Zoo (石橋和章) 漫画原作者&漫画編集者

漫画制作スタジオ株式会社コミックルーム代表取締役社長 マンガ原作者(TSUYOSHI、…

Zoo (石橋和章) 漫画原作者&漫画編集者

漫画制作スタジオ株式会社コミックルーム代表取締役社長 マンガ原作者(TSUYOSHI、恩を仇で返された令嬢の家族が黙っている訳がない等) 小学館裏サンデー、マンガワン創刊編集長 漫画業界に対するコラムを書いています。

マガジン

  • 漫画編集者回顧録

    2001年に漫画編集者になった筆者の回顧録です。エニックスのガンガンWING編集部から始まり、ヤングガンガンの創刊。その後転職し、小学館の週刊少年サンデーでの日々。さらに裏サンデーとマンガワンというデジタル媒体の編集長を経て最終的に独立するまでの苦闘を書きます。

最近の記事

【書店営業の重要性】

今日は朝6時半に起きて1時間で1話分のシナリオ書きました。ノープランからスカッと書けたので久々に気持ちが良いです。なので久々のコラムも書こうかと。最近は採用や、新入社員の信じられないトラブルなどで会社経営の難しさにのたうち回っていました。特に、労務は難しい。社員を増やすのは大変。とてもコラムを書く気力が無かったです。人事担当の活躍でようやく解決。優秀な人事担当を採用して良かったです。ありがとう。 で、今日は書店営業の話でも。最近やたら漫画編集者が良い意味でも悪い意味でも持ち

    • 今、エンタメ業界に起こってる事

      今週は連日重要な会食やパーティーが連続して、肝臓と脳がかなり疲弊しています。ですが、フムフムと思える事が多かったのです。会話の内容は言えませんが、業界の流れは感じ取れたのでそちらを共有したいと思います。 ●フム1 まず、今週は電子書店サイトの経営者様とお会いしました。白熱する電子書店業界。強いところはさらに売上を伸ばしているようです。逆に弱いところは、下がっているようで高低差が付いてきていると言う事です。大手プラットフォーマー達の寡占はさらに進むようです。とにかく勢いがすご

      • 【漫画起業論】

        最近、パワフルな起業家の方々からよく質問される。 「なぜ漫画家に起業家が少ないのか?」 彼らはいう。一定の成功を収めた漫画家は延々と印税がはいってくるキャッシュリッチな状態だ。さらに、複数のアシスタントを雇ってきた経験がありマネジメント能力もあるだろう。起業家として相当、有利なポジションにいると。 特に最近はエンタメ系のスタートアップが殆どという状況において、作画、演出、脚本、演技、全てを見れるトップ漫画家は最強の起業家になれるのではないかと。 にも関わらず漫画家から

        • 【全部自分でやる事のススメ】

          おはようございます。昨日はなんだかとても心が疲れていました。幸い会食もなく夜が空いていたので大好きな『草加健康センター』で凶悪なロウリュや草津温泉のお湯を楽しみました。ちなみに草加健康センターは毎日、草津温泉から大量のお湯を運び入れており、埼玉に居ながら草津温泉が楽しめるのです。 すると一晩で随分復活。いやー、温泉って偉大ですね。 はい、弊社の作品『復讐のサレ妻〜夫の不倫相手は保育士でした〜』がスワイプドラマというのになりました。スワイプドラマというのはスマホ用に作った縦

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        • 漫画編集者回顧録
          16本

        記事

          今、漫画業界に起こっている事

           僕は大手電子書店ストアを毎日巡回していますが、毎日、配信される新刊の数が鰻登りです。最近では少ない日でも300冊。大手ストアでは多い日だと1000冊以上の新刊漫画(WEBTOONも含む)が今配信されています。全くもって異常事態ですね。 10年前の30倍くらい? 体感では去年に比べても1.5倍くらい出ている気がします。 ここ2、3年でしょうか、電子書店市場の拡大に伴って中小出版社を中心とした企業が、 電子書店に下ろすために編集部を大幅に拡張し、これまでより大量の漫画作品を供

          今、漫画業界に起こっている事

          ほぼ漫画業界コラム186

          【最悪の編集部の見分け方】   最近は漫画レーベルが溢れ、ポコポコと新規レーベルが生まれます。世は大編集長時代に突入ということで漫画家の皆様は、どこに持ち込めばいいかわからない時代になりました。    ただ、世の中には最悪の漫画レーベルもあるのでお気を付けを。 最近、耳にしてあーそれは最悪な編集部なぁと思うエピソードがありました。でも、それを聞いてイケてる編集部とイケてない編集部の見分け方が判明しましたので報告させていただきます。    それは、その編集部が年間、編集者一人あ

          ほぼ漫画業界コラム185【連載で話が浮かばなくなった時の対処法】

          久々の更新です。ここ数日、新企画のシナリオがどうしても書けなくて、地獄の苦しみを味わっていました。新作の13話のシナリオです。ネームは10話まで、原稿は8話まで進んでいますが、この3日間、13話のシナリオを書いては消し、書いては消しの繰り返し。 どうしても先に進まない。面白い話が書けない。主人公がある大きな存在と出会うというプロットラインは以前から決めていたのですが、どうしても不自然です。テンポと演出で面白くできると考えていましたが、いよいよ誤魔化せなくなってきました。

          ほぼ漫画業界コラム185【連載で話が浮かばなくなった時の対処法】

          ほぼ漫画業界コラム184 【AI制作の漫画について思うこと】

          先日、何気なくポストした内容が予想外に大きな反響を呼び、困惑しています。まんが王国を運営するビーグリーが、自社の編集部からAIで作画された漫画を販売開始したのです。 ビーグリーはかなり広告費をかけているようで、ランキングでも上位に入っています。ある種の覚悟を持っての取り組みなのでしょう。ただし、このAI作画漫画『児童福祉士、一貫田逸子』は既存の作品をリメイクしたものだそうです。 つまり、コマ割りや構図などは既存の人間が作った漫画をそのまま使用しているのです。これは重要なポ

          ほぼ漫画業界コラム184 【AI制作の漫画について思うこと】

          ほぼ漫画業界コラム183 【作家と編集者の関係】

          当たり前のことですが、社員や特殊な契約を結んでいない限り、漫画家にとって編集者は上司ではありません。編集者は請負仕事の窓口であり、クライアントでもあります。 もちろん、新人作家にとって経験豊富な担当編集者はメンターのような存在です。また、連載作家にとって担当編集者は、自分の作品を世に広めてくれるプロデューサーであり、その手腕によっては作品が生む価値が何倍にも変わる重要な人物です。 しかし、だからといって編集者が上司であるわけではありません。経験や力量の差から上下関係のよう

          ほぼ漫画業界コラム183 【作家と編集者の関係】

          ほぼ漫画業界コラム182 【アートとエンタメの話】

          はい、最後の永遠のテーマ。アートかエンターテイメントか。この二つは明確に分かれていて、アートは自己表現であり、自分が発信したい感情、思想、視点を表現するものです。 、お客さんを楽しませていただきます。 じゃあ、そのうち漫画を作る人たちはどっちを追求すべきかという話です。 じゃあ、できることならアートで勝負したいですよ。 、簡単じゃありません。人ってのは他人の表現にとても厳しいです。 さて、アートとは表現されるのではなく、誰が表現するかが99%だと私は思っています。 そう

          ほぼ漫画業界コラム182 【アートとエンタメの話】

          ほぼ漫画業界コラム181【人を育てるということ】

          私はサラリーマン時代からずっと、いつも優秀な後輩に助けられてきました。 どこに行っても、たまたま3、4人ほど優秀な後輩がいて、その人たちがさらに超優秀な後輩になって成長する過程で、事業がスケールしていくのです。今もそんな感じで、弊社は3人の編集長が奇跡的な仕事をして、業績を上げています。 私は、自分が人を育てられる人間だと思っていました。 元々優秀な彼らは、私と一緒に仕事をすると、自然と私のやり方やロジック、長所を自分のものに取り込んでいくタイプの人たちだったのです。

          ほぼ漫画業界コラム181【人を育てるということ】

          ほぼ漫画業界コラム180【編集部はネーム代(企画代)を払うべきか】

          はい、頂いたお題です。お題ありがとうございます。助かります。編集部は企画代、ネーム代を払うべきか? この場合のネームとは、作画の工程にあるネームという意味ではなく、企画会議に出したネーム、すなわち企画そのものという意味だとお考えください。 担当編集者と作者が打ち合わせを重ねて練り上げたネーム。作者も担当編集も自信がある。しかしながら編集会議で落ちてしまった場合の話です。 私は編集者、編集長、作家と3つの立場でこれを全て経験しているので、それぞれの立場で答えられます。私も

          ほぼ漫画業界コラム180【編集部はネーム代(企画代)を払うべきか】

          ほぼ漫画業界コラム179【転の話】

          起承転結の「転」が分からない。確かにそういう人は多いと思います。2000年くらいまでは、日本の脚本の教本にはほとんど起承転結の構成方法しかありませんでした。私もそれらを読んでもよく分かりませんでした。「転」って難しい。 私がその後、構成が得意になったのは三幕構成を知ったからです。この話は過去のコラムに書きました。noteに簡単にまとめてあるので、ぜひご覧ください。 https://note.com/comic_room/n/n1873f6014f89?sub_rt=shar

          ほぼ漫画業界コラム179【転の話】

          ほぼ漫画業界コラム178【北米MANGA市場の研究】

          北米の紙の漫画市場が伸びていると聞きます。「MANGA」と呼ばれているようです。私も、何とか米国である作家の紙の単行本を出せないかと思い、色々と調べています。 どれだけの市場なのか、実際どれだけ伸びているのか、細かい数字がどうしても取れませんでした。各サイトが出している数字がバラバラだからです。そのため、数字面は私の推測です。もしソースを持っている方がいれば教えてください。 ただし、紙に関しては間違いなく日本の紙市場を抜いていると考えられます。1ドル162円ですからね。市

          ほぼ漫画業界コラム178【北米MANGA市場の研究】

          ほぼ漫画業界コラム177【大手メディアを辞めた人間の末路】

          ※(noteでは、ほぼ漫画業界コラムと回顧録を分けています。) ついにほぼ漫画業界コラム200回。それを記念したかのように、reHacQに出ました! 実は主催の高橋さんとは同じ飲み会グループでニアミスしているぐらいの距離に元々いたんですが、初めてお話ししたのは僕が小学館を辞める時期です。当時、日経テレ東大学にハマっていた僕は高橋さんのファンになっていたんで、はしゃぐように飲み会で話しかけました。 「僕小学館辞めるんですよ〜」 そしたら高橋さんは 「僕もテレ東辞めるんで

          ほぼ漫画業界コラム177【大手メディアを辞めた人間の末路】

          ほぼ漫画業界コラム176【2040年問題に向かって漫画業界は】

          昨日は同世代のおじさん経営者3人で飲んで、なぜかへべれけになりました。楽しかったです。ありがとうございます。 2040年問題についての本を読みました。来年2025年から人類がかつて経験したことがないような超高齢化社会が始まり、2040年には完全に日本経済の縮小や各種保険制度が崩壊するだろうということです。大変な話で、なぜこれを何十年も放っておいたのかは理解に苦しみます。2040年というのは団塊ジュニアが高齢者になる年です。就職氷河期で苦しんだ我々世代は、老後も安寧は訪れない

          ほぼ漫画業界コラム176【2040年問題に向かって漫画業界は】