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【ライブレポート】[Alexandros] AREATORIC TOMATO Tour Zepp Sapporo.2021.7.24

[Alexandros]のライブハウスツアー編は早くも終盤。

一年半ぶりに飛行機に乗り遥々札幌2日目のライブへ。個人的にZepp Sapporoは2度目で、5年程前自分の人生を変えたと言っても過言ではないほど思い出に残っている凛として時雨と[Alexandros]の対バンで来訪した思い出のライブハウスということで、何としてでも絶対に行きたかったライブである。

今回のライブは想定外にもセットリストが大幅に変更となり、仙台、羽田とはまた違った内容になっておりますので是非に。

前回のライブレポ👇

ライブレポート

今日は若干上手の13列目。Zepp SapporoはZepp系列のなかでも照明と音響がいいので、個人的にはちょうどいい位置である。

客電が落ち颯爽とメンバーが現れる。髪を束ねたリアドは前の人の意志を継いだ高いシンバルのドラムセットに鎮座し、ブラックのゆるめセットアップにすっかり馴染んだ金髪が映えるギター白井眞輝、スキニー半袖黒柄シャツとノーマルな磯部寛之、そして[Alexandros]の番長・川上洋平はセンター分けにサングラス、ダブルジャケットのスーツと綾野剛風の衣装で登場。

オープニングはバックの映像でメンバー紹介をしながらオリジナルインスト音源を演奏。

まさかの一曲目からいきなりセットリスト変更、真っ赤なライティングで初期曲の「For Freedom」を一発目に投下し、早速ヒロが曲中「行けるか札幌!」と煽る。

「Boo!」の間奏でためにためてからラストサビで畳み掛ける分厚い音の壁は圧巻、「Boo!」のリリック映像と続けてバックのスクリーンにはアニメ絵柄のキャラや外人の子供や野菜など代わる代わる何かが出てくるカオスなサブカル映像と共に「Stimulator」と爆発力の高い曲を続ける。「Stimulator」で洋平さんはメインのN字のスタンドマイクとは別にエフェクター近くのサブマイクでしゃがみながらエフェクターをDJのようにいじり、アウトロのシンセサイザはサポートキーボード・ロゼが操る。そのままの勢いで「Dear Enemies」と続き、[Champagne]キラーチューンを連発。

まーくんがフライングVに持ち変えればお察し、メンバー4人中3人が猫飼いという特殊バンドになった「Cat2」。凶暴な猫の曲、1サビ終わりに「オライ!」と叫ぶと今日は「リアドが反応しない」、まーくんがメタリカ風高速タッピングギターソロで主役に躍り出ると、アウトロセッションでまーくんが「行けるか札幌!キエアアアアアアアアアアアア!!!」と奇声を発する。次に「city」と美しいアルペジオからソリッドなロックナンバーに持ち込む。

ライブの序盤にして既に同じツアーに何本も足を運ぶ最大の醍醐味である「曲の成長」が著しく、ツアーとしての完成度が徐々に高まっていくなかで、特にリアドのドラムが初日よりも存在感が強くなり、元々ポテンシャルが高いにも関わらず確実に上手くなっているように感じた。正式メンバーとなってからの心の持ちようなのか、だんだんと[Alexandros]の新たな重鎮としての覚悟がどっしりとしてきた。

続けてゆるやかなブラックミュージックに委ねるチルアウトタイム、Bedroom Jule verの「Thunder」ではライティングのフラッシュと洋平さんの歌声に乗るヒロさんのハイトーンコーラスのクロスオーバーは不思議と刹那で印象的だった。夜の高速道路の映像をバックに披露された「Vague」では、洋平さんが1番ではシェイカー、2番ではハンドマイク、ラストサビではアコースティックギターと3形態で魅せる。

洋平さんが黒のアコースティックギターを持ち、アルペジオを弾き始める。

「…○!※□◇#△!…(数回同じフレーズを歌う)あれ、忘れちゃった。…あはは、オリジナルでやっていいですか?内緒だよ」

ここで自身がメインキャストとしてドラマ出演した「ウチの娘は彼氏が出来ない!」で主題歌を楽曲提供した家入レオの「空と青」を即興のオリジナル歌詞で1番だけ披露。

「次は失恋の曲をやります。カップルで来てたらごめんね、別れるかも。それか相手方が昔の恋人を思い出すか」

直後にそう話すと「Leaving Grapefruits」をアコースティックバージョンで演奏。以前ファン投票のリクエストで1位に輝いたことがある程の人気曲だ。

個人的な話で恐縮だが、この曲の歌詞に「I wanted to be your favorite drink in Starbucks(君の一番お気に入りのスタバのドリンクにでもなりたい)」というフレーズがあり、ちょうど北海道限定のとうきびフラペチーノを飲んでからライブに行ったのでなんだか得した気分になった(めちゃくちゃ美味しかった)。

MC

洋平「改めまして[ALEXANDROS]です、今まで来た札幌で1番暑いです。ジャケット脱いでいい?」

(洋平さんがジャケットを脱いでる間、ヒロが客席に手振る)
(ちゃんとジャケットを畳む洋平さん)

ヒロ「声だせないけどこういうコミュニケーションはあるんだね」
(笑顔で手を振るヒロ)
(絶対に手を振らないまー&リアド)
(暑いと言っておきながら今日の衣装はまさかのタイトな長袖シャツ)

洋平「さっきも言いかけたけど、今まで何度か札幌来てますけど今日が一番暑いです。外もここも。声出せないけど、熱気が伝わってきます。これ凄いことだよね。」
洋平「デビューしたときは10代20代が多かったけど、今は30、40、50、60代と幅広いひとがライブに来てくれるようになりました。10年以上やってきてそういうバンドになったなあとしみじみ思います。なんで年齢なんて気にしないで、私なんか俺なんかと思わずにライブに来てください。年齢だけじゃなくて人種もそうで、というもの俺はシリアのアメリカンスクールに通ってて、そこにはいろんな言語や人種がいたから、そう思えるのはそれがルーツかも。そもそもロックバンドだしね。そういうのは自由に俺達も歳を取るから!(笑)」
洋平「デビューした頃はダイブしてきたひとみてびっくりしたけど、今は慣れてきて、もはやモッシュダイブも懐かしいよね。騒ぎたい人、ダイブしたいひと、後ろで大人しく見るのが好きな人、いろいろいると思うけどロックバンドなんで、もしダイブしてきても仕方ないなあで許してください。肩車とかリフトとか懐かしいね。そうそう、cityとかで肩車されてるひとがさ、俺が主役だ!ばりに凄い煽るじゃん?それ俺の役割だから俺にやらせて!って思ってたりしたけど、それも今は懐かしいねー!そうやって楽しんでたひといる?」

(2人ぐらい手が上がる)

洋平「意外と少ない(笑)迷惑かけてたの君たちか!まあ迷惑かけたらビールの1杯ぐらい奢ったりしてね」

ヒロ「ステージから見るともぐらタタキ見たいで面白いんだよね。トトロの芽が出るシーンみたいな。ポッポッポッって」

洋平「そんな元のライブが出来るようになるまで、僕らはロックバンドの先駆けとしてやっていきたい。さて、次の曲はまーくんが歌います」
まーくん「今思い出したのですが、父が日ハム好きで、若い人は知らないかもしれないけど昔日ハムは東京でやってて、父も札幌に日ハムの試合見に行ったりしてて。父をライブで連れてってその後野球を見るというコースを考えてたけどその先コロナになっちゃって、でもいずれはライブで球場に連れて行ければいいなと思ってます」

お馴染みとなった白井眞輝が浅井健一のBLANKEY JET CITYの「SWEET DAYS」をカバーし「You're So Sweet & I Love You」の流れへ、そのままロゼのピアノの旋律が「This is Teenage」の始まりを告げる。

「starrrrrrr」では洋平さんのギターはいつもは白のストラトキャスターのところ、先日購入したらしきヴィンテージのジャズマスターでの演奏。透明感と爽やかさを兼ね揃える協調性の高いストラトの音も良かったのだが、個人的にはヴィンテージ特有のダンディで荒削りな音質を持つジャズマスターバージョンの方が、ライブの特別感が前面に出ててとても好きだ。

「風になって」もまたおそらくチューニング違いのジャズマスターでの演奏、「次会う時は一緒に歌おう!」と「Philosophy」を鳴らしストレートなポップスを伸びやかに歌い上げる。

現況のライブハウスはライブ中一定の時間換気をしなければならないので1公演のみのライブは主にライブ、MC(換気タイム)、ライブという構成のライブがほとんどなのだが、そもそも[Alexandros]のライブはそうなる前から曲中無駄なMCはほぼ無し、喋るときは喋ると完全に区切りを付けているからか、曲の繋ぎや楽器交換においてロスタイムが最小限で無駄のないセットリストと完成度の高さはトップクラス。

仮にもし同じセットリストだしても同じライブは二度とない。それはもちろんメンバーの調子にも寄るが、観客の熱気、ライブハウスそのもの、土地柄など様々なシーンから影響されてライブが作りあげられる。

だからライブに通うことが止められないのだ。

アドリブなのか洋平さんが繋ぎのイントロ前にラップを取り入れ「Beast」と先程の美麗さと素直さが滲み出る曲とは裏腹、ワイルドかつ光沢のあるサウンドでコントラストを引き立たせる。ヒロの「そんなもんだし」で高音美声コーラスのみ、まーくんに駆け寄ると「手と手を取り合いたい」ではら洋平さんがまーくんに握手する素振りを、リアドにはドラム台に乗ったりと自由奔放に駆け回る。

当初トップバッターを飾っていた「閃光」は中盤のここで演奏。「city」「Starrrrrrr」「閃光」といい寒冷地で映える寒冷色のライティングはいつも以上に美しく感じた。これも余談なのだが、ライブ終了後にホテルでオリンピック関連のニュースを見ていたらダイジェストのBGMで「閃光」が使われており、既にグローバルな曲になっていて驚いた。私としては「ついさっき生で聴いてやったぜ!」と少しばかり鼻が高くなる。

気になるのは洋平さんの髪型、登場時はセンター分けだったのに気がついたらオールバックに、かと思いきや曲中には黒髪マッシュになってたりとやたらと忙しかった。

「アルペジオ」ではリアドの裏拍を使ったドラムアレンジが光り、直後は洋平さんにスポットライトが当たると「Mosquito Bite」、洋平さんがピックを真上にぶん投げたところリアドさんのドラムの隙間に落ちていって笑ってしまった。ラストは「PARTY IS OVER」でクールダウンし本編は終了。

アンコールでは各々が楽器を持ち、音を鳴らしながら洋平さんがメンバー紹介する。

洋平「メンバー紹介します、ドラムスリアド!THE LED SNAILから、何かやってくれるでしょう、キーボードロゼ!1番の友達、Hiroyuki isobe!メンバーのなかでは付き合いが長い、まさか高校の同級生と札幌でライブをするとは思ってませんでした、Masaki Shirai!そしてメンバーにいちばん迷惑を掛けている俺!メンバーのおかげでここに立ててます!セットリストほぼ一緒とか思うかとしれないけど、俺は毎回違う気持ちでやってます!今まで来た札幌で1番楽しいです、ツアーで今日が1番楽しいです!」

アンコール一発目は日本のポップスにて定番の地位を確立した「ワタリドリ」で最高潮を作り、ヒロ&まーがダブルフライングVになると「Kick&Spin」で更にガソリンを注ぐ。アンコールで演奏される「Kick&Spin」の力量は一瞬にして熱気に染まり、とてつもないパワーを感じた。

「愛してるぜ札幌!」を頂いたところで早くもおひらき、最後は夜の札幌の街に似合う「LAST MINUTE」。クレッシェンドに徐々に熱気を渦巻く圧巻のアウトロセッションの後、洋平さんがギターを高々と掲げる。

メンバーはいつの間にかステージから去り、鳴り止まない拍手のなか客電が点灯され、ライブは終わりを告げた。

灼熱の札幌

今日のライブは目立った機材トラブルもなく、伸び伸びと演奏していてかつリアクションがしづらいライブでもしっかり熱量が届いており、ツアーを3本見た中で1番良かったと思う。

ライブハウスツアーは残すは大阪2本、アリーナ編は横アリと武道館を控えつつもその間にもいくつか夏フェスの出演もある彼ら。一刻も早く自由を取り戻すためにも、身体に気をつけて最後まで気を緩めることなく無事と成功を祈りたい。

変わる/変わらざるを得なかった彼らと、変わらない/変えられない曲。その変化を妥協せずに両立出来るバンドが、次々と未知のフェーズに入っていくように日本のシーンを置き去りにする、ドデカイロックバンドなのだと思う。

そろそろ我慢も限界、コロナが明けて従来の自由を取り戻したとき、音楽で、ロックで、どこまで下克上出来るだろうか。

自由を取り戻した時に音楽シーンを知らずに文句だけ言ってきたやつに見せつけてやろうじゃないか、音楽という、ライブというカルチャーの底力を。

○ MCはニュアンスです

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セットリスト

新曲(インストゥルメタル)
For Freedom
Boo!
Stimulator
Dear Enemies
Cat2
city
Thunder
Vague
(空と青) 家入レオプロデュース曲
Leaving Grapefruit
(SWEET DAYS) 白井カバー
You're So Sweet & I Love You
This is Teenage
Starrrrrrr
風になって
Philosophy
Beast
閃光
アルペジオ
Mosquito Bite
PARTY IS OVER

en ワタリドリ
en Kick&Spin
en LAST MINUTE


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