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想像力が自由なうちに

我が家の双子の娘たちは6歳になった。

誕生日プレゼントとして、私からはリカちゃんシリーズの人形を贈った。長女がもえちゃん、次女がリカちゃん。それぞれ違うものをリクエストしてきたので、買ってあげた。

幼い頃に人形遊びをほとんどしなかった私は、彼女たちが握りしめたリカちゃん、もえちゃんのかわいらしさにくぎづけになってしまった。なんてキュート。私もこんなお人形で遊んでみたかった。

私の両親からは、地球儀をもらった。これも娘たちのリクエスト。テレビで見かけた地球儀がどうしても欲しかったのだそう。

とても見やすい色づかい。
実は私も夢中です!

置く場所がないので、今のところおもちゃ箱の上にポンと置いてある。そこに二人が頭を寄せあい、さまざまな国を指しては叫ぶ。

「これ! モーリタニアってどんなとこ? モーリタニア! モーリタニア!」

モーリタニアという国名の響きが気に入ってしまったようで、連呼している。どんな国と聞かれても、モーリタニアに関する知識をほとんど有していないわれわれ親は、困ってしまう。「えーっと、アフリカだよね」とか「共和制なんだって(Googleで調べた)」とか、こそこそと言いあう私たち。

私 「あ、そうだ、砂漠があるんじゃない?」

そこで娘たちがまた叫んだ。

「砂漠? じゃあ星の王子さまがいるね!」

サン=テグジュペリの『星の王子さま』のことだ。言わずと知れた名作のなかで、主人公のパイロットは砂漠に不時着したことにより不思議な男の子と出会うのだ。彼は、よその星からやってきた王子さまだった。

なんだかいい発想だと思った。砂漠で困っていたら、きっとかわいい星の王子さまが現れてくれるはずだと娘たちは思っている。

その後も「たくさん果物とれるかな?」「マンゴーかな?」とか「象はいるかな?」とか、話しあっている。たくさん想像力を働かせてみるといいと思い、そばで見守っていた。

大人になると、想像力の限界をひしひしと感じるようになる。知っていることが増えるぶん、想像力が羽ばたける空はぐんぐん狭まっていく。常識が、私たちの知の飛行をじゃまする。だから、いつまで経っても宇宙人はヒューマノイド風に描かれるんじゃないかとか、考えてしまう。

まだ6歳で、世のなかについて知らないことばかりの娘たちの想像力は、おそらく私よりもずっと自由だ。

モーリタニアには星の王子さまがいて、猿と象が手をつないでお散歩していて、マンゴーが食べ放題らしい。そんなむちゃくちゃな想像を懐かしく思い出す日まで、想像力という翼を目いっぱい広げてほしいなぁ、と母は思っている。

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