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映画製作プロダクションコギトワークスの公式noteです。 会社の活動報告をはじめ、『コギトの本棚』と題して脚本家いながき きよたかによる“創作の実験場”として立ち上げたWEB文芸誌や、社員の言葉などを載せていきます。 http://cogitoworks.com/

マガジン

  • 『箱男と、ベルリンへ行く。』

    脚本家いながききよたかによる、『箱男』ベルリン映画祭参加トラベルライティング。

  • New Counter Films

    新映画レーベル【New Counter Films】に関しての記事をお届けします。

  • コギトワークスのプロデューサーの部屋

    コギトワークスのプロデューサーたちが日々考えていることを、各々綴ります。

  • 映画『オールモストピープル | almost people』

    横浜聡⼦、⽯井岳⿓、加藤拓⼈、守屋⽂雄監督 4人の監督が紡ぐ『感情の欠けた4人きょうだい』の物語 The story is about four siblings who had a lack of emotions 2023.9/30 ユーロスペース ほかにて世界同時期公開 (東京 ロンドン ニューヨークトロント 他) 30th September, 2023 at EUROSPACE and world TOKYO, LONDON, NEW YORK, TORONTO, …and more

  • コギトの本棚・エッセイ

    ここでは主に随筆や独り言を取り上げてお届けします。

最近の記事

『箱男と、ベルリンへ行く。』(十六)

『ベルリン休暇』 2月16日にベルリンに到着して四日目になりました。2月19日のことです。 この日も、大本営では監督やキャストの皆様も引き続き取材が入っているとのこと。 ただし、もはや私の出番ではないことは確か。 そして、関さんと三峰さんは、この日、17日に入れなかったというコープロダクションマーケットへワンデイチケットを購入の上、再度突撃するつもりだとか。 もちろん、私もコギトの一員、プロダクションとしての営業はとても大事……、けど、自分が行って、なにか役割を担えるか?と

    • 『箱男と、ベルリンへ行く。』(十五)

      『かっこいいベルリン』 私の2月17日は終わりました。2月18日に。 プレミア上映の余韻もなにもなく、自分でもびっくりするほど感情は平穏で、いや、ただただ疲れていただけなのかもしれませんが、少しのビールで頭はしびれ、床についたのでした。 この日、私がしたことと言えば、朝、寒い寒いと文句を垂れ、一度帰宅して、カフェでコーヒーを飲んで、再びポツダム広場へ出かけ、みんなで食事を共にし、少しだけ待って、赤い絨毯の上を歩いて、バッジを配り、映画「箱男」を大勢のお客さんとともに見届け

      • 『箱男と、ベルリンへ行く。』(十四)

        『2月17日、長い一日 あるいはわたし達の「マジカル・ミステリー・ツアー」』(5) 今日は2024/6/6、ついに、映画『箱男』のポスターと本予告が解禁になりました。 まだご覧になっていない方、いませんよね。めちゃくちゃかっこいいです。 ぶち上がりました。役得で、正直、もう何回も観てますが、またもう一回観たいです。いや、あと何回も観たいです。8月23日が待ちきれません。 で、2月17日、もう夜の10時を回っています。我々は、メイン会場をあとにし決戦の地、Zoo Pa

        • “Wakamusha” Dryden Theatre Teach-in

          The North American premiere of “Wakamusha” was held at the Dryden Theatre, George Eastman Museum in Rochester, New York on Tuesday, May 28th from 7:30 pm (Wednesday, May 29th from 8:30 am Japan time). Dryden Theatre is a movie theater att

        『箱男と、ベルリンへ行く。』(十六)

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        • 『箱男と、ベルリンへ行く。』
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          24本
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          2本
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        記事

          映画『若武者』Dryden Theatre(N.Y.)ティーチイン

          5/28(火)19:30〜 (日本時間 5/29(水 ) 8:30〜)、ニューヨーク州ロチェスターにあるDryden Theatreで『若武者』が北米プレミア上映されました。 Dryden Theatreは、ニューヨーク州ロチェスターにある、世界最古の写真博物館「George Eastman Museum」に併設された映画館です。座席数、実に500席・・・! 昨年10月の『枝葉のこと』上映に続き、二ノ宮隆太郎監督作品の上映は2度目となります。 上映後、N.Y.とオンライ

          映画『若武者』Dryden Theatre(N.Y.)ティーチイン

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十三)

          『2月17日、長い一日』(4) コレを書き始めたのは……、と、あらためて、サイトを確認してびっくり、なんと3月の26日でした。 それからきっちり二ヶ月。ベルリン国際映画祭のことを書いているのに、世間では、カンヌ国際映画祭すら始まり、そして終わっている始末。 そうそう、弊社の山田真史プロデューサー&鈴木徳至プロデューサーが関わった山中瑶子監督の「ナミビアの砂漠」、国際批評家連盟賞受賞という報に接し、とても喜ばしいことです。 それに、先週末からは、同じく鈴木徳至プロデューサー

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十三)

          映画『若武者』 ワールドプレミア試写〈オフィシャルレポート〉

          5月16日(木)、映画『若武者』ワールドプレミア試写を渋谷ユーロライブで開催しました!上映後のトークイベントには本作トリプル主演の坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さん、そして二ノ宮隆太郎監督にご登壇いただきました。 当日の盛り上がりを、レポート形式でお届けします! コギトワークス、U-NEXTによる新映画レーベル「New Counter Films」の第一弾として誕生した本作は、5月25日(土)から国内外のミニシアターで世界同時期公開され、同日に「U-NEXT」で国内

          映画『若武者』 ワールドプレミア試写〈オフィシャルレポート〉

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十二)

          『2月17日、長い一日』(3) 長い一日を書くのも、これで三回目、早く長い一日を終えたいです。 現在、2月17日の午後4時過ぎ、再び戦闘服に着替えて、そろそろ宿を出発せねばならないところですが、私はまだ、サイレント・グリーンにあるカフェ「MARS」で茶をしばいています。(ちなみにここの店員さんは英語が通じました) 名残惜しいですが、席を立つ時間、再び朽ちた墓地を右手に、緑道を宿まで戻ります。行きはなんかこわいようなところだったのですが、不思議と帰りは、優雅な気持ち、墓地

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十二)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十一)

          『2月17日、長い一日』(2) そういえば、何回目かに、靴について書きました。 靴を何足持って行くか、という話題でもちきりだったというアレです。 しかし、旅に限らず、いつ何時も、靴は我々にとってとても重要なものです。人間の活動に拡張をもたらしたものは数々あります。火だとか、蒸気機関だとか、パソコンだとか。靴もそのうちの一つだと思ったりします。 で、その靴ですが、私は日頃、スニーカーしか履きません。ないしサンダルとか。別にそういう類いの靴類を履いていてかまわない属性だからで

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十一)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十)

          『2月17日、長い一日』(1) 気付けば10回を重ねました。こうなったらいつまでも続けていたいと思ったりしています。嘘です。 前回、我々は、結局上着を着ぬまま、Humboldthain駅から地下鉄に乗る、というところまでたどりついたかと思います。 2月のベルリンの駅までの通りを歩きながら、 すでに寒い・・・・・・。 しかし、吐いた唾は容易に飲み込めず、「寒くない」と自己欺瞞を押し通します。もちろん、口にも出しません。 駅前で、関さんは、日本から持ってきたミニチュア箱男

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(十)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(九)

          『2月17日、朝。おれ、もつか?』 「せっかくベルリンに行ったんだから、それについて書いておけ」というのは、関さんからの言葉です。 「ベルリンに行った」というのは、「映画「箱男」がベルリン国際映画祭でワールドプレミアを迎え、そこに同行した」という意味も含んでいます。 それで、そのことについて書き始めたはずですが、気付けば八回も回を重ねてしまいました。 数回かけてなんとかベルリンに上陸したものの、いまだ、本来の目的であるはずの「ワールドプレミア」にはたどり着けておりません。

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(九)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(八)

          「ストライク・ジャーマニー」(2) 唐突に、ここで『箱男』の話をしたいと思います。 小説『箱男』には段ボールを被って街を徘徊する男が登場します。 箱を被ること、それがなにを意味するのか、すでに様々なところで語られている、「見る=見られる」という関係からの逸脱です。 この社会は、我々が完全なる客体であることを許しません。見ていると同時に見られている参加者たらねば社会の構成員として見なされません。わたし達はつねに、視線をさらし、視線にさらされています。それが社会に登録される宿

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(八)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(七)

          『ストライク・ジャーマニー』(1) こうして、ベルリンにたどりつき、宿に収まったのが、夜の九時頃でしたか。 飛行機に乗ると、自分がいつ何を食べたのか、そして、今食べているのは結局何食なのか、いつも分からなくなります。それに、結局目的地に着くと、本当に腹が減っているのか、怪しいにもかかわらず、食事を摂ることになりがちです。 しかし、もう九時過ぎ、レストランが開いていたとしても、「え? 今から注文するの?」という白い眼を向けられるかもしれません。ヨーロッパの夜は、クラブなどを

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(七)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(六)

          ・『ベルリン第一夜、なんかこわいようなところだがん』 我々を乗せたエールフランス航空機は、夕方シャルル・ド・ゴール空港を出発し、ものの一時間半でベルリン・ブランデンブルク空港に到着しました。ヨーロッパを一つの岬に見立てた哲学者がいたそうですが、確かにそれも頷けます。様々な根拠を持つ人々がひしめき合い、イギリス、アイルランド、アイスランドを除けば全ての国は地続きで、大小の国々が隣接し合い、国境という恣意的な線をまたげば、異なる言語が話されている土地、歴史的に見れば、血を血で

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(六)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(五)

          ・『小説「箱男」、ないし、安部公房について』 ベルリン行のあれこれを時系列に沿って書いているわけですが、そもそもタイトルが「箱男と、ベルリンへ行く。」わけなので、箱男についても、触れておくべきかと思います。 というか、あらかじめ、触れておくべきだったけれど、置き去りのまま数回経ってしまったという物言いの方が正確かもしれません。 すでにあちこちで既出の通り、映画『箱男』は、石井岳龍監督が長年温められてきた企画です。「箱男」が映画になるというその噂が、まだ大学生として愛知

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(五)

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(四)

          ・『シャルル・ド・ゴール空港のエスプレッソ』 トランジットはシャルル・ド・ゴール空港です。まあまあ、予想していたより快適な第一空路を終え、パリに降り立ちました。およそ、二時間半、空港で過ごします。 トランジットという時間が私はわりと好きで、意外と印象的な旅の思い出として残ったりします。 何をするというわけでもなく、本当になんでもない時間がただぼやっと過ぎていきます。そうした時間が思い出として残るというところにどこか不思議さがあります。 たとえば、ディズニーランドに行った

          『箱男と、ベルリンへ行く。』(四)