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ショック死 日記#13

恐縮しちゃうような夜だった。

私にその意図はなかったはずだけれど、結果的に自分を晒すことだけは断固として避けながら、人の心を極限まで搾取したんじゃないかと思えてならない。

あまりのショックで、笑ってしまう場面もあった。それも、私の受け止め方を間違って伝えてないか、心配になる。

その人は、「自分の話をするのは全然苦しくない」と言った。「子ども欲しい?」って私に聞いたときどんな気持ちだったのか、考える。あらゆる言葉の裏に、驚くべき事実が隠されているような気がして、この人は一体どんな風に頭を使って瞬時に言葉を選び出しているのだろう。選択式の映画を、遡って別の選択肢の先に待ち受ける結末を知りにいくように、私の反応を全部樹形図にして遡りたい。彼女のために何ができたかとか、そういう気持ちじゃなくて、ただあまりに共感できなくて、それは全く不快ではないのだけど、興味深いとはとても言えない、とてつもなく悲しい実話を前にして、ただ私は漂っていた。非力な情けない肉の塊。

人生にきっと悔いがあるから、人を見る目があんなに嫌な感じで、だけどどこまでもピュアだから、年下の私に真摯にアイデアを相談したり、過去も揺らぎもさらけ出すんだろう。全然自分のことを守らない彼女のことが、すごく好き。


(去年の下書きを見つけたので放出)

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