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国会ウォッチング!!

 皆さん、国会中継、見たことありますか?先月末から臨時国会が始まりました!菅新総理も登場し、喧々諤々の議論が始まっています!この記事では国会での議論の様子を、わかりやすくリポートしてみたいと思います!

所信表明演説と代表質問

 臨時国会ではまず総理大臣が所信表明演説を行います。これは総理が政府の方針などについて考えを述べるものです。「私はこんな風に政権運営をしていきますよ~!」ということを語るのです。

 その後、この演説に対し、各党の代表が質問を行います。所信表明演説と代表質問はまず衆議院で行われ、その後参議院でも行われますが、この記事では主に衆議院を取り上げたいと思います。また代表質問は野党第一党である立憲民主党の枝野幸男代表の質問を主に取り上げます。ほかの党の質問も少しずつスタンスが違うのでぜひ、聞いてみてくださいね!

A.菅総理の所信表明演説

菅総理の所信表明演説の中から、僕が特に注目すべきと考えるテーマについて取り上げます。すべてのテーマは取り上げられないので、ぜひ、お時間あれば動画で全体を見てみてくださいね!(^^)!

(各項目ごとに簡単な用語解説をつけています。さらに詳しく!はwikipediaなどのより詳細な内容の記事に飛びます。よろしければご参照ください。)



1.コロナと経済

 菅総理は冒頭、新型コロナウイルス感染症によって亡くなった方々への哀悼の意と、最前線で戦っている人々への感謝の気持ちを述べました。

 コロナ対策としては、「爆発的な感染拡大は絶対に防ぎ、国民の命と生活を守り抜く」としたうえで、社会活動や経済活動の再開に意欲を示しました。具体的な対策としては「ワクチンについては、安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保し、高齢者、基礎疾患のある方々、医療従事者を優先して、無料で接種できるようにする」と述べました。また冬季インフルエンザが同時流行することを防ぐ必要性に言及し、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人への重点的な検査を行うとしました。

 経済については、8年前の当時の民主党政権からの政権奪還後の成果を強調しました。人口が減っていく中でも新たに400万人の雇用を生み出したこと、下落し続けていた地方の公示地価が昨年27年ぶりに上昇に転じたことなどをあげ、前の政権である安倍政権の経済政策であるアベノミクスを継続することを表明しました。

 また、コロナ下においては事業継続のための最大200万円の持続化給付金や、無利子無担保での融資などを上げ、引き続き事業の継続と雇用の維持に努めると述べました。またGo toキャンペーンを利用した観光業、飲食、芸術、商店街などの応援を引き続き行う考えを示しました。

公示地価って? 
法律に基づいて国家機関が定期的に評価している土地の価値の内、一般に公表されているものの事。
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Go toキャンペーンって?
日本国内の観光などの需要を喚起するための政策。政府が旅行費、外食費などを支援してくれる仕組み。
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2.デジタル社会の実現

 次に菅総理が語ったのは菅内閣の目玉政策の一つであるデジタル政策についてです。総理はコロナの感染拡大によって行政や民間のデジタル化の遅れが明らかになったとして、大胆な規制改革を行ってウィズコロナ、ポストコロナの時代を作っていく!と宣言しました。

 わざわざ役所に行かなくても自宅からいろいろな手続きができる、テレワークを活用して、田舎にいても都会と同じような仕事ができる、都会と同じレベルの医療が受けられる、といったような環境を整備していく、とのことです。そのために各省庁や自治体の縦割りを打破し、統一的なシステムや管理体制を作ると述べました。

 マイナンバーカードについても触れ、今後2年のうちに全国民に普及させるとしました。また、運転免許証のデジタル化にも意欲を示しました。そしてこれらの改革を実施するためにデジタル庁をつくる!と宣言しました。

 また国の礎である教育現場においても、小中学校において生徒一人一台のIT端末の導入を進め、デジタル社会にふさわしい教育を実践する考えを示しました。

自治体の縦割り行政って?
各省庁、自治体の管轄意識がはっきりしすぎていて、うまく横の連携が取れていない状態の事。
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マイナンバーカードって?
国民全員に割り当てられた12桁のマイナンバーが記されたカードで、身分証明書などとして利用できる。またICチップがついていて、行政のオンライン手続きなどに使用できる。一方習得の手続きの煩雑さなどから普及率が低く、課題も指摘されている。
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3.グリーン社会の実現

 次に総理は成長戦略の柱に、経済と環境の好循環を掲げる、グリーン社会の実現に向けて努力する、と述べました。

 温暖化対策は経済成長の制約ではなく、積極的な対策が産業構造や経済社会を変えて大きな成長につながる、という発想の転換が必要だという考えを述べたうえで、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、カーボンニュートラル、脱炭素社会を実現する!という決意を述べました。具体的には再生可能エネルギーを最大限導入すること、安全最優先で原子力政策を進めることで安定的なエネルギー供給を担保するとしました。

脱炭素社会ってなんだ?
脱炭素社会とは温暖化の原因と考えられている二酸化炭素の排出量が実質ゼロになっている社会の事を指します。
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4.社会保障政策

 総理は我が国の未来を担うのは子供たちであり、長年の課題である少子高齢化に真正面から取り組む覚悟を述べました。

 政権交代以後、72万人の保育の受け皿を用意し、今年の待機児童は調査開始以来、最小になったと成果を述べました。不妊治療の保険適用を目指すこと、民間企業での男性の育休習得の促進児童虐待防止のための体制強化や、ひとり親家庭への支援などの子供の貧困対策に社会全体で取り組む、と述べました。またコロナで厳しい状況にさらされている女性の雇用の維持、就職氷河期世代への支援、同一労働同一賃金などの働き方改革を行う考えを示しました。

 さらに介護にかかる課題などを取り上げたうえで、全ての世代の人々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくとの決意を述べました。

待機児童って?
待機児童とは、0~5歳を対象とした認定保育所に定員オーバーで入れなかった子供の内、自治体が設定した保育施設にも入ることができなかった子供のこと。
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就職氷河期世代って?
1993年から2005年卒業で就職活動に差し掛かった年代を指す。バブル崩壊後の経済の低迷期、企業の採用人数が減少する中で就職活動をしなくてはいけなかった世代。
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同一労働同一賃金って?
同一労働同一賃金とは「同じ仕事ならば同じ給料にしなさい」という考え方。正規社員と非正規社員の賃金格差などを是正していく考え方。
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5.外交・安全保障

 次に総理は外交・安全保障を取り上げました。総理就任後すでに各国首脳との電話会談を実施した旨を報告し、拉致問題北方領土問題などいまだに解決されない外交問題の解決に意欲を示しました。

 また、日米同盟を重要視する姿勢を示し、沖縄県民に寄り添いつつ、普天間飛行場の辺野古移設を進めると述べました。

 また世界経済が低迷し、内向き傾向もみられるが、率先して自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し強化していく考えを示しました。

 またコロナに打ち勝った証として、2021年夏にオリンピックを開催することに改めて意欲を示しました。

北朝鮮による拉致問題って?
北朝鮮の工作員が密かにを17人の日本人を拉致したとされる問題で、未だに帰国していない人が複数いる。北朝鮮もこのうち13人の拉致を認めている。
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北方領土問題
ロシアとの領土問題。日本政府はロシアに対し、国後島、色丹島、択捉島、歯舞群島が日本の領土であるとして返還を求めている。一方ロシアも自国の領土であると主張している。
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6.最後に

 最後に総理は、自分の目指す社会像として「自助・共助・公助・絆」という言葉を掲げました。まず、自分でやってみる、そして家族、地域で互いに助け合う。そのうえで政府がセイフティーネットで守る、といった国民から信頼される政府を目指すとしたうえで、そのために、行政の縦割り、既得権益、前例主義を打破し規制改革を進め、「国民の為に働く内閣」を作る!と宣言して演説を終えました。

B.立憲民主党・枝野幸男代表の質問

 総理の演説に対し、各党の代表が質問を行います。ここでは野党第一党の立憲民主党の枝野幸男代表の質問を取り上げます。枝野代表は質問というよりも自分たちの目指す社会を語ることに時間を多く使っています。菅総理の目指す社会像と比較し、皆さんはどう思うか考えてみるのも面白いかもしれません。(本会議での質問は一問一答ではなく、まとめて質問をし、まとめて答弁をするという形をとりますが、ここでは質問と、その質問に対する回答を交互に扱っています。)

1.暮らし

「政治に私たちは見えていますか?」

 枝野代表はオンラインヒアリングである大学生から問いかけられたという言葉から質問を始めました。さらにコロナによって経済的に追い詰められ、限界まで到達しようかという国民が沢山いることに触れ、自己責任論が強まるこの社会において、「自助」を掲げる総理にそういった人々の言葉は届いているだろうか、今こそ政治の力が必要である!と呼びかけました。

 枝野代表は自分たちは目先の利益にとらわれずに、「人を幸せにする経済」を目指すとし、「共生社会の実現」を目標に掲げました。

 そのうえで、人口減少、高齢化、一人暮らし世帯の増加、地域の疲弊、高齢者やシングルマザーなど、自分の努力だけ=自助だけでは生きていくことが難しい人々、身近な助け合い=共助が困難な地域や人々がこれまでになく増えているとして、今こそ、政治と行政による公助の出番である!と訴えました。そのための具体策としては、コロナ下で不足が指摘された保健所や、長い間人手不足が指摘されていた児童相談所や労働基準監督署などに携わる人々の賃金アップを国の予算編成を変えることで行い、人手の確保を急ぐ考えを示しました。

児童相談所って?
児童相談所とは法律に基づいて設置された行政機関で、18歳以下の子供からの相談を受け付けている。保護者が亡くなったり病気になってしまったりして子育てができなくなってしまった場合の相談、虐待が疑われる場合の一時保護などを担当している。実の親が子育てできなくなってしまった場合に、別の家庭に子育てをお願いする里親制度なども担当している。
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労働基準監督署って?
最低限の労働環境が守られているかどうかをチェックする機関。労働契約、賃金の支払い、労働時間、衛生管理体制などをチェックし、必要な場合は指導を行う。労働基準法違反が疑われる場合には捜査も行える。

2.地域政策とエネルギー政策

 さらに地域政策として、開発や公共事業などのハード面での政策から、IT技術などを活用し、誰もが望む場所で安心して暮らせる社会の実現を目指す「暮らし」メインの政策に転換しようと訴えました。そのためには地方が自分で用途を決められる一括交付金の導入を進める必要があると主張しました。

 また地域の主な産業である農業に関しても考えを述べ、輸出拡大などの効率と競争を重視した農政よりも、地域に密着した「暮らしとしての農業」を中心に置くべきだと主張しました。中山間地をはじめとした地域では国際競争を求められても限界があると指摘し、農業には自然環境の保護、水や空気を守ること、災害を防ぐことなどいろいろな役割があることを強調しました。そのために個別所得補償制度を復活させ、地域に根付いた昔ながらの農家を支える仕組みの充実を訴えました。

 さらに地域に可能性のある分野として自然エネルギーを上げました。小水力、風力、地熱、小型バイオマスなど。地域にこそ大きな潜在力があるとし、これらを推進することは日本経済をけん引することになると述べました。そのうえで自分たちは自然エネルギー立国を目指す!と宣言しました。

一括交付金って?
国が利用目的を決めるひも付き給付金ではなく、地方が独自に利用目的を定めることができる国から地方に配られる交付金。
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個別所得補償制度って?
戸別所得補償制度とは、農家を保護するために政府が農家に対して所得を支援する制度。まず「定額交付分」として、耕地面積10アールあたり年間1万5000円が与えられます。ちなみに10アールというのは1000平米に該当するので、小さめのスーパー程度の広さだそう。
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3.経済

 枝野代表はバブル崩壊後の経済成長を妨げてきたのは国内消費の低迷である、と指摘しました。

 輸出の成長率は4.1%であったのに対し、消費の伸び率は1%にとどまることを指摘したうえで、消費を広げるためには、将来への不安が高いゆえに固く締められた財布のひもを緩めることである、と述べました。支えあいによって将来の不安を小さくし、格差を縮小して貧困を減らすことが消費を拡大させる本質的で最も重要な経済政策である、と訴えました。

4.医療機関への支援

次に枝野代表は、ここまでで語ったビジョン実現の為には、国民の命と暮らしを守るために、今は医療機関への支援を急ぐべきであると主張しました。そのうえで、政府が9月に閣議決定した予備費の活用方法では新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関への支援しか行えないが、実際には医療機関全体が厳しい経営状況にあることを指摘し、全ての医療機関に対する経営支援をするべきとの考えを述べ、総理の見解を問いました。

 これに対し総理は、医療機関においては患者数の減少に伴う減収などを踏まえ、これまでに3兆円の支援を行ってきたと述べました。予備費に関しては、コロナウイルス感染者を受け入れた病院をはじめ、インフルエンザの流行する時期に備え、発熱患者に対応するための整備を行う病院、新型コロナが疑われる患者を受け入れる緊急周産期、小児医療機関などへの支援を行っており、まずはこれらの支援を速やかに届けていく旨を述べました。

 また枝野代表は介護や障害福祉、保育や放課後学童クラブなどが長時間労働なのにも関わらず、低賃金であることを指摘。不安定な非正規雇用でもあるため、人手不足が慢性化していると指摘し、待遇改善を急ぐこと、賃金の大幅な底上げを求めました。

 総理は、急速に少子高齢化が進み、人生100年時代が到来する中で、介護や保育に関わる人材の確保は大きな拡大は重要であるとの認識は共有する旨を述べ、、これまでも介護職員などへの処遇改善は行ってきたと実績を述べ、引き続き対策を行っていく考えを示しました。

予備費って?
政府の使うお金は毎年制定される予算で決められているが、年度途中に予定外の支出が必要になった場合に備え、あらかじめ予算に計上されたお金のこと。使った分は後から国会の承認を受ける必要がある。
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非正規雇用って?
非正規雇用とは、正社員と違い期限付きの雇用。期限は最大で三年。正社員に比べて賃金が低く、雇用も不安定。アルバイトやパートなども非正規雇用。
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5.教育と学生支援

 次に枝野代表は大学がオンライン授業への転換をやむなくされ、授業の質が低下しているにもかかわらず、授業料は変わらず高額、休学にも費用がかさむために退学を検討する学生が増えていることを指摘しました。4月から行われた修学支援新制度の対象から、授業料減免の対象だった中間層の一部が外されていることを指摘したうえで、学生支援緊急給付金の追加に加え、学費を半額にすべき、と総理に求めました。

 これに対し総理は、授業料減免を行う大学への支援金などすでに支援を行ってきている、との考えを述べました。

 枝野代表はコロナの影響で来年春の新卒採用が大きな影響を受けている、と指摘し、厚生労働大臣の「卒業後3年は新卒扱い」という指針が徹底されていないことを指摘し、より実効性のある対応を求めました。

 総理は、これまでも経済団体に対し、要請を行ってきたが、これからはさらに新卒応援ハローワークの設置などきめ細やかに支援対策を行う考えを述べました。

 枝野代表は、子供たちが慣れない「新しい生活様式」の下、一斉休校による授業の遅れを取り戻すことに追われていると指摘しました。楽しみにしていた行事の中止などで疲れはてた子供が増加しており、1人1人にきめ細やかに対応するため、少人数学級の導入を進めるべきだと主張しました。加えて教職員も本来の業務でない消毒などの感染防止対策に追われ、負担が増していることも指摘し、必要な法制を行い、少人数学級の実現と教職員の増員を計画的に進めるべき、と総理に求めました。

 総理は、学校再開への支援として教員や学習指導員などの増員や感染対策にかかる経費の支援を行っていると述べました。少人数学級の計画的な導入に関しては関係者で丁寧に検討する考えを述べました。

修学支援新制度って?
一定の所得条件を満たし、かつ学ぶ意欲のある学生を、授業料の減額、あるいは免除、給付型奨学金によって支援する制度。
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学生支援緊急給付金って?
生活費や学費をアルバイトで賄っていたがコロナで仕事がなくなってしまい、学費や生活費が苦しくなっている学生に対し、最大で10万円(非課税世帯へは20万円)を支給する制度。
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6.コロナと経済支援

 枝野代表はこの後、雇用調整助成金の特例措置の延長、休業支援金・給付金の適正運用などコロナに関連した支援策についていくつか質問をしました。その中で年収一千万円以下の人々への所得税の時限的な免除、その結果の及ばない困窮者への現金給付、消費税の時限的な減免への踏切など聖域を設けることのない、大胆な経済政策をハイブリットに組み合わせて対応するよう、総理に求めました。

 総理は、これまでも最大200万円の持続化給付金や、全ての人への10万円給付金の支給など総額230兆円を超える対策を行ってきたと述べました。所得税減免については、所得税の対象とならない低所得者にその効果が及ばないこと、消費税については社会保障政策の為に必要な財源である、との考えを述べ、否定的な姿勢を見せました。

雇用調整助成金って?
経営上の理由で事業規模の縮小を余儀なくされた企業が、休業などを行ったときに、国が賃金の一部を補助する制度。休業しても企業は社員に対して休業手当を払わないといけないため、その費用を支援し、雇用が持続されることを目的としている。コロナ下においても活用されている。
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持続化給付金って?
コロナ下の経済へのダメージをうけて導入された制度。中小企業に最大200万円、個人事業主には最大で100万円を支給する。
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7.日本学術会議問題

 次に枝野代表は総理が日本学術会議の会員6名を任命しなかったことは、「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」とした法律に違反していると指摘し、6人を任命しなかった理由について総理に正しました。

 総理は公務員の任命権について定めた憲法15条を根拠に、特別公務員となる学術会議会員に関しても、必ずしも推薦された通りに任命しなくてよいとする考えを示しました。その上で、個々人の任命の理由については人事に関することなので答えることはできないとし、学術会議の総合的俯瞰的な活動を行うべきであるという考え方に基づいて判断したと述べました。

日本学術会議問題って?
日本学術会議は、戦後設立された政府機関で独立した立場から政府に政策提言を行う学者の機関。「学者の国会」とも呼ばれている。会員は学術会議の推薦に基づき総理大臣が任命するとされているが、今回菅総理が全105人の改選される会員の内、6人を任命しなかったことが問題視された。ことにこの6人が過去に安倍政権の目玉政策に対し異を唱えていたことから、不当な介入なのでは?との批判が出た。現在、法律との整合性、過去の国会答弁との整合性などの観点から国会では追及が続いている。
憲法15条1項 
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

8.復興と原発政策

 枝野代表は続いて政府の基本方針に東日本大震災と原発事故についての記述がなくなったことを指摘し、大変残念である、と述べました。

 そのうえで、ALPS処理水を海洋放出するとの方針が報道されていることを踏まえ、現状での決定は拙速であり、当面地上保管を継続、福島のみに負担を強いることのない処分方法の検討を求めました。

 総理は経済産業省で科学的根拠に基づく報告書をまとめ、ALPS処理の安全性や風評被害について幅広い専門家、国民から意見を募りつつ、議論を進めていると述べました。いつまでも方針を決めないことはできないとし、さらに検討を進め、適切な時期に政府としての方針を決める旨を述べました。

 また枝野代表は総理の目指す脱炭素社会の方針を評価し、そのうえで原発への依存度を高めることがあってはならないと警告しました。2050年の脱炭素社会実現に向け、発電における原子力への依存度をどのように見込んでいるのか総理に見解を求めました。

 総理は原発への依存度を低くするのが政府の基本方針であるとはしながらも、2050年脱炭素社会の実現は簡単なことではなく、再エネのみならず原発を含めあらゆる選択肢を追求していく、という考えを述べました。

ALPS処理水って?
原子炉の中に残る溶けて固まった燃料(燃料デブリ)を冷却し続けるために使って汚染された水を浄化したもの。ALPS(多核種除去設備)では62種類の放射性物質を取り除くことができるが、トリチウムを取り除くことができない。この残有量が海に放出しても大丈夫な量なのかが問題。
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9.選択的夫婦別姓の導入

 次に枝野代表は選択的夫婦別姓の導入を進めるべきと主張し、すでに野党が議員提出法案として提出しており、継続審議になっていることから、賛同があれば今国会で実現可能である、と述べ、総理に決意を求めました。

 総理は、夫婦の姓の問題は我が国の家族の在り方の根幹にかかわる問題であり、国民の間に様々な意見があることから、引き続き国民各層から意見を聞くとともに、国会の議論の動向を注視しながら検討を進める旨を述べました。

選択的夫婦別姓って?
今の日本の民法では、結婚すると夫婦どちらかの姓に統一しなくてはいけない。選択的夫婦別姓は同姓にするか別姓にするかを選択できるようにする制度。
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10.総理の時代認識とビジョンについて

 次に枝野代表は、総理のいう自助と共助と公助を順番に並べる考え方は昭和の成功体験にとらわれた時代遅れのものではないかと指摘しました。そのうえで改めて、総理の日本をどんな未来へと導いていこうとしているのか?あなたは誰をみて、誰の声を聴いて政治をしているのか?苦しんでいる国民の声は届いているのか?「政治に私たちは見えていますか?」という声にあなたはどうこたえるのか?と問いかけました。

 総理は所信表明で述べた方針の根本を貫くのが「自助、共助、公助、そして絆」であると述べました。まずは国民から信頼される政府を目指すことが大事であり、その為にも、行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破し、国民の為に働く内閣を目指すとの考えを示しました。重ねて現場の声に傾けて国民の当たり前を実現していく考えを示しました。

11.最後に

 最後に枝野代表は自分が取り上げた課題は、経済や雇用環境の変化、価値観やライフスタイルの多様化などがもたらした、時代の最先端の課題である、と述べ、そこにいる新自由主義の下で光が当たってこなかった人々のための、「あなたのための政治」と自分たちが取り戻す!と宣言しました。「右でも左でもなく前へ」進むために、「あなたの生活の声を聞かせてください。私にはあなたの力が必要です。」と演説を締めくくりました。

新自由主義って?
簡単に言うと、公共事業等を縮小し=小さな政府を目指し、経済規制を緩和して市場原理に任せよう!という経済思想。
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いかがでしたか?国会ではこんなことが話し合われているのです。この所信表明演説と代表質問の後、現在国会では予算委員会での質疑が行われています。予算委員会は本会議と違い一問一答のやり取りなので、臨場感あふれ、とっても面白いですよ。TVやラジオでもやっていますし、ネット配信も行われています。

代表質問はこのほかの党も行っています。紙面の都合上すべて取り上げることができませんが、お時間あったら聞いてみてください。私たちの社会の未来を決める国会議員の皆さんが、どんな風な社会を作ろうとしているのかを知る重要な機会です!

                カラフルデモクラシー 松浦薫

記事は間違いのないように細心の注意を払って政策しておりますが、間違いなどありましたらご指摘いただけると大変ありがたいです。

連絡先 colorfuldemocarcy@gmail.com


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