森の子日記

「那須コーヒーパルキ」店主。 那須高原の小さな焙煎小屋でコーヒー屋を営みながら、ネコと…

森の子日記

「那須コーヒーパルキ」店主。 那須高原の小さな焙煎小屋でコーヒー屋を営みながら、ネコと暮らしています。 森の暮らしのなかで思うこと。焙煎のこと。 コーヒーでも飲みながら読んでくださいね。

マガジン

  • コーヒーづくり

    庭先にDIYでつくった焙煎小屋で、コーヒー豆の販売とコーヒースタンドのお店をオープンしました。焙煎のこと、1杯のコーヒーのこと。コーヒーについて「正しさ」ではなく、「楽しさ」を発信していきます。

  • 森の暮らし

    森のかたわらにある家での日々。那須高原の厳しい冬を過ごすための薪づくりやDIYなど「自分でつくれるものはできるだけつくる」暮らしを発信しています。

最近の記事

酸味の壁

ふだんお店で接客していて、気づいたこと。 それは、お客さんの好みのコーヒーに以下のような傾向があるということ。 昔からコーヒーに馴染みがあり、よく飲んできた中高齢層の方は、深煎りを好み、砂糖とミルクをいれて飲む方が多い。つまりコーヒーというのは苦い飲みもので、それを砂糖とミルクでマイルドにして飲む、というコーヒー文化が根付いているのかもしれない。(わたしはちがうという方、すいません) 一方、ずっとコーヒーが嫌いだったという、比較的若い世代の方。その理由はコーヒーの苦味が好

    • あれよあれよと、コーヒー屋になってしまった。

      東京で生活していたときは、ほとんどコーヒーにこだわりがなかった。 小さなコーヒーメーカーをつかい、スーパーで購入した挽き豆をドリップして、飲む。コーヒー豆が何であるかもよく知らなかったけど、コーヒーを楽しんでいた。 そんな感じだったのに、いまではコーヒー屋をやっている。 東京から那須に来て2年目くらいのとき、料理人歴の長い友人から「コーヒーの焙煎をやってみたら?」といわれた。 なるほど、これまで自分の口に入るものの成り立ちに、意識を向けたことがあまりなかった。自然のな

      • 譲り受けた薪割り機

        「ウィィィン、バキバキバキ」 果てしなく繰り返される、薪割り機による薪割りの音。 冬になると連日氷点下になる森で暮らしているから、薪ストーブの燃料となる薪を夏でもつくっている。 最初は斧を購入して、自分の手で薪を割っていた。素人でも数百回も斧を振り下ろしていると、誰に教わるでもなく薪割りがうまくなる。 ただ、うまくなるまでの間に、無駄な力で腕を酷使したこと、さらにコーヒーのハンドドリップで1リットルの重さのケトルを持ち続けていたことが重なり、右腕を痛めてしまった。 そんな

        • 焙煎小屋の窓

          雨の日の焙煎小屋は、来店されるお客さんが少ない。 そんなとき、小屋の室内で小さな仕事を片づけて、のんびりと過ごす。 お店のBGMにはあまり似つかわしくない音楽を流したりしながら、新しく仕入れたコーヒー豆の味を確認する。そんな時間が好きだ。 たまに窓から母屋の建物をながめる。 母屋は築50年以上経過した平屋の住宅をリノベーションしたもの。好みの外観に仕上げたけれど、家というのはほとんどの時間を建物の中で過ごす。だから、ふだん家の外観を見ている時間は、意外に短い。 車にも似た

        マガジン

        • コーヒーづくり
          5本
        • 森の暮らし
          5本

        記事

          どこかの惑星へ

          山が好きで山のある町に住んでいるけれど、登山ができていない。 コーヒーの仕事で「あれもやらなきゃ。これもやらなきゃ」と考えているうちに、気持ちのいい登山の季節はどんどん過ぎていく。 これじゃだめだと思って、スケジュール帳に「この日は那須山に登る」と書き込んで、なかば強制的に山へ出かけた。 登山口から1時間ほどで、那須連山の各山へと縦走できる休憩所に着く。 田舎にいると移動は車だし、仕事では足をあまり使わない。 だから初心者でも登りやすい山なのに、体がなまっていて、すでにヘ

          どこかの惑星へ

          おいしいコーヒーとはなにか

          お店で人がつくったコーヒーを飲むのが好きだ。 カフェじゃなくても、いろんなドリンクメニューが選べても、だいたいコーヒーを頼んで、飲む。 旅行先とか、東京とか、遠くに出かけたとき、とくに飲みたいと思う。 いま、世の中ではどんなコーヒーがお客さんに注文され、飲まれているのだろう。そんなことを思いながらコーヒーを飲むと楽しい。 コーヒーには浅煎りから深煎りまで味わいのちがいがあり、産地ごとにつくられる豆には、個性的なものがたくさんある。 オリジナルブレンドであれば、そのお店の人

          おいしいコーヒーとはなにか

          お店をつくってよかったこと

          毎年、毎年、出店だけでコーヒー屋をつづけてきた。 シーズンになると、観光の人が訪れる土地だから、人が集まる場所に出向いてコーヒーを販売させていただく。 そんなとき、「どこかにお店があるんですか」とコーヒーを買いに来たお客さんから聞かれる。 小さなコーヒースタンドではあるけれど、「はい、あります」と言えるようになった。出店先でお客さんとの一期一会の出会いは、軽やかな気持ちよさがある。一方でお店を構えると、お客さんはいつでもお店を目指して訪ねてきてくれる。その場所に行けば、必ず

          お店をつくってよかったこと

          コーヒー屋になって気づいたこと

          人が聞いても、へぇとしか思わない、小さなこと。 コーヒーを仕事にしてから、5年。 お店でお客さんにドリップしたコーヒーをお渡しして、お代をいただく。このシンプルなやり取りのあと、お客さんはコーヒーを飲む。その光景を数え切れないくらい見てきて、気づいたこと。 お客さんのテーブルにコーヒーが加わることで、会話がより弾んだように見える。より笑顔になったように、見える。つまり、お客さんが笑顔になって会話が弾んだのは、飲んでみたコーヒーがおいしかったから。 この、あたり前すぎるく

          コーヒー屋になって気づいたこと

          山がはっきりと見える

          先日、ロープワークで樹木のケアをしている友人が来てくれた。 木に登るためのロープやらカラビナなどの道具を車から出してきて、仕事でもないのに、焙煎小屋の背後にそびえ立つコナラの木に巻き付いた巨大な藤づるを切ってくれるという。 コナラの幹を締めつけていた、人の足くらいの太さがある藤づるを、よく切れるノコギリでギコギコやっては、地面に落としていく。 ほぼ1日かけてつるを落としたら、まっすぐに伸びたコナラの幹の、意外にほっそりとした姿が現れた。あぁ、着ぶくれしてたんだね。 数日が

          山がはっきりと見える

          焙煎小屋の完成

          製作にとりかかったのは、去年の12月。 コーヒー屋のお仕事が落ち着く季節を見計らい、基礎づくりからスタートしたけれど、あれよあれよという間に季節は過ぎていき。。。 春の完成を目指していたものの、お盆を目前にした7月下旬、やっと焙煎小屋が完成。自宅敷地の片すみに、たった6帖の小さなお店をオープンできた。 いままでは離れた場所に焙煎所があったけれど、これからは必要なとき、よりスムーズにコーヒー豆を焼くことができる、はず。 那須高原の観光エリアから少し離れているので、車の往来

          焙煎小屋の完成