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ほぼ漫画業界コラム176【2040年問題に向かって漫画業界は】

昨日は同世代のおじさん経営者3人で飲んで、なぜかへべれけになりました。楽しかったです。ありがとうございます。

2040年問題についての本を読みました。来年2025年から人類がかつて経験したことがないような超高齢化社会が始まり、2040年には完全に日本経済の縮小や各種保険制度が崩壊するだろうということです。大変な話で、なぜこれを何十年も放っておいたのかは理解に苦しみます。2040年というのは団塊ジュニアが高齢者になる年です。就職氷河期で苦しんだ我々世代は、老後も安寧は訪れないということですね。
まあ、この話をするとどうしても政治的な話をしたくなるのですが、きっと荒れるだろうし、グッと堪えて漫画業界のことだけ書きます。

まず2030年には物流クライシスが起こるということで、完全に現在の書店流通システムは持たないでしょう。既に小規模流通業者の倒産や廃業が今年に入って加速しています。低単価の漫画の単行本はもうオンデマンド印刷でしか成立しなくなると思います。ただし、オンデマンド印刷を使う人って昔から本当に少ないですよね。

じゃあ、デジタル漫画。現在の大手電子ストアがどうなっているのか。僕は電子市場もかなり厳しくなると予想しています。電子書店の購買データを見る機会がありますが、漫画購買層って40代後半からぐんと減るんです。老眼や嗜好の変化がありますが、もう少し言えば、男性は45歳くらいから、女性は50歳くらいからがくんと減る。

国内電子書籍市場は来年からすごいスピードで2040年に向けて縮小していくと考えられます。単純な20歳〜50歳の購買層は4500万人から3600万人へと20%減。そもそも若い方は漫画に課金しませんから、もう少し市場は縮小すると思います。

すると電子書籍市場は市場再編が始まるでしょう。小さなところから大きな所に吸収されていきます。小さな電子書店は現在の出版社の漫画アプリのように、一レーベルとして生き残るかもしれません。企業というのはなかなか潰れませんし、あの手この手で生き残ろうとする。まあ統廃合は進むでしょうが。

生き残った数社の電子書店はますます大きくなります。その時に鍵を握るのが海外市場をどれだけ抑えられているかです。この度、NAVER WEBTOONの上場が話題ですが、この会社の売上の多くが現在は日本と韓国市場に依存していますので、今後は米国市場を盛り上げられるかどうか。はい、僕にはさっぱり分かりません。ただキム・ジュンクさんならやれるのでしょう。すごい人です。上場で入った500億のキャッシュは人材採用に使うのだそうです。

こうして日本から生まれた漫画産業は韓国で国際的な産業となり、最終的には米国で花開くのでした。

こんな世界で僕ら日本の漫画業界人はどうやって稼ぐべきでしょうか?
まあ、普通に考えたら海外市場を狙う。もしくは縮小する日本市場での椅子取りゲームに知略を尽くす。そのどちらか、どちらもやるか。
まあ、所詮、仕事なんかゲームです。どんな状況でも楽しめる心を持っていきたいですね。コラム200回目まであと一回。200回目のお題をじっくり考えたいので、雑なコラムでしたが今日はこんなところで。


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