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やなせたかしさんが語る「正義」には優しさが溢れている

今年のノーベル平和賞に
WFP(世界食糧計画)が選ばれ、
先日授賞式が行われました。

このニュースを見て、
私はやなせたかしさんのことを
思い出しました。

やなせさんが語っていた「正義」について
改めて考えたのです。

戦争体験を通して見つけた「逆転しない正義」

やなせさんは、
みなさんご存じのように
「アンパンマン」の作者の方です。

やなせさんは若い頃、
戦争を経験しています。

軍が「聖戦」と呼んだその戦争は、
間違った「正義」のもとに
行われたものでした。

日本国民がみんなで突き進んだ
「正義」の戦争。

ところが、
戦争が終わったとたんに、
これまでの「正義」の理論が
ひっくり返ってしまったといいます。

正義のための戦いなんてどこにもないのだ。
正義はとても不安定なもので、
ある日突然逆転する。

やなせたかし「アンパンマンの遺書」

やなせさんは考えます。
「逆転しない正義」はあるのだろうか。

そして、ひとつの答えを見つけます。

逆転しない正義とは
献身と愛だ。
それも決して大げさなことではなく、
目の前で餓死しそうな人がいるとすれば、
その人に一片のパンを与えること。

やなせたかし「アンパンマンの遺書」

やなせさんが
戦争体験の中で一番つらかったことは
「飢え」だったと言います。

「本当に飢えているときには、大金よりも一片のパン、一杯のスープのほうがずっとうれしい」

当時を振り返り、やなせさんはこのように語っています。

当初は批判された「アンパンマン」

この経験がもとになり、
「アンパンマン」がうまれます。

アンパンマンが自分の顔をちぎって
おなかをすかせた人に与える表現は
当初は「残酷だ」と
多くの人から批判を受けたと言います。

しかし、
やなせさんは表現を変えませんでした。
そこには強い思いがあったのです。

正義を行おうとすれば、
自分も深く傷つくものだ。
でも、
そういう捨て身、
献身の心なくして、
正義は決して行えない。

やなせたかし「明日をひらく言葉」

自分の顔をちぎって
おなかをすかせた人に分け与える。
そんなアンパンマンの姿は、
まさに、やなせさんが考える
「正義」そのものだったのです。

正義でいばってるやつは嘘くさい

私たちの日常にあふれる様々な「正義」。
何が正しいのか、
どうすることが正解なのか迷ってしまいます。

でも、やなせさんが言うように
どんなときでも逆転しない正義とは
「献身と愛」
隣にいる困っている誰かに
一切れのパンを分け与えることなのだと思います。

大げさではなく、
手を差し伸べること。
そして、
痛みを分かち合うことです。

私たちは「正義」を行おうとするとき、
自分が何かのヒーローになったように錯覚し
自分の思いばかりを強く主張したり
相手を批判して
ゆがんだ優越感のようなものを感じたり
していないでしょうか。

やなせさんはそんな私たちに忠告します。

正義でいばってるやつは嘘くさい

やなせたかし「わたしが正義について語るなら」

困難なことが続く時代、
私たちは「正義」とどう向き合い、
どう生きるべきなのか
今一度考えさせられます。

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