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「詩」海の中の小さな駅 ~第一章~


いつも通り 穏やかな海に
夕日はゆっくりと 沈んでいく
夜空に増えていく 星たちの光が

やがて海の 水面にも輝き出す
駅長は 初夏の庭師のような瞳で
海に咲いた 星の花を見つめる

三日月が 夜空から涙を流すと
プラットホームは どこまでも伸び始める
駅長は その先端を目指して歩き出し
見覚えのある 車両基地に辿り着く

汽車のない 車両基地には
甘い夏の匂いだけが 漂っている
振り返れば 灯台の光が駅を照らしている
駅長は帰るべき 自らの駅へと歩き出す



※続く

序章


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