あれもデート。これもデート。
「もう、家ばっかりじゃ体に悪いよ。お母さんとお散歩しよ!」
週末も部活ができず、パジャマでウロウロしている息子に声をかける。
毎回散歩に誘う私にあきれつつ、5回目の誘いで、息子は一度だけ、町内一周のデートに付き合ってくれた。
2年と少し前。
彼が高専2年生の秋のこと。
世の中がステイホームになり、その頃に私は、息子の勧めで絵手紙を描き始めた。
絵の題材探しのため、週末になるとお散歩するのも私の趣味になり、うちでゴロゴロしている息子をいつも誘っていた。
その日やっと、息子が散歩に付き合ってくれた。パジャマ代わりのスウェット姿のままだけど。
彼は私の少し後ろを歩く。
いや、少しじゃない。
5mくらい離れて私の後ろを付いてくる。
というか、他人のふりをして、後ろにいる感じ。
わざとゆっくり歩くと、彼もゆっくりになる。
不意に振り返ってみると、彼は止まる。
回れ右で歩き出すと、彼も回れ右して歩き出す。
なんだこりゃ?
「ちょっと!何でなん?そんなに離れなくてもいいのに。」
「いや、ソーシャルディスダンスってことで。」
つれないヤツだな。
でも、高校生男子。さすがに母親と歩くのは恥ずかしいはず。
ついてきてくれただけでありがたい。
小さい頃は絶対、お散歩中は私と手を繋いで歩いた息子。
少し走れるようになると、私の手を離してチョロチョロ走りまわっていたな。
私は彼の1m後ろを、いつもついてまわった。
そんなことを思い出して、歩きながら、ひとりしみじみする。
「おい、母さん、車来るぞ。」
「また、よその家の花を勝手に撮ってるの?怪しすぎるぞ!やめなよー」
「柿の木か!畑の中まで入るんかい!」
息子の小言が心地いい。
そんな見守りを背中に感じて、ちょっといい時間を過ごせたデートだった。(私的には、だけど)
遠くにお出かけできなくても、幸せはあるなぁと思えた日。
その後は平常の授業が再開して、彼は全くお散歩に付き合ってくれなくなったけど、時々、めずらしい花を見つけると、写真をLINEで送ってくれるようになった。
そんなLINEが、母にはめちゃくちゃ嬉しい。
こんなお散歩も、私にはデートです。
3回に分けて書いてもよさそうな、お腹まんぷくな記事です。(笑)
noteを始めた頃は、内容を詰め込み過ぎて、前置きも長過ぎて、何が言いたいのかがわからないような長文記事を自分が書いていることに、まったく気がつきませんでした。
今も充分に内容を詰め込み過ぎて、長くなりがちなのですが。
息子とのお散歩だけのお話を書いてみました。自分の幸せな記録のために、です。
そして最近、また息子とお散歩デートをしました。
5分間ですが。
週末、私が実家から歩いて帰ろうとしたとき、
「もうすぐ駅」
と息子からLINEが入りました。
彼は一泊のひとり旅から帰ってきたところ。
1日ぶりの息子。
早く会いたい。
私は慌てて実家を出ました。
急いで駅へ。
実家と自宅の真ん中あたりに駅があります。
坂道をはぁはぁ言いながら走って、息子に追いつきました。
自宅まで5分間だけ、一緒に歩きました。
途中でバッタリ会ったご近所ママも、ちゃんとデートを目撃してくれました。
あれもデート。これもデート。ですよね?
そして今年のクリスマス。
息子は本物のデートに行ってしまいました。
さみしいような、ホッとしたような。
息子よ、でかした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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