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『海がきこえる』を読み(視聴し)なおす:その44 補論(後編)ー「海がきこえる」とは何か+αー

タグ: #読書の秋2021 ,#海がきこえる,#海がきこえるⅡアイがあるから,#氷室冴子,#スタジオジブリ,#アニメ,#小説,#考察,#ネタバレ

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 前回、補論(前編)として、拓が「芸術学部」を選んだ理由と、『アニメ版』のキャスト(声優)とアニメ『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』(「CF」)のキャスト(声優)との共通点について考察しました。

 今回、補論(後編)として、『海がきこえる』における「2組の似た者同士の共通点」と、「海がきこえる」とは何かについて考察していきたいと思います。最後の考察となります。


『海がきこえる』における似た者同士ー似た者同士の別れが暗示する未来の拓と里伽子とはー


 「似たもの同士」ー 人は、外見のみならず性格などの内面、はては共通の趣味を持っている人々をそう呼びます。

 共通する何かをお互いに共有している「似たもの同士」は人並み以上に相手を理解することができます。それゆえに、相手の気持ちを察して寄り添うことができたり、協力して大きな成果を上げることができたりするのですが、『海がきこえる』においても「似たもの同士」と呼べる「2組」の登場人物たちが登場するのです。

○里伽子と知沙
○拓と田坂と大沢氏

 「ワガママ姫」「振り回されるオトコたち」という「似たもの同士」であるがゆえに、「小説版」において、田坂との別れを予言する知沙の述懐に、拓と里伽子の「未来」の別れを暗示している(と思われる)箇所が存在しているのです。

 2人は、将来どういう理由で別れる(可能性がある)のでしょうか。


似た者同士のワガママ姫たちー知沙と里伽子の共通点とはー



 まず、1組目の「似たもの同士」である里伽子と知沙の共通点について見ていきたいと思います。

「うん。まあ、確かに……。あのふたりは、似いちゅうかもしれん」
「アニメージュ版」連載第23回 173ページより引用

 「アニメージュ版」において、拓は松野との会話の中で、里伽子と知沙の類似性を明確な言葉で指摘しています。
 「文庫版」では、拓が2人の類似性を指摘する場面が存在しないものの、拓と知沙の会話の中で、知沙が里伽子に対する高い共感性を示したセリフが存在しているのです。

「あたし、そのリカちゃんの気持ち、わかるな」
「どんな気持ちなんですか」
(略)
「お父さんの浮気で家庭崩壊しちゃってさ。やっぱり、いろいろ辛(つら)かったのよ、きっと。なのに、気持ちの整理もつかないまんま、さっさと田舎に連れていかれて。母親は、自分が育った街だから、気楽だろうけど。リカちゃんは淋(さび)しかったんでしょ、きっと」
「淋しいって感じはなかったけど。ツッパッてて」
「淋しいから、淋しい顔してるとも限らないわよ。(略)」
「海きこ」第五章 219ページより引用

 知沙に連れられて「ひばりが丘」にある知沙の「不倫」相手だった大沢氏の家近くまで行った際、拓は里伽子とのこれまでの関係を知沙に打ち明けます。知沙は、パーティーで一度見ただけの里伽子の、拓でさえ気づかなかった「淋しさ」をズバリと言い当てているのです。

「リカちゃんが高知を忘れたいのは、あたしの引っ越しと同じよ、たぶん」
「海きこ」第五章 221ページより引用

 知沙は、自分と大沢氏との「不倫」と、里伽子の父親の「不倫」から始まる里伽子の両親の「離婚」とを重ねます。そして自分が大沢氏との「不倫」を忘れるために「品川」に引っ越したように、里伽子もまた「高知」のイヤな思い出を忘れるために「東京」の大学に進学したのだろうと見事な洞察を拓に披露しているのです。

 父親(と美香さん)の不倫で「傷つけられた」里伽子と、大沢氏との不倫に「傷ついた」知沙とで微妙な差異はもちろんあります。ただ、知沙は自分と同じ「不倫」が原因で傷ついた里伽子の境遇や淋しさを見事に言い当てており、高い共感性を示していることがうかがえるのです。

 お互い「不倫」で傷ついたもの同士であることに加えて、ワガママな振る舞いで相手の男性を振り回す点で「似たもの同士」である里伽子と知沙。

 そんな知沙は、大沢氏との「不倫」からの「リハビリ」と称して田坂に寄りかかっている「現在の気持ち」と、田坂との「未来」を意味深な言葉で拓に打ち明けているのです。

ーこっちも若いし、生活も背負ってないし気楽だった。いまだに悪いことしたとか、いうリアリティがないの。なのに別れてからのほうが、どんどんリアルになっちゃって、ちょっと辛(つら)い。辛いから、相談相手になってくれる浩ちゃんに寄りかかってるの。でも、そのうち辛くなくなったら、一番先に避けるのは浩ちゃんなのよ。それは今から、わかってるの。
「海きこ2」第二章 74ページ~75ページより引用

 この「なのに~」以降の知沙の述懐で、「知沙」を「里伽子」に、「浩ちゃん」(田坂)を「拓」に、「別れてから」を「里伽子の両親が別れてから」に置き換えてみます。すると、不思議と「拓と知り合ってからの里伽子と拓の関係」に知沙の述懐が当てはまってしまうのです。

 里伽子と拓の関係に置き換えた(知沙の)述懐を見てみましょう。

(父と母が)別れてからのほうが、どんどん(両親が離婚したことが)リアルになっちゃって、ちょっと辛い。辛いから、相談相手になってくれる杜崎くん(拓)に寄りかかってるの。でも、そのうち辛くなくなったら(里伽子が父親と美香さんの関係を心から受け入れることができるようになったら)、一番先に避けるのは杜崎くんなのよ。それは今から、わかってるの。

 拓に頼りきっている里伽子ーそんな自分の心情を拓に打ち明けているセリフが「アニメージュ版」に存在しているのです。

「弱みをみせても安心できちゃうタイプっていうかさ。で、ちょっと軽くみてて、どんどん弱みを見せてるうちに、気がつくと頼りきってたりするわけよ。で、今度は、ほかの女に頼らせてるのみて、イライラするんだ」
「アニメージュ版」連載第20回 160ページより引用

 拓に頼りきっている里伽子は、知沙のようにいつか拓から離れていくのでしょうか。

 そのことを考える前に、もう1組の「似たもの同士」ー拓・田坂・大沢氏の共通点について見ていきましょう。


振り回されるオトコたちー知沙を起点にして互いに共感しあう拓・田坂・大沢氏ー


 拓・田坂・大沢氏の3人を「似たもの同士」とする理由、それは「3人がワガママな里伽子や知沙に振り回されていること」に加えて、「3人が他の2人にどこか共感めいた感情や立場を取っていること」にあります。

まず、「拓→田坂」を見てみましょう。

 つきあっている女に苦労させられると、男はどこか一本、筋が通るものだと、ぼくはすっかり感動した。苦労が身になっているヒトだ。その思いは、デスクに残されたメモを見て、いよいよ深まった。
「海きこ2」第一章 40ページ~41ページより引用

 「高知」に帰省して不在の拓のアパートに侵入して爆睡していた知沙を連れ出した田坂に対する拓の述懐です。拓の電話を受けて知沙を連れ出してくれたばかりか、ビールの空き缶をまとめて置いてくれたりと「苦労が身になっている」田坂に対して拓は深い感謝と共感を抱きます。

 その好きな彼女が、世間でよくある不倫(ふりん)で傷ついて、リハビリで自分とつきあっているのを納得しているのだ。
 たとえ下心があるにしても、いくらかの余禄(よろく)があるにしても(たとえば津村知沙が泊っていくとか)、他の男のことで荒れている女友達の回復を手伝うというのは、なかなかできることじゃない。
「海きこ2」第二章 71ページより引用

 田坂の口から知沙との馴れ初めや、知沙と大沢氏の不倫の恋、自分とのリハビリに至るまでの過程を打ち明けられた拓。知沙が立ち直るためだけに不倫からの「リハビリ」につきあう田坂の姿に好感を抱いた拓は、田坂のためにそんな知沙を憎(にく)らしく思うまでに至ります。
(「海きこ2」第二章 75ページ)

 反対に「田坂→拓」はどうでしょうか。

「杜崎っていったけ。おまえ、見るからに知沙に付け込まれそうなコだよ。気がいいっていうか。美人に悪いヒトはいないと信じてるふうでさ」
「……どうせ」
(略)
「怒るなって。おまえのせいじゃない。どうせ、あいつに引っ張られて行ったんだろう。不可抗力だとわかっているよ」
「海きこ2」第二章 62ページより引用

 田坂とは「海きこ」の冒頭において、書店の店員と客との間柄でしかありませんでした。(「海きこ」第一章 13ページ~14ページ)しかし、拓が知沙(の不倫にまつわる一連の出来事)に巻き込まれたことで、田坂は同じ大学の後輩で「人の良い」拓に同情して好意的な存在になります。
 先に書いた「拓のアパートからの知沙の連れ出し」(「海きこ2」第一章 32ページ~40ページ)や、「海きこ2」クライマックスの「病気になった美香さんにつきそう里伽子の元に拓が駆けつけるためにクルマを出す」(「海きこ2」第六章 232ページ~250ページ)といったように、たんなる大学の先輩・後輩の間柄だけで拓に対してここまで親切にできないと筆者は考えます。
 田坂の根底に知沙に巻き込まれたにも関わらず、律儀に知沙の「リハビリ」につきあおうとする(自分と似たところのある)拓への「共感」があったのではないでしょうか。

 拓と田坂の間で知沙を介在しての相手への「共感」があることを見てきました。
 では、2人とって「諸悪」の根源であるともいえる大沢氏への見方ーすなわち、「田坂→大沢氏」及び「拓→大沢」はどうだったのでしょうか。

「金持ちの御曹司(おんぞうし)とか、一流企業のやり手とか、そういうのなら、こっちもかえって反感がもてるんだけどな。それが、いいやつなんだよ」
「いいやつ、なんですか」
「海きこ2」第二章 70ページより引用

 先に書いた田坂の打ち明け話の際、拓は単純な好奇心から知沙の不倫相手である大沢氏の人となりについて田坂に問いかけます。田坂の「いいやつ」発言に、思わず相づちをうって真意を探ろうとする拓でしたが、のちに知沙に連れられて大沢氏と対面した際、田坂の発言が間違いでなったことを理解します。(「海きこ2」第五章 200ページ~218ページ)

 辛さがわからない、というのは痛々しいものかもしれない。
 ぼくはそのとき初めて、はっきりと、大沢さんのいったことを理解した。そうだ、津村知沙は痛々しいのだ。痛々しいから優しくしてあげたかったのだ。そうとしか思えない気持ちがぼくを包んでいた。
「海きこ2」第五章 216ページより引用

 拓は、大沢氏と知沙の「別れ」の会話、知沙から伝え聞いた大沢氏や妻の「みのりさん」の境遇から、大沢氏が「不倫」してまで知沙に優しくしてあげようとした(拓なりに考察した上での)「真相」にたどり着きます。

 知沙と大沢氏の関係を田坂は「先着順だからな」(「海きこ2」第二章 70ページ)と評していましたが、拓自身、妻の「みのり」さんとともに、かつての妻のように輝いている知沙という2人の女性を一度に愛そうとしてしまった「不器用な」大沢氏の思いに深い「共感」を抱くに至っているのです。

 大沢氏に対する拓と田坂の「共感」は知沙への行動になって現れます。

 拓は、知沙から大沢氏の境遇(家族や兄弟の有無、「みのり」さんの抱えている辛い現実)を聞き出して、大沢氏という人物を深く理解しようとします。田坂に至っては、最後まで知沙に優しくしてあげようとする大沢氏への「同情」からか、知沙と殴り合いのケンカにまで発展しています。拓自身は田坂の知沙に対する愛情がケンカの原因だと判断しますが。
(「海きこ2」終章 269ページ~274ページ)

 そんな大沢氏も登場シーンこそ少ないものの、(自分と知沙の不倫に巻き込んでしまった)拓と田坂に対してどこか「同情」や「共感」を抱いているフシがあります。「大沢氏→拓」及び「大沢氏→田坂」

 大沢氏は、知沙とともに個展会場に現れた初対面の拓に、去り際(悪いけどこれからも知沙のことを頼むと)「肩を叩く」気安さを見せます(「海きこ2」第五章 206ページ)。
 また、(自分との不倫の後始末をしている)田坂を呼び出して知沙の反応を探ってほしいと依頼するといった行動(「海きこ2」終章 269ページ)にも出ています。

 拓のいう「気安い」「憎めない」という大沢氏の個性もあるのかもしれません。
 ただ、知沙という女性に「優しくしてあげようとしている」男同士ということで、大沢氏の心に拓と田坂に対する「共感」があったのではないかと筆者には思えるのです。


知沙と大沢氏(田坂)の別れは未来の里伽子と拓の別れなのか?ー「1つの可能性」と「2人の固い絆の存在」ー


 ここまで2組の「似たもの同士」の間に、「共通」する何かが存在することを見てきました。

 それでは、大沢氏と知沙の別れ(そして作者が「予言」した田坂と知沙の別れ)は、「未来」の拓と里伽子を待ち受ける別れの形なのでしょうか。

 筆者は、イエスでもありノーであるとも考えます。

 イエスであるのは、里伽子の中で父親の不倫から始まった家庭の問題が解決された場合、里伽子が拓のことを疎(うと)ましく思って避けるようになることが2人の別れの理由の1つとして充分に考えられるからです。

(ただ、もし2人の別れが描かれたとしたら、知沙や緒方たちとの三角関係などの複合的な理由が積み重なって別れることになる(だろう)と筆者には思えますが)

 一方、ノーであるのは、拓と里伽子の関係が元々「不倫」「リハビリ」といった、最初から「別れ」や「卒業」を含んだ関係から始まったものでないからです。
 これまで考察してきたように、2人は高校時代にお互い相手に対する想いを抱きながらも、一度喧嘩別れしています。
 大学生となって「東京」で再会した拓と里伽子は、「高知」への帰省で過去のわだかまりの解消や、美香さんとの葛藤を2人で乗り越えたことで、関係をより確かなものにしているのです。

 そんな2人の関係はいわば「相棒」(バディ)であるとともに、里伽子にとって拓は「避難所」ともいえる「居場所」なのです。

 たとえ恋人同士でなくなっても、深いところでつながった2人の「固い絆」は簡単に断ち切られるものでないはずです。

 そんな拓と里伽子の「固い絆」を推し測るうえで、最後に『海がきこえる』とは何かについて考えてみたいと思います。


「海がきこえる」とは何か?ー「里伽子との思い出」と「素直な自分の心」


 「海がきこえる」という言葉は、いったい拓と里伽子にとって何を意味しているのでしょうか。

 拓と里伽子それぞれの視点にたち、「海」が意味するものと、「海がきこえる」という言葉が何を指しているのか考えてみたいと思います。

 まず、小説の中で、未来の「今」の視点から里伽子との思い出を振り返っている(だろう)拓にとって「海」とは里伽子そのものであると考えます。

 「すべては里伽子に戻っていく」という「小説版」の書き出し文にあるように、拓の原点は、帰るべき「海」ともいえる里伽子にあるということ。恋人関係を解消し、離れ離れになっても最後に拓は「海」である里伽子の元に戻っていくことを暗示しているようにも思われます。

 そして、拓にとって「海がきこえる」とは、「今」の拓の人生に大きな影響を与えている里伽子の存在やさまざまな思い出が、懐かしさとなって潮騒(しおさい)のように拓の心に押し寄せている状況を指しているのではないかと思えるのです。

 つまり、「海がきこえる」とは、拓が小説の地の文で里伽子との関係性の中で育まれた出来事を述懐しているときの「拓の気持ちそのもの」であるといってもいいのかもしれません。


 一方、里伽子にとって「海」とは、父親の不倫に始まり、今も美香さんに対して「意地を張っている」自分自身のしがらみにとらわれたままの里伽子が、「素直になれる場所」=「居場所」(避難所)である拓そのものであると考えます。

 そして、里伽子にとって「海がきこえる」とは、「高知」に転校してズレてしまった自分を受け止めてくれる「海」のような拓の側にいることで、周囲に素直になれなかった自分が「素直な自分の心」と向き合うことのできる状況を指しているのではないかと思えるのです。

 拓と恋人関係を解消したのち、美人で人目をひく里伽子に惹かれていく男性は数多いでしょう。それでも、「ワガママ」で「意地っ張り」な里伽子の存在を恋人として受け止め続けることができる男性は結局のところ現れないのではないでしょうか。

 「海きこ3」以降、里伽子と拓の関係がどうなっていくか不明ですが、里伽子にとっても「海」である拓のところにいつか戻っていくように思えてならないのです。


 今回、『海がきこえる』における「2組の似た者同士の共通点」と、「海がきこえる」とは何かについて考察しました。

 これにて、筆者の『海がきこえる』の考察はすべて終了となります。

 次回、これまでの考察のまとめである「おわりに」と、「参考文献・参考サイト一覧」について書きたいと思います。


ー今回のまとめー

似た者同士の関係から見えてくるものと「海がきこえる」とは何かについて

 『海がきこえる』には、「里伽子・知沙」と「拓・田坂・大沢氏」という2組の「似た者同士」が存在する。
 相手に対して高い「共感性」を示すことから、知沙と大沢氏(田坂)の別れは、未来の里伽子と拓の別れの1つの可能性を暗示していることが考えられる。里伽子の中で父親の不倫から始まった家庭の問題が解決された場合、里伽子が拓のことを疎(うと)ましく思って避けるようになるからである。
 一方で、拓と里伽子の関係はいわば「相棒」(バディ)であるとともに、里伽子にとって拓は「居場所」である。恋人関係を解消しても、2人の「固い絆」は簡単に断ち切られないと考えられる。
 「海がきこえる」とは何かについて、拓の視点で見た場合、拓にとって「海」とは里伽子そのもの。「すべては里伽子に戻っていく」という書き出し文から考えると、里伽子と恋人関係を解消しても、最後に拓は「海」である里伽子の元に戻っていくことを暗示しているようにも思える。
 拓にとって「海がきこえる」とは里伽子の存在・思い出が、懐かしさとなって拓の心に押し寄せている状況を指しており、拓が小説の地の文で里伽子との出来事を述懐しているときの「拓の気持ちそのもの」であるといえる。
 里伽子の視点で見た場合、里伽子にとって「海」とは、里伽子が、「素直になれる場所」=「居場所」である拓そのものである。
 里伽子にとって「海がきこえる」とは、「海」のような拓の側にいることで、ズレてしまった里伽子が「素直な自分の心」と向き合うことのできる状況を指している。
 「海きこ3」以降、拓と恋人関係を解消しても、里伽子が「海」である拓のところにいつか戻っていくことを暗示しているようにも思える。


※記事に使用した場面写真は、スタジオジブリ公式サイトが提供する「スタジオジブリ作品の場面写真」のうち、「海がきこえる」のページのものを使用・加工しております。


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