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妄想川床

この時期京都鴨川沿いには川床が並ぶ。
恥ずかしながら未だ川床は体験した事がない。
僕が京都に来るときは決まってシゴト。ゆっくり川床で涼んでいる間もないし、勝手に高いと決め込んで入る度胸もない。更には川床を共にする女子もいない。
僕は日が落ちて灯りが雰囲気を出してくる頃に、四条大橋の欄干に頬杖を付き、向こう側の世界を眺める事しかできない。

僕は勝手に、自分の視界に一本の線を引いて、向こう側の世界とこちら側の世界に分けている。向こう側の世界は、ある意味パラレルワールドで、僕はどんなにもがいても、鴨川を泳いでも、その世界にはたどり着けない。だって世界が違うんだもの…。

そうする事で迷いがなくなる。
コレで僕が川床に行くすべは妄想以外には存在しなくなる。

先週の京都の夜は、鴨川に龍が現れたみたいに川床に風が流れた。浴衣で歩くにはちょうど良い夜は、やはり浴衣女子が目立つ。
こんな夜はいよいよ妄想川床の解禁か…と思いつつも、今晩も会社のスタッフがパートナー。
目を閉じて浴衣を想像するヒマさえ与えられない。

妄想川床を諦めて、木屋町の「きみや」で呑むトマトサワー。1個半分のトマトが角切りで入っているのが気に入っている。

ほんのり雨の匂いが混じる夏の味がした。
こちら側の世界も悪くないな…

今年もノスタルジックな夏が始まります。
これこそが日本の夏です。

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