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考察#12-2[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 失われた記憶の代償エンド【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察があります。

[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第12話「失われた記憶の代償」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

アダムの手を取り、エルダーネイティブと融合したイヴは、最後の戦いに臨みますが…

YouTube ▶ 全話プレイリスト

ここから先は、動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。


ストーリー解説

最後の選択

エルダーネイティブは、イヴへの最後の提案として、二人の融合を持ちかけ、手を差し伸べます。

  • 手を取る(融合する)

  • 手を取らない(融合しない)

この記事は「手を取る」かつ、ゲーム内の条件が未達成の、いわゆる"バッドエンド"分岐「失われた記憶の代償」を扱います。

他の分岐として、「記憶の創造」「コロニーへの帰還」があります。それぞれトロフィーのタイトルになっています。

リリーとプロビデンス

Providence

イヴとアダムが融合し、エルダーネイティブの存在が消えたことにより、宇宙コロニーとの通信が復旧。エグゾスーツは「戦闘指令」を受信し、リリーを乗せたまま、ラスボス「プロビデンス」となってイヴに襲いかかります。

この"バッドエンド"分岐では、リリーはプロビデンスから脱出する手段を持っていません。

それはなぜか。
ストーリーで理由が語られているわけではなく、ゲーム内の収集物やサブミッションの達成度に依ります。このあたりはかなり不透明なシステムになっているのですが、以前の考察#7(エイドス9)に書いた通り、おそらく開発終盤に追加された要素だからと思われます。作り込む時間が無かったのではないでしょうか。

Lily

ともあれ、脱出できないリリーは、不正アクセスの烙印を押され、システムに処分されてしまいます。リリーについて詳しくは問題点にて語ります。

マザースフィア

Mother Sphere

発言の内容は少し変わるものの、マザースフィアはもう一つの「手を取る」分岐(#12-1)と同様、EVEプロトコルの完了を宣言し、立ち去ります。その後、イヴが空挺部隊の攻撃を受ける展開も同じです。

ストーリーの問題点

マザースフィアが監視?

これは「あくまでイヴの憶測であり設定ではない」と信じたいのですが、リリーが処分されてしまった直後のイヴ。

Eve

「マザースフィア… ずっと監視してたんでしょう? はじめから全て!」

これはかなりの問題発言です。
もし、マザースフィアが地上をずっと監視していたとすると、だいぶ広範囲に波及する矛盾を生みそうです。

これまで語られてきたストーリーによれば、エルダーネイティブの存在によって地上と宇宙コロニーの通信は寸断されています。エルダーは人智を超えた系の存在ですが、マザースフィアは人工知能であり、高度に発達した科学技術を拠り所にしています。技術的に宇宙から地上を監視可能、だとすると、他の関連技術(宇宙からの精密攻撃等)も有効になりそうで、数十年に及ぶネイティブの地上支配の根幹が揺らぎそうです。

それができるなら、いくらでもやりようがあるやろ的な。ザイオンの存在も当然に知っていたことになる。流石にないか。筆者の杞憂。たぶん。おそらく。

となると、根拠のない妄言をこの場面で吐き出すイヴに疑問が生まれてしまいますが… あまり掘らない方がよいかも知れません。

最期まで小道具のリリー

これは問題点として挙げるか迷いました。
というのも、これまでのゲームプレイに無関係なエグゾスーツをラスボスとして倒す、という虚しさと、リリーの死という悲劇が感情的に同じ方向に折り重なり、シナジーとなっているからです。また、その後、現れたマザースフィアに噛みつくイヴ。

Eve

「黙れ! こんなの ふざけてる!」
「今さら出てきて勝手に全部終わらせないで!」

これらの台詞はプレイヤーの心情とガッチリ噛み合っている上に、そんなイヴを無表情に眺め、一方的にEVEプロトコルの完了を宣言して立ち去るマザースフィアは、「続編のラスボスは決まったな」感が溢れています。このエンディング、納得感と説得力しかない。

果たしてこれは問題なのか。

でも、この最悪のバッドエンドが心を打っちゃうのは、やはりダメだと思いました。このエンディングがある種の共感を呼ぶのは、このストーリーが理不尽だから。

リリーがエグゾスーツに乗り込む必然性が語られたストーリーは何もなく、単なる成り行きであり、バッドエンドの引き立て役として殺されてしまうリリーは気の毒としか言いようがありません。

不遇なリリーについてはこれまでも書いてきました(考察#3 / 考察#7)。リリーのぞんざいな扱いは、筆者が「物語が放棄されている」と考える本当に残念な要因の一つです。

アナザーストーリー[二次創作版]

筆者のアナザーストーリーにこの結末への分岐はありません。

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