【ライブレポート】歌声と存在証明「BUMP OF CHICKEN」アリーナツアー「be there」宮城セキスイハイムスーパーアリーナ2023.4.9
かなり久しぶりに書くライブレポ、そして個人としても3年半ぶりのBUMP OF CHICKENのライブである。
今回は約2年ぶりに埼玉から仙台へライブ遠征。
仙台は実は思い入れの強い地で、私が人生で初遠征したのが「WILLPOLIS 2014」のこのセキスイハイムスーパーアリーナ。
その間仙台にはちょこちょこ来ているが、セキスイアリーナに来るのは実に9年ぶりである。
今回のチケットは座席のエリア別の抽選販売ということで、強気にS席(アリーナ席)一本勝負で申し込んだところ、見事当選。
座席につけばセンターステージも見える花道真横のA3ブロック。BUMP人生でTOP3には確実に入る神席だった。
ライブレポート
メンバーが登場するなり立ち位置につく...と思いきや、いきなりメンバー4人が花道を通り、颯爽と向かったのは会場中央に配置されたサブステージ。
予想を裏切るサブステージからの幕開けだ。
煌びやかさが皮切りにあまりにも似合う「アカシア」からスタート。
新しく生まれた曲から「ダンデライオン」で一気に初期曲に逆戻り、花畑を連想させる黄色い光の海は春にぴったりな景色だった。
3曲目は「BUMPと言えば?」な「天体観測」。「BUMPの全てを網羅した人間が選ぶBUMP OF CHICKENベスト曲」を選ぶとすれば、結局何周か回って王道の「天体観測」に辿り付く気がする。
虹の話から続いて演奏された「なないろ」を含め「クロノスタシス」「SmallWorld」などコロナ禍で発表された曲と「透明飛行船」「魔法の料理〜君から君へ〜」を新旧織り込んで丁寧に歌い続ける。
ゾロゾロと4人とも再度サブステージに向かいうと「プレゼント」を演奏。
サブステージでそのまま「新世界」でクラップと「ベイビーアイラブユー」とコールアンドレスポンス。
歌い終わっても「ベイビーアイラブユー」を普通のコールアンドレスポンスから小声、おじいちゃん風、アルト風などいろんなバージョンで求める続ける藤くん。「恥ずかしがってんな!」「俺いろいろ求めるって言ったろ?」とご機嫌な様子。
メインステージに戻り、「SOUVENIR」では歌いながらギターをぶら下げたままステージを走って走って、歩いて歩いて、たまにコケたそぶりを見せたり、まるでアーニャのような藤原基央がいた。
今までのアリーナツアーと違うのは、ライブハウスやフェスのように照明オンリーで、銀テープや紙吹雪どころか映像など華美な演出を全て排除していることだ。
なのでポケモンやすみっこぐらし、SPY×FAMILYとコラボした映像が流れるわけではないのが、ふとそう思うのは曲に彼女、彼ら、あの子たちが染み込んでいるのだと思う。
3日後が誕生日の藤くんと一緒に「HAPPY」を歌える幸せ、「ray」が生み出す光の海、本編最後は定番の「supernova」で大団円。
気がつけば藤くんに存在そのものを肯定され続けた結果、とてつもなく爆上がりしていた自己肯定感と、何にも変えられない多幸感で紛れもなく幸せいっぱいだった。
”幸せ”とは思いながら、藤くんの歌詞にも言葉にもグサグサと刺さる。
「透明飛行船」の「多分平気なふりは人生で割と重要なスキルだと思う」に何度支えられ、「HAPPY」の「終わらせる勇気があるなら続きを選ぶ恐怖にも勝てる」に何度も救われてきたかと、ふとこのままでは嫌だと”4年半働いていた会社を辞める”という選択をした時を思い出した。
同時に「関ジャム」のBUMP OF CHICKEN特集の放映直後だったため、スタジオでトークしていたバンドマンのエピソードや、藤くんのインタビューが脳裏を過り、何度も何十回も聴いてる曲の解像度が抜群に上がったように思える瞬間がいくつもあった。
自分対BUMP、第三者のBUMPに対する想い対BUMP、自分ではないエピソードもふわっと思い浮かぶ箇所があるからか、現実から幸せのベールに一時的に包まれ守られているというよりは、冷徹な現実と確固たるあたたかな夢幻が隣り合わせになって歩いているかのように感じていた。
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アンコールで再登場、宮城出身の秀ちゃんがステージの左右を走り、笑顔で両手を上げる。
アンコールでは「embrace」「ガラスのブルース」を演奏し、最後にメンバーがステージを去り、藤くんだけがステージに残る。
BUMPなりの生きることの証明
私が副業でお金になるわけでも本格的にライターを目指しているわけでもないのにこうしてライブレポートに残しているのは、誰のためでもなく自分のためである。
藤くんが「関ジャム」で「曲がそう言っているから曲に合わせた」と話していたように、私の心が「藤くんが放つ言葉を一字一句取りこぼしたくない」と言っているからだ。そうは言いつつも、私が受け取った感情が、誰かの記憶の補助になればいいなと思い、備忘録を兼ねて日記ではなくネットに書いている。
藤くんの言う通り、毎日が幸せだと思えるほどポジティブでは無ければ、自分に自信があるタイプの人間でもない。精神安定剤であるライブに行って、この生きづらい”平坦な戦場”をかろうじて生きているようなものだ。
藤くんは何度も歌うことを求めた。
私たちが歌うことは、藤くんにとって赤ちゃんが産声を上げるように曲に生命に吹き込ますためなのか、クリエイターとリスナーの垣根を越え生きる糧を作るための共鳴なのか、どちらにせよ「生きていること」を証明し、肯定する手段が藤原基央にとって「歌うこと」なのだと思う。
藤くんの生きる証明が、私の生きる証明でもあるなら、そうしたいと思う。
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音楽を通して、自分の存在丸ごと受け入れてくれる人がいる。
いつも思っているけど、こんな日ぐらい堂々と胸張って、「BUMPに出会えて幸せ」だと大きな声で言おう。
セットリスト(外部URL)
※MCはニュアンスです