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記事一覧

「郊外論入門 ~その7つのイメージから~」

◎こちらの文は、8月14日にコミックマーケットで頒布をおこないました、「ポップカルチャーから紐解く2010年代の郊外 SUBURBS」に、スプラウトさんから寄稿していただいたコンテンツを、ご本人からの了承も頂きまして、全文を期間限定で公開いたします。お手に取る際のご参照として頂けたら幸いです。

「ポップカルチャーから紐解く2010年代の郊外 SUBURBS」

コミックマーケット88
2015年

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FUJIROCK 2014 THE ARCADE FIRE

「アーケイドファイア、フジロックヘッドランナーで参戦」

この文字がTwitterから流れ、そしてオフィシャサイトにかかれたArcade Fireの文字が、一瞬現実のこととは思えなかった。本当に、来るんだーー。四年前の新木場スタジオコーストの来日公演、思えばそれが、中々ライブに行けなかった僕が初めて体験をした、海外アーティストの来日公演だった。ステージの上の彼等の魔法を必死で観て、そして叫んだ。あ

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American Football 
Live in Japan 感想

American Football Live in Japan 感想

@Shibuya O-EAST 29th June 2015.

夕焼けの差す、一軒の家。ただそれだけの写真がスクリーンバックとして降りた時に、大きな歓声があがった。90年代を象徴する偉大な一枚、"American Football" 。

たった一枚を残し、解散をしてしまい、本国ならいざ知らず、日本でLIVEを見る事だなんて、あり得ないと思われていた。昨年、奇跡の再結成をし、半年前には「

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草野虹さん著・編の、音楽同ZIN誌『Bad Apple』読み終わりました。

草野虹さん著・編の、音楽同ZIN誌『Bad Apple』読み終わりました。

草野虹さん @kkkkssssnnnn が作られた自主音楽誌、読み終わりました。

1番共感した部分は、発信手・受取手・表現者の間がとっても風通しが良くなったことだと思いました。

冒頭のご家族の指摘の話も等身大でよく、シティポップスと郊外との評論も色々と頷きました(何しろ自分が夏に向けてつくっている同人誌のテーマと凄く繋がっていて!)

個人なのに数バンドへインタビューもされてて、そこからの音楽

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音楽と物語などのメモ

いいと思ったら、ジャンルや年代関係なく何でも聴くようになっから、選り好みなく何でも食べられるようになったと思っていたのに、逆に、苦手だと思うものがはっきりし過ぎて、実はより偏食になってるのかとも改めて感じた朝。その辺は、分かりやすくジャンルでも区別できない。

バンドメンバーの人間ドラマとか、その音楽ができた文化や時代やジャンルとの関係とか、歌詞とかの物語があって、そのバンドが好きだ、という根拠も

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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

突発的で、突飛な一瞬のネタの無数の連鎖、ツイートと画像と動画での自分、著名溢れるばかりの声、音、ビート。何も直接描かない、何もリアルに描かない、だから、それが一番ストレートな表現。意図的な延々続く長撮り。不意に超能力でものを投げ飛ばし、空を飛ぶのも、全てが妄想。映画「LIFE」みたいに第三の目なんて余計なものもいらない。ビートと共に、無造作に浮き出るタイトル。同時期にドラミングをテーマにしたという

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西村純二監督 グラスリップ 第4巻

西村純二監督 グラスリップ 第4巻

序盤に登場したカミュの追放と王国の文庫を購入して読み始めたが・・話が1割くらいしか拾えない(情けない!) 中東の砂漠を旅するサラリーマンの夫に付き合う妻視線の話かと思ったら、宣教師がなにやら自意識過剰になって略奪されてよくわからない展開で、読みながら意識が・・

第4巻は、第7話 自転車・第8話 雪 収録。Blu-rayで連続して見ていたとしても、「第7話」の展開には、・・ん!?という展開が矢継ぎ

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西村純二監督 グラスリップ 第3巻

西村純二監督 グラスリップ 第3巻

第5話 日乃出橋、第6話 パンチ 収録。

5話に関しては、やなちゃんの徹底したリアリズムの上での告白、そして駆の母親がピアノを弾く前後で描写される、連続するハーモニー絵。

6話はもう、近年なかなか無い、男と男の意地のやり取り、そして2度の「殴り」

今回登場した本は、カミュの「シーシュポスの神話」。そして下のインタビュー記事でわかったのが、駆の元ネタが、笠井潔の「サマー・アポカリプス(アポカリ

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西村純二監督 グラスリップ 第1巻

西村純二監督 グラスリップ 第1巻

自分にとって、色々な偶然なきっかけや体験があって、そこからまた、色々な出会いや、素敵な事を知り得るようになった。その中のひとつが、冬の終わりに訪れた福井の抜けるような景色だった。

PAWorksのアニメーション作品、グラスリップは、true tears以来の西村監督のPAとのアニメ作品ということも、OPやEDにChouChoやnano.RIPEを使ったりと、爽やかで媚びのないひと夏の青春ものがた

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映画クレヨンしんちゃん戦国大合戦

DeAGOSTINIのシリーズで書店で購入した、映画クレヨンしんちゃん戦国大合戦、見終わった。ぞっとする程の傑作で、食べていたカレーの手も止まって改めて呆然としてる。リアリズムな戦の描写。過剰さ派手さお涙頂戴な表現音楽を一切排除した、突き詰める所まで行った演出に、ただただ感嘆。

ある種、ポップカルチャーとノスタルジアで積み上げた、「オトナ帝国の逆襲」とは真逆の演出。TVシリーズ開始時に幼児期だっ

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映画 ヘルタースケルター

映画 ヘルタースケルター

良かった点
・りりこ役が沢尻エリカという配役
・一種の都市伝説化する際に10年代らしいネット文化の一端が女子高生にも当たり前にあったように思えたこと
・りりこに焦点を絞って上手く一本の映画としてまとめられたかなぁと思ったところ

だめだった点
1.マネージャー羽田役がなんでもっと等身大の若い普通の女の子をつかわなかったのか(りりことの差異を出すための分かりやすさなんだろうけど、そもそもの話の視点が

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吉田大八監督 パーマメント野ばら

吉田大八監督 パーマメント野ばら

※核心部分まで含めた感想ですので、何卒ご了承ください。

『桐島、部活やめるってよ』で有名な、吉田大八監督(僕もこの一作しかまだ見ていなかった)の作品、『パーマメント野ばら』。Twitterでなにげなく吉田監督作品なにか観たいなぁとつぶやいたら、ツチヤニボンドさんのアカウントさんがお勧めしていただいたので(惑星ソラリスと一緒に)レンタルしてきた。

田舎の海辺町の、駄目な男達と、そんな相手と上手く

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エレファント

エレファント

少年は残酷な弓を射る、アメリカン・ビューティー、その流れでどうしても観返したい映画が、ガス・ヴァン・サントの「エレファント」だった。閉鎖的なアメリカの郊外の一つの象徴としての、学生による無差別銃殺テロ。

主観を置くのではなく、淡々と、複数の生徒の視点を追っていった、ほんの数十分間におけるその本当に何でもない接点の違いを克明に描いた、シンプルに短くまとめあげた、これまで類を余り見ない傑作だと思う。

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アメリカン・ビューティー

アメリカン・ビューティー

アメリカの郊外の普通の家族が壊れていく映画。「少年は残酷な弓を射る」をもう一度読み返し、コミックマーケットに、郊外をテーマとした評論本を書こうかなと考えて、仕事中も自分のイメージする郊外の事を考えていたりして、もう一度観たくなってBlu-rayをBOOKOFFで買った。

どこか束縛されて、場所というよりも、心象の先の風景、それが郊外なような気がする。

普通の風景、普通の人々、普通の町並み、普通

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