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二人のお盆休み

「私は旅行が好き」
・・・いや、違うな。

「私たちは旅行が好き」
・・・まだ、違うな。

「私は嫁様との旅行が大好き」
・・・うん、これだ。

今では旅行大好きを公言してる私だけど
昔は旅行なんて嫌いだった。
嫌いというか、意味が分からなかった。

金と時間を使って、不慣れな土地に行って
観光客向けの高いモノを食べたり、買う?
それなんて罰ゲーム?
それより自宅でゲームに没頭してたほうが
めちゃめちゃ有意義だし休まるだろう、と。

しかし好きな人の存在というのは恐ろしい。
私の旅行に対する認識を一変させてしまった。

好きな人と非日常空間に旅行するのは
なろう系の異世界転生モノによく似ている。

右も左も分からない世界に投げ出された主人公が
同じ価値観を共有する「読者」と冒険するように

馴染みの全くない土地を「二人で」歩くことで
二人の距離がグンと縮むし新しい一面も見れる。

私が「旅行」を良く思っていなかったのは
同じような価値観を持つ人と一緒に旅行を
したことがなかったから、なのではないか。

幼い時の家族旅行も、学生時代の修学旅行も
それなりに楽しかったがあくまで「それなり」。
心から旅行に行きたい!楽しい!となったのは
やはり嫁様と出会ってからだ。

・・・

さてお盆の話である。
私たちにとっての「お盆」とは
旅行の季節の到来を表す記号のようなもの。

旅行が大好きな私たちは、お盆の期間が近づくと
旅行の準備を練りまくるのが定番化していた。
これがハチャメチャに楽しい。

「行ったところがない場所、良いよね!」
「そこ、美味しい食べ物ある?名物何?」
「新幹線で行ける?飛行機は?車はパス」
「ホテルなの?旅館なの?ペンション?」
「持っていく物!トランクに詰めよう!」

時には自宅で。時にはファミレスで。
本屋で買った旅行雑誌を広げながら
あーだこーだと何時間も話しまくる。
もしかしたらこの準備の段階が一番
楽しいまである。そのくらい楽しい。

「あ、ねえ、お盆近いね。休み合わせよっか」

準備は数か月前から始まっている。
それが私たちの「お盆」。

コロナ以降は気後れしてしまって
めっきり旅行の機会は減ってしまったが
私たちの記憶を思い返すと浮かび上がるのは
やっぱり旅行なのである。



この記事は「仲良し夫婦サークル」の
企画参加記事です。


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