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散文的な…

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食・農・プライベートごちゃまぜの気まぐれ不定期な散文的なブログです。ご興味ある方はぜひ。
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2016年6月の記事一覧

無敵のチリビーンズ。

僕の料理のルーツを語るとき、必ず出てくる3つの料理がある。キノコリゾットにカルボナーラ、そしてチリビーンズ。 どれも料理を学ぶ原動力になっていて、常に、初めて食べたときの衝撃と感動を「いつか絶対再現してやる」と思っていた。 おかげさまで、この3つの再現については、だいぶ前にコンプリート。今はまた新しいミッションがスタートしているけれど、この3つの料理にはそれぞれにストーリーがある。 今回はその中でも一番ポップ?なチリビーンズのお話。 昔、まだ僕が高校生の頃の話だけれど、旅

エアコン記念日とチュルの夏

本日6月25日はエアコン記念日。東京から飛騨に移住17年目にして、とうとう我が家にもエアコンがやって来た。17年前は気候もここまで暑くなくて、このエアコン要らずの生活が、暮らしの中の一つのアドバンテージだったのだけれど、年々ハアハアと笑っているように息をする年寄りのチュルの夏をなんとかしてやりたくて、とうとう導入する事に… スイッチを入れてみると、いつもとは違う風。でもコレでチュル爺の夏が快適で楽しいモノになってくれたらありがたい。 早速寝ているチュルは快適そう… もう、

イノセントな日々に…

アジサイの季節に生まれたからか、この季節がいちばん過ごしやすい。 憂うつな雨もアジサイを見ると雨の滴により鮮やかになってなかなか良い。 飛騨に来てからは、昼間こそ蒸し暑いが、東京の蒸し暑さにくらべたら、除湿後の部屋みたいだし、夜はかなり過ごしやすい…というか寒い。 物憂げな6月の雨…ではあるけれど、誕生月だからこそ、雨音をBGMにじっくり振り返るコトができる。 シンプルに生きたかった17年前にくらべたら、今はずいぶんと複雑化したな。 余計な思考も余計な肉もだいぶ付いた。

マズイがウマイに変わる瞬間

小学生の頃、よく行く駄菓子屋にはお好み焼きの鉄板が置いてあって、その卓を8人くらいの小学生のでぎゅうぎゅうに囲んで、もんじゃ焼きを焼いて食べた。(僕の地元八王子では「おべった、おべった焼きと言っていた) 味噌汁椀一杯で100円。きりいかなどの追加トッピング制度もあった。僕らはもっぱらノーマルバージョン。 あの頃の駄菓子屋内の子供社会は、今思えば実にいろんなコトを教えてくれたと思う。まさに社会の縮図だ。 あの頃の100円の感覚は今で言えば1000円くらいか?うまい棒や、チロルチ

不確かさの魔法

先日来社したメーカーさんから聞いた二つの話。 ある豪華客船でのお話。1ヶ月世界一周クルーズ的なラグジュアリーツアーがあった。超一流のシェフを乗せた豪華客船でのツアーは、そりゃもうお腹いっぱい、これ以上の美味しさはない…との満足感で帰港するだろうと誰もが思う。 ところで、超一流のシェフってなんだろう? ここでいう超一流は、あらゆるコンディションに左右されずに、常に同じ味を再現できる技術をもった人という設定。 帰港した人に「1ヶ月間、さぞかし美味しい食事を楽しまれたのでし

妄想川床

この時期京都鴨川沿いには川床が並ぶ。 恥ずかしながら未だ川床は体験した事がない。 僕が京都に来るときは決まってシゴト。ゆっくり川床で涼んでいる間もないし、勝手に高いと決め込んで入る度胸もない。更には川床を共にする女子もいない。 僕は日が落ちて灯りが雰囲気を出してくる頃に、四条大橋の欄干に頬杖を付き、向こう側の世界を眺める事しかできない。 僕は勝手に、自分の視界に一本の線を引いて、向こう側の世界とこちら側の世界に分けている。向こう側の世界は、ある意味パラレルワールドで、僕はど

農家と消費市場

自分で野菜を作ったことのある人は、スーパーで野菜が買えることの有り難みに気がつく。 多くの人が「ココまでキレイに育てるのって大変だよな」ってコトに気がついていたら、今の日本の農業を取り巻く環境は随分と変わっていたかもしれない。 ここ数年のエスニックブームで、市場にはパクチー関連の商品が随分と増えた。 エスニックの店に行けば、サラダ、ラーメン、カレーに至るまでもれなくパクチーがのってくる。そしてそんなパクチーファンには女子が多い…。 カメムシと普段から家族的な付き合いをしてい

イヌのキモチ

ウチのチュル(ポケットビーグル/15才)は、小さな頃から空気を読むことに関しては天才的。 大抵は、空気を読んだ上でできる限りの反抗をする。例えば、飼い主が旅行に行く時とか…。前の晩から警戒モードに入り、ゼッタイ捕まらないぞ!テコでも動かないぞ!というモードで反抗した後あっさり捕まえられる。 今回、ウチの奥さんが入院するにあたって、まず早朝に病院から帰ってくると、とにかく泣き喚く。そして目が見えない中、壁や階段にあたりながらクンクンと鼻を効かせて奥さんを探す。でも、いない。奥

スーパーマーズで世界は回る

5月31日の夜、ちょうど地球に最接近した火星が明るく南東の空に昇り始める頃に、ウチの奥さんの耳鳴りが始まった。 それからしばらくして、こんど世界が奥さんを中心に回り始める…つまりは、ウチの奥さんは生まれて初めて、強烈な回転性の目眩に襲われることになった。 あまりにも突然の事に、二人とも唖然としながらも、とりあえず、安静にして眠れば治るさ…と横に寝かせるも、寝息を立てる頃になるとタイミング良く電話が鳴るし、再び寝息を立てるとウチの奇跡のビーグル「チュル」が平然とアタマを跨いで