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ある男性との出会い

今の私と5年前の私。。。
全く考えが異なっている。
5年前、どんなに大変でも会社のために働く人間はとても尊敬できると思っていた。
でも今は、”自分” の優先度が最も高い人、特に自分のやりたいを突き通してる人こそ目標にしたい。
たった数年で人は本当に変わる。
今回は私が変わった要因、一人の男性との出会いについて振り返ってみる。


2017年秋、当時のボス(指導教員)の勧めもあり、留学を決意した。
(アメリカに一度は住んでみたい!という単純な理由もあったが笑)
しかし、同年に父を亡くし、日本でも奨学金生活の私に留学するお金なんてない。。。
そんなときに教えてもらったのが、文部科学省の トビタテ!留学JAPAN というプログラム。
親の収入および渡航先によって支給金額は変わるものの、生活費の半分は賄える金額だった。
同プログラムで留学した同期の協力もあり、無事に採用された。
(トビタテは留学に限らず、さまざまなことへの出会いもできる。またまとめたいな。)

そして2018年夏、アメリカ・カリフォルニア州に飛び立った。
この留学の目的は、大学での研究に加え、現地ベンチャー企業でインターンをすること(大学と会社は週の半分ずつで活動)。
大学と会社の比較、日本と米国の比較というのが私の留学テーマだった。
語学力が低かったので、普通に生活できるまでだいぶ苦戦したけど(泣)
(Landlady には毎日何かしら言われる生活。。。)


そんな苦しい留学生活の癒しは週末の外食だった。
外食にはインターン先の社長と行くことが多かった。
現地で一番美味しいラーメン屋 Nikka によく連れていってもらったものだ。
これが1番のストレス発散になった。
もちろん、アメリカンなものもたくさん教えてくれた。
ああ、また食べたい。。。
おっと、話が少し脱線してしまったが、この男性が私の考え方(人生)を180度変えてくれた。

実は、2017年春の学会でアメリカに行った際に、この社長ともすでに会っていた。
だが、この時はまだ自分を変える出会いになるとは思っていなかった。
今振り返れば、転機はすでに訪れはじめていたのだろう、、、
この社長は「お前は来年インターンをしに来る。」としきりに言っていたことを思い出す。
私の専門は制御工学、それに対して、会社の専門は材料系。
全く異なる分野なので疑問に思っていたが、よくよく話を聞くと、制御的に今のプロセスを改善したいそうだ。
そうは言っても、英語もそこまで得意でない日本人学生だったため、ボスも否定的で「彼は英語もそこまでうまくないから、やめておいたほうが。。。」と話していた。
しかし、社長の思いは全く予想外のものだった。
「英語の能力は問題ではない。今は Google 翻訳もある。来てから覚えればいい。とにかく、インターンに来るんだ。」
衝撃的だった… 学会で英語が話せず落ち込んでいたのもあったが、ここまで言ってくれたのはとても嬉しかった。


そんなこともありつつ、渡米し実際にインターンが始まると、制御的なことよりもまずはソフトウェア(地盤)を固めていきたいとのことで、使ったことのない言語でアプリを作るタスクを任された。
壁にぶつかりながらも、Android でアプリを作った経験もうまく活きたのか、少しずつではあるが毎週成果を出せていた(研究では成果がなかなか出なかったので、なおさらモチベーション維持はインターンになっていた)。
そんなある日、顧客が来るとのこと。
この視察は、今後の予算獲得を左右するものだそうだ。
私が作っていたアプリも見せることになり、、、だいぶ緊張した。
作ったアプリのデモに加えて、顧客の要求にもすぐに応えた機能を実装したこともあり、顧客が帰ったあとめちゃくちゃ褒められたのを思い出す。
(ご褒美にもらったミリタリージャケットは今も愛用中)

この視察で社長は、英語がほとんど話せない私を顧客とのランチにも連れ出した。
このランチ、、、個人的にめちゃいいことが聞けた。
顧客は日本でも有名な某巨大企業… にも関わらず「〇〇大(超エリート校)でも使えないやつはやっぱりいる。学校で習ったことから、実用的なことまでをもできないとやっぱりだめね。」と言っていた。
この部分、今回の留学テーマの動機となるところだった。
アメリカも日本と変わらないということが知ることができて、本当によかった。
ランチに誘われたときには「正気か?」と思ったけど、社長には感謝しかない。


壁にぶつかったときの社長の一言もとても印象的だった。
「いいか?問題を解決する手がかりはいろいろなところにある。それらを見つけ出し、繋げるんだ。シャーロック・ホームズのように。どうやって実現させるかを考えろ。」
アメリカ人らしい言い方だなとも思ったけど、今の私の原動力にもなってる。

さらにはこの社長、少年の心も忘れていなかった。
ある日、「アリの動きって何かに使えないのかね。やつら餌を見つけると、匂いを交換しあってその場所を教えるんだぜ。おもしろいよな。」と言い出した。
純粋な探究心を持ち続け、どんな些細なことでも、ある意味当たり前のことからでも技術に活かす。
エンジニアとして一番大切なものを教えてくれた。
(そして私にとっての Dr Emmett Brown になった瞬間でもあった。)
私は彼のようなエンジニアに、探検家に、なりたいと思う。

彼の発言は私の精神面にも影響を与えている。
社長がボスの子供を来させたいと言った時に、私よりも英語やプログラミングスキルがあることを単に伝えたのだが、その発言に対して
「待て待て。お前は確かに英語は下手かもしれない。だけれども、お前は結果を残し、我々に示した。だから謙遜するな。能力を評価しているんだぞ。」
と言ってくれた。
自己肯定をもっとしていいんだと思った。
もっと自分に自信を持っていいんだと感じた。


この男性との出会いを通して学んだのは、「自分らしく生きること」
(私が関わった)アメリカ人は仕事に対して求めるクオリティは日本人以上にすごい。
一方で、会社に来る時間はまちまち(10分くらいは誤差)、大体定時には帰る。
土日は仕事のことは考えない(社長は情報収集だけはいつもやっていたけど)。

自分第一(自分勝手とは違う)って生きていくための基盤だと。
今まで思っていた「生き方」をいい意味で破壊された。
日本のことを全て悪く言うつもりはない。
だけれども、今の一般的な生き方では自分を殺してしまう人が多いんじゃないかと。。。

「余裕がなければ、良いものも生まれない。」
最近はそのことが頭の中を巡っている。
自分を労る時間や落ち着く時間は、アメリカにいた時が一番あった。
今こそ変えていく時期なんじゃないか。

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