「詩」海の中の小さな駅 ~序章~
海の中には 小さな駅がある
駅の宿舎には 一人の駅長が住んでいる
干潮時にも 線路は沈んでいるため
駅長はまだ 汽車を見たことがない
ある夜 空と海は反転する
小さな駅は 小さな星になる
月の囁きに 耳を澄ませながら
駅長は真っ暗な 海を見上げる
一筋の線を描くように
灯台の光が 海を通り抜けていく
次の朝 駅長が目を覚ますと
海はいつもの海に戻っている
プラットホームの先端で 駅長が空を眺めると
どこかで群青色の 汽笛が鳴り響く
※続く
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