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ぼぎわんが、来る

ホラー好きのフォロワーのMaiさんから
澤村伊智さんの本をお勧めされたので
早速購入。読んでみた。

数年前、大きい本屋さんで平積みにされており
買うか買うまいか非常に悩みまくった本
「ぼぎわんが、来る」をチョイス。
(※平積みにされた本とは注目、イチオシの本)

ハッキリ言って面白かった。
ホラー好きで未読の人には心からお勧めできる。

以下、多少のネタバレを含む内容になるので
未読の方は注意されたし。


怖い。とにかく怖い。
この作品にはぼぎわんと称される、いわゆる
バケモノが描写されるのだが、これがまず怖い。

何故か分からないけど現れて
主人公サイドに、にじり寄ってくる。
そして意味がわからないままに殺される。

ぼぎわんに狙われる様を、読者である自分に
置き換えて没入できるあたりが最高に理不尽で
(おいおいマジかよ)感が存分に味わえて怖い。

でも、理不尽な呪い・バケモノというのは
ホラーでは王道中の王道。よくある展開だ。

バケモノが出た!うわー、やられた!だけでは
日本ホラー小説大賞大賞受賞作品にはならない。
本当に恐ろしいのはぼぎわんではなく、人間だ。

この作品は「夫婦の光と闇」に
強くスポットをあてている。

家族愛とは?
不妊は誰が悪い?
妻が耐える理由とは?
夫の底知れぬ暴力性とは?
無力な子どもは誰が守るのか?

「主人公サイド」のキャラクターはみんな
家族思いだ。家族を愛している。
自分なりの方法で家族を愛している。

愛というのは、実に不思議な概念だ。
自分にとっては素敵で美しく正しいものでも
他人から見れば歪んでいていびつにも見える。
暴力、暴言ですら愛の名のもとに実行できる。
私たちはそんな危うい要素をはらんでいると
否応なしに気づかされる。怖い。自分が怖い。

・・・

この作品がとんでもなく面白いところは
個人的に二つ、あると思う。
①理屈が通ったぼぎわん
②魅力的すぎるキャラクター

先ほど、「理不尽にバケモノに襲われる」
と書いたけど、あれは半分本当。半分は違う。
私たち人間に行動原理があるように
バケモノにはバケモノの行動原理がある。
それをこの作品では非常に上手に
(あるいは狡猾に)表現してくれていて
「そういうことか!」と膝をたたける内容。

モヤモヤが晴れてはまたモヤり、また晴れる。
感情をぐわんぐわんにゆさぶってくれる筆力。
エンタメとして一級品であるのは間違いない。

・・・

比嘉真琴(女性)というキャラがいる。
ショッキングピンクのショートボブで
派手なメイク。細すぎる体。片付けられない女。

一見するとヤベー奴。でも実はすごく魅力的。
感情的で涙もろく、常に全力。
動物に好かれ、子どもに好かれ
おそらくきっと読者にも好かれる。

このキャラの動きをただ見ているだけで面白い。
本編のおどろおどろしさを吹き飛ばしてくれる
光のような存在、それが比嘉真琴というキャラ。

もちろん真琴の周りの「お姉ちゃん」「野崎」も
相当にキャラが立っていてかっこいいのだが
私は真琴の存在そのものが
この作品の面白さの核だと認識している。
そのくらいに魅力的なのだ。

・・・

【まとめ】
・ホラーが好き
・家族愛に疑問がある
・夫婦とは一体どうあるべきか

いずれかに該当する人がいれば迷わず本書
「ぼぎわんが、来る」を
手に取ることをお勧めしたい。

最後に、この本と作者を教えてくださった
Maiさん、ありがとうございます!


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