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思い出の料理(サークル企画)

お弁当です。

私にとって衝撃的だった思い出の料理
それは嫁ちゃんが作ってくれたお弁当。

ガパオライス弁当
トマト茶漬け弁当など
とんでもなくハイクオリティなお弁当を
嫁ちゃんが作ってくれた時期があります。
この頃のお弁当はワクワクの化身でした。

まあ、これらのお弁当も充分衝撃的でしたが
それらを超えたお弁当の思い出があるのです。
今日はそのあたりを書き記したいと思います。

・・・

私は仕事に行く日はいつも嫁ちゃんに
お弁当を作ってもらっているのですが

毎回毎回、ハイクオリティなお弁当が
出てくるはずがありません。
お弁当のコストはもちろん、手間暇が
かかるものだから、当然と言えば当然。

そこで活躍するのが冷凍食品さんです。
言わずと知れた冷凍食品は家庭の味方。
時短の英雄、コスパの王様、珍味佳肴ちんみかこう

称える言葉は枚挙にいとまがありません。
当然ウチでも重宝し買い置きしています。

ある日、お昼休みにお弁当を開けたとき
おかずが全部冷凍食品の時がありました。

正直、残念な気持ちはありました。

でも、そんな考えは非常にいけないこと。
毎日朝早くお弁当を作ってくれるだけで
五体投地感謝しても足りないくらいです。

自分を戒めてからお弁当を食べたときに
(おや?)と不思議な感覚を覚えました。

・・・?

それから何度かおかずが冷凍食品の日が
あったのですが、やはり不思議な感覚…。

不思議な感覚とは
おかずが全て冷凍食品のはずなのに
冷凍食品以上の美味しさがあることです。

(なんだろう?これは???)

本当に頭が混乱しました。
謎の美味しさを確かに私は享受している。
でもそれが何なのか、本当に分からない。

・・・

ある夜、意を決して嫁ちゃんに言いました。

「明日のお弁当、おにぎり一個だけにして」

この言葉に我が伴侶は大層面食らいました。
私のお弁当が嫌になった?と訝しんだので
あわてた私は事の詳細を説明したのでした。

「なるほど、何言ってるのかわかんない」

私の説明力ではうまく伝わりませんでした。
ですが、嫁ちゃんの弁当が嫌ではないって
部分だけは伝わったようなので一安心です。

次の日のお弁当はリクエストしたおにぎり。
必要最低限の塩のみで作った純粋おにぎり。
それをほおばってみたところ・・・美味い。

やっぱり美味しいのです。
すこし形を整えただけの白米が、美味しい。

日本の米が美味しいのは周知の事実ですが
私は「おかず」がないと米がすすまない派。
ただの「米」はあまり食べたくないのです。

そんな私が、嫁ちゃんが作ったおにぎりを
妙に美味しく感じてしまう。不思議でした。

・・・

何日か脳内会議で話し合った結果
ひとつの仮説に行きつきました。

好きな人が作ったものには謎補正がかかる!

といった、理屈ガン無視の感情全開論です。
ですがこれ、けっこう当たっているっぽい。
なぜならおにぎりの衝撃から現在に至る迄
この仮説を超える説が現れていないのです。

私は脳内会議レポートを手早くまとめると
ついに嫁ちゃんに報告しました。

「というわけで、君の料理が美味しいのは
技術もさることながら君の存在がデカいんだ」

「はぁ~(デカいため息)」

「なんだい、デカいため息なんかして」

「夫くん、知らなかったの?」

「なにが?」

料理は愛情って言うでしょ」

「!!」

私は愚か者でした。
でも幸せ者でもありました。


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