パーマメント野ばら

吉田大八監督 パーマメント野ばら

※核心部分まで含めた感想ですので、何卒ご了承ください。













『桐島、部活やめるってよ』で有名な、吉田大八監督(僕もこの一作しかまだ見ていなかった)の作品、『パーマメント野ばら』。Twitterでなにげなく吉田監督作品なにか観たいなぁとつぶやいたら、ツチヤニボンドさんのアカウントさんがお勧めしていただいたので(惑星ソラリスと一緒に)レンタルしてきた。

田舎の海辺町の、駄目な男達と、そんな相手と上手くやれない女達の、若い男女から老い先短い男女まで含めた、少しコメディカルな群集劇。短いドラマが連なりつつあり、時たま冷やっとする出来事が続きつつも、基本的には日常的な描写なので、こんなかんじの小話集なのかなぁと、少し斜めに構えて(途中で間をおいたりして)鑑賞した。

主人公のなおこが母も娘もいなくなったので、交際してる科学の先生と旅行に行く話。なにげない電車の窓からの景色の切り取り方とかもうまかった。けれども、途中でその男がいなくなってしまうという話の中でも、僕は「結末」に気が付かなかった。

人は二度死ぬというおしゃべり。

そして最後。正直、あの「瞬間」まで、鈍い僕は全然気が付かなかった。

水は若く美しい死、花ざかりの死の元素であり、人生と文学のドラマにおいて、水は傲慢さも復讐もない死と、マゾヒスティックな自殺の元素である。水は、自分の苦痛に泣くことしかしらず、目がすぐに「涙に溺れる」女性の深い有機的象徴なのだ。―バシュラール『水と夢』

偶然ではあるけれど、ソラリスとも繋がった映画だった。


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