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朝はいつでもあわただしい。

「大人になると走らないんだろうなぁ」と学生の頃に思ったことがある。

大人になると、体育の授業で3キロ走る!なんてことはないし、休み時間に鬼ごっこもしない。
みんなの注目を集めたくてバカみたいに友達を追いかけ回したりもしないと、わかっていたからだ。

学生の頃の記憶をたどると、まず騒がしい朝に行きつく。
朝にめっぽう弱い僕は、余裕をもって家を出た記憶がない。
母親に叩き起こされ、「わかってる!」とか「まだ大丈夫だから」とか反抗するわりには、パンを口に放り込み「やばいやばい」と家を飛び出すのが日常だった。

自転車にまたがり、安全と危険のちょうど境目くらいのスピードで風を切りながら、毎朝いろんな大人たちを追い抜いてきた。

コンビニのコーヒーの香りをたのしみながら歩くOLや、爽やかな声で電話をするスーツ姿の男性。
ベンチで新聞を読んでいるおじさんもいたし、犬を連れて歩いていたり、ベビーカーを押す大人たちもいた。

パンを咀嚼しながら髪を振り乱して走る大人の姿は、少なくとも僕の記憶にはない。

大人の朝には余裕がある。
やっぱり、大人は走らないんだ!なんて大げさかもしれないけど、それに似た感情をもっていたことは確かである。

さて、それから約10年が経過し、僕も大人の仲間入りを果たしたわけであるが、あいかわらず僕の朝はあわただしい。
余裕なんて、まったくもって、ない。

いくらか早めに起きられるようにはなったものの、それは、お弁当の用意をしたり、ゴミを袋にまとめたり、子どものオムツを換えたり、着替えさせたりと、やらないといけないことがそれなりに増えたからであって、外の景色を眺めながら「素敵な朝だなぁ」とか思いふける時間では、ない。

繰り返すけど、大人になっても僕の朝には余裕なんてない。

ただ、学生の頃より少しは充実した日々を過ごせているかなぁとは思う。
遊んでくれとせがむ息子に「仕事遅れちゃうよ~」なんて言いながらも少しだけ絵本を読んでから家を出て、結局スーツに革靴で走る日も、別に嫌いじゃない。

もし、余裕のある朝を夢見る学生の頃の自分に会えるのなら、僕はこう言いたい。
「大人になっても余裕なんてねぇぞ」
そして、
「あわただしい朝も、案外わるくねぇぞ」と。


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