見出し画像

“あなただけの言葉”を持っている人は素敵

「サブスクって、私よく分かんないのよね」

コミュ力おばけのMさんと話していたら
意外なことを言ったのでおどろいた。

だってMさんはアマプラ(Amazonprimevideo)
を常日頃利用していると豪語している。

アマプラはケチな私でさえ利用している
サブスクだ。その利便性と価格のバランスは
まさに破格ともいえるほど良いため
サブスクの代表格と個人的に思っている。

それなのに、サブスクがよく分からない??

「“月額いくら”でしょ、要は。
“サブスク”ってあんまり馴染みがないから
ちょっとよくわかんなくなるのよね」

・・・なるほど。そうなのか。
サブスクという言葉が良い悪いの話ではない。

“サブスク”ではMさんに届かないという話だ。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

私は子供の頃の記憶がかなりしっかり残っている。

本をたくさん読んでいて小学生にしては偏った
知識を持っているのを自負していたこともあり
すこし(かなり)いけ好かないお子様であった。

そんな私の子供時代で
『嫌な子供』エピソードがある。

私が小学4年生くらいのとき担任の先生(50代)に
ゲームで得たcongratulation(おめでとう)
という言葉を大人に使ってみたくて
いや、先生に褒められたくて言い放ったのだ。

当時、小学校で英語教育はほとんどない時代。
担任の先生も英語の知識はなかったと思う。
しかしそれでもcongratulationは通じる!と
思い込んでいてワクワクしていた。

しかし予想に反して固まる先生。
「え?なに?」
真顔で聞き返された。

「え、だからコングラッチュレーション…」

「・・・なんだ?それ」

「いや、あの、聞いたことないですか?」

「いやー、わからんな」

なんだか不穏な空気になってきたので
(よくわからないけど先生怒ってる?)
とその場から逃げ去った私。

大人の、しかも先生を神聖視していた私は
このときひどいショックを受けた。

私のような子供が使う言葉を
全く知らないうえに怒るなんて!と
感情がぐちゃぐちゃになった。
未だにcongratulationの綴りを見るたび
当時の映像がフラッシュバックするほどだ。

しかしそれで大人に屈折した思いを抱いた私は
大人をからかう行為に目覚めた。
わざと超難しい言葉を辞書で調べて聞いたり
「人って死んだらどうなるの?」など
そんなの納得いく説明できるわけないだろう的な
ことをバシバシ聞きまくって困らせていたのだ。
自分のことだけど、なんて嫌な子供だ。

私のモラルはちょっと置いておいて
このとき気付いたことがある。

難しい言葉を使って喋ると、優越感に浸れる。

難しい言葉とはつまり、相手が微妙に知らない言葉。
たとえばアカンタビリティやらサジェストやら
コンセンスやら(なんとなく意味が分かるような?)
という言葉。

これを多様する人は大きくわけて2パターン。
①マウントを取りたい。優越感に浸りたい人
②説明に便利だから悪気なく使ってる人

①は子供の私と一緒。承認欲求が満たされていない
可哀そうな人として暖かく見守ってあげましょう。

②の場合はちょっとやっかい。
だって言ってる本人はこの言葉を使うのが最適だと
本気で思っているし、相手が言葉を知らないのは
相手の勉強不足、努力不足だと思っているから。

しかも、悲しいことに、相手が理解しづらい言葉は
話を伝える時に本当に役に立たない。むしろ邪魔。

たしかに
「以前からある“定額制”とほとんど同じだけど
モノの利権を借りて、その使った期間に応じて
料金を支払うサービスがあって・・・」
と長々説明説明するよりも
“サブスク”と一言で説明してしまったほうが
とても楽に説明は終わる。

アカンタビリティだってサジェストだって
日常的に使って意味を把握している集団相手なら
一言で説明できる便利な言葉。

一言で済むんだから、とっても楽。
相手に通じるなら使った方が良いじゃないか。
・・・という気持ちはとっても分かる。

しかしそれでも、人になにかを伝えるときには
小難しい言葉では伝わらないことが多い。
いや、伝わらないというか
心をゆさぶることはできない。

人の心をゆさぶって伝えるためには
どこかから借りた言葉では絶対に響かない。
心をゆさぶるのはいつだってあなただけの言葉。

訳知り顔でどこか他人事みたいに話されるより
「私が!」と自分を主語にして語ってくれた方が
よっぽど相手の心に届くし、動いてくれる。
だって私たちはAIでもロボットでもない。
感情が根っこにある人間だから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?