと思っているはずなので、勝手に入ってくる人はいないだろう。だから、何人以上になったら必ず入りなさいよと適用拡大してきたわけです。

実は計算してみると、個人加入の国民年金・国民健康保険よりも、短時間正社員として、被保険者になったほうが、天引きされますが、個人負担は減ります。会社の折半分は会社の負担になりますが、そこを見越して、雇用関係をうまく作ったほうが、いいという経営者もいるということを知ってほしいと思いました。

会社経営者皆んなが、労働力を搾取して、安く働かせればいいと思っているわけでないということです。もちろん、旦那や奥さんの扶養に入りたい場合は、短時間労働者という働き方も選択できますので、自分の環境に合わせて選ぶことができれば理想だと思います。

まあ、ここには、配偶者控除などがあり、被保険者に入らないほうが徳だとか損だとか、という話とリンクしています。
男女とも働き、共働きが多い世の中になってきたので、本来ならこちらを見直すほうがいいのでしょうが、なかなか進まないですね。

いうことで結論

短時間労働者は、会社の社員数によって異なるものの、20時間以上勤務しないと厚生年金・健康保険の被保険者になれない。

短時間正社員は、勤務時間の長さに関係なく、厚生年金・健康保険の被保険者になれる。
ただし、雇用保険は、20時間以上という条件がついているので、短時間正社員は、20時間以上勤務をしていないと入れません。

今までこんな働き方をする人がいなかったので、いわゆる前例がなかったので、
一般の社労士も、年金事務所も咄嗟聞かれたら判断できないだけだと思います。


※1 平成21年6月30日 保保発第0630001号 「短時間正社員に係る健康保険の適用について」

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