「詩」夏の野

風が通う家に あなたを残して
白い扉を開き 私は玄関を出る

外に広がるのは 光る夏の野
私は青々とした 草の香りを分け

あなたの部屋の 窓のそばに立つ
揺れるカーテンの向こうには 空白の部屋があるだけ

私は歩き出す そして気付く
あなたの家の 扉はもう閉ざされ

あなたと過ごした日々には もう戻れない
遠い場所に 私がいることに

陽が暮れていく 風の音に驚かされる
目に映る夏の野が 闇に沈んでいく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?