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「詩」三行詩集 ~秋雨~

窓を閉めて 降り出した朝
霧の庭に ただ物を思うとき
しきりに雨を 眺めていた


何も散らせない 初秋の雨
遠くの山から わずかな晴れ間に
鳴り響く 鳥の声のさやけさ


雲の上 雨のない場所に
思いを 巡らせてみても
思い浮かぶのは ただの空白


在りし日の あなたの涙を
拾い集めて 降らせたような
優しい雨 十月の午後


まだ続く 憂いの雨
湿度の濃い キッチンの中に
温かい珈琲の 香りは満ちて


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